クラフトバンク総研

建設機器の販売で一歩先の未来へ~株式会社建機ワールド

更新日:2026/1/10

2024年12月8日(日)15:00~15:55

ゲスト:株式会社建機ワールド 国内事業部・統括部長 林正弘さん

スリランカ出身のハサンタ・ラタナーヤカ社長が、日本の大学在籍中に起業し、国内外での中古車売買と林業に特化したアタッチメントの販売及びレンタルなどを行う、茨城県牛久市の株式会社建機ワールド。現在行っているデジタルパネルの提案・施工も高評価。5年前、日本に無かった商品「マルチャー」の名前を全国に知らしめた会社でもあります。今回は国内事業部・統括部長 林正弘さんに革新的な同社の取り組みや、今後の展望などをお聞きしました。(茨城県牛久市・FMうしくうれしく放送にて収録)

大学在学中に起業、スリランカ出身の若き社長

クラフトバンク中辻(以下、中辻)まずはじめに、建機ワールドさんがどのような会社なのか、教えていただけますでしょうか。

林正弘さん(以下、林):はい。弊社の社長はスリランカの出身でして、日本の大学に在学中、3年生の時に中古建機の売買をする会社を設立したのが始まりです。

クラフトバンク田久保(以下、田久保)社長は今おいくつくらいなのですか?

林:今40代前半ですね。まだお若くて、私から見ると子供みたいな感じなんですけど。筑波の大学に留学で来ていて、在学中に起業したんです。

主力事業は建機アタッチメント「マルチャー」のレンタル・販売

中辻:事業としては、どのようなことをされているのでしょうか。

林:基本的には、今「マルチャー」という商品に特化しておりまして、そのレンタルと販売、あとは中古車の売買を国内と海外でやっています。

中辻:その「マルチャー」という製品で、日本の市場を切り拓いてこられたとお伺いしました。

林:そうですね。5年前はマルチャーという言葉は、まだ市場でほとんど聞かれなかったんです。それを社長がこの5年かけて、いろんな手を使って全国に広めました。今では問い合わせがまずうちの会社に来るというシステムを作り上げたのが、弊社の社長です。

2、3日の作業が15分に?「マルチャー」の圧倒的な効率化

中辻:そのマルチャーがどういうものなのか、教えていただけますか?

林:マルチャーという機械は、現場でそのまま木を上から潰していくようなイメージですね。まず木を倒し、倒した木を潰し、残った株も上から潰していく、という形でチップ化します。

中辻:マルチャーを使わない場合は、どのような工程になるのでしょうか。

林:まず木を倒して、それを運び出し、2mぐらいに切断してトラックに積みます。そこから木材破砕機に入れてチップにし、それをまたダンプに積んで処分場に持っていくという流れです。通常ですと2日、3日かかるのが当たり前ですね。

田久保:それがマルチャーだとどれくらいに短縮されるのですか?

林:15分、20分というレベルです。本当にあっという間ですね。

伐採から粉砕まで一工程、環境にも優しい仕組み

中辻:作業時間が大幅に削減されるのですね。運び出す必要もなくなるということですか?

林:はい。マルチャーで粉砕したチップは、あえて集めなくてもそのまま自然に還ってくれるので、運び出す必要もなくなります。

それに、次に木を植える「地拵え(じごしらえ)」という作業があるのですが、粉砕したチップがその栄養にもなってくれるんです。伐採からチップ化までの一連の工程を、一括、一工程でできるのがマルチャーという商品です。

なぜこれまで日本で普及しなかったのか

田久保:そんなに画期的なのに、なぜ今まで日本で普及していなかったのでしょうか。

林:これはもう海外では昔からやられているんですよ。ただ、日本はどうしても、昔ながらのやり方を丁寧に進めていくので、そういう作業工程になってしまうのだと思います。

中辻:海外の考え方とは違うのですね。

林:海外はダイナミックに考えますから、ダメなものは全部潰してしまえ、という流れになります。社長が新しいもの好きで、変わったものが大好きなので、このマルチャーも取り入れることができたのだと思います。

株を根こそぎにする「ディッパーフックス」

中辻:他にも面白い機械はありますか?

林:「ディッパーフックス」という、木を切った後の株を根こそぎ取れるような機械も輸入しています。街路樹なんかですと株が残っていることが多いですが、あれを取るのはすごく大変なんです。

田久保:根が張っていますからね。

林:それをミニショベル1台か2台で全部処理できる機械です。カッターで削っていくような感じで、木の横に伸びている根も一緒にカットしてくれるので、そこからまた芽が出るということはありません。

日本中に広がるマルチャーの輪

田久保:ものすごいスピードで日本中に拡大している感じなのですね。

林:そうですね。私もこの後、九州へ行きますが、もう全国にどんどん出荷しています。今は沖縄にもお話しさせてもらっていますし、北海道でも使っていただいています。

田久保:導入のハードルは高いのでしょうか?

林:いえ、お値段もそんなにお高くなくリーズナブルになっていますので、個人事業主さんでも買われている方がいらっしゃいます。逆にそれを持ち込んで、下請けさんのように現場に入っているお客さんもいますね。

国内シェア7割、社長の先見の明が生んだ大ヒット

田久保:今、マルチャーの国内シェアはどれくらいなのでしょうか?

林:弊社がとっかかりになっているので、当時はシェア80%ぐらい取っていました。ただ、やはり真似して作ってくるメーカーさんもいますので、今は少し下がって7割ぐらいですね。

中辻:それでもすごいですね。

林:今やもう、県などのデモでこれを使うと、来年の予算に組み込もうという話が出てくるくらいです。

創業当時は中古建機の売買が中心

田久保:2011年に会社が設立されて、マルチャーの販売を本格的に始められたのが5年前から、ということですが、それまでは何をされていたのですか?

林:それまでは中古建機を国内、海外で販売するのがメインでした。社長はもともと牛久市で会社を立ち上げまして、そこでお店を構えて、近くの農家のご主人たちと和気あいあいとやりながら、中古車をどんどん売っていたと聞いています。

田久保:地域密着でやっていらしたのですね。

林:そうですね。本当にフレンドリーな感じで。「ちょっと前通ったよ」って寄ってくれて、お茶飲んでいったりとか。そんな感じでうまくやっていました。

元々はメカニック、林部長の入社経緯

中辻:林さんご自身は、いつ頃入社されたのですか?

林:私はまだ1年半経っていないんですよ。その前は、同じ業界の建機メーカーで営業をやっていました。

中辻:どういった経緯で建機ワールドさんに?

林:紹介なんです。定年になったらもう一回メカニックをやりたいと思っていて、「メカニック募集してるよ」という話で入ったんですけど、なんか管理のほうに回されまして。本当は現場のほうが好きなんですけどね。

日本の良質な中古建機を世界へ

中辻:海外事業についてもお伺いしたいのですが、どのようなことをされているのですか?

林:海外は、スリランカの社長の国のほか、ニューヨークなどにも支店を持っています。海外からいろんなものを輸入して日本に広めようという部分と、日本の良い中古車を海外に輸出するという流れですね。今はアジア系のほうに少し力を入れて、結構出している感じです。

田久保:国によって好まれるメーカーも違うのですね。

林:はい。ですので、その国にはこのメーカーの機械、というふうに分けて輸出しています。

世界で戦う日本の建機メーカー

中辻:建設機械の世界では、日本のメーカーは強いのでしょうか。

林:やはりキャタピラーさんの機械は、世界中で「神様」みたいに言われていますね。どこへ輸出しても、キャタピラーの機械だったらどんどん行ける、という感じです。日本のメーカーもたくさんありますが、やはり海外へ行くとキャタピラーさんには敵わないというところがあります。

田久保:中古建機の仕入れはどのように?

林:自社でレンタル機として使ったものを中古車として販売したり、お客さんから「もう売りたいよ」という情報をいただいて、そこからピックアップしたりしています。「この国のこのお客さんがこういうのを欲しがっている」と聞けば、それを探してきて、うまく引き継いでいくという形ですね。

半数近くがスリランカ出身、多様性あふれる職場

田久保:従業員の方は何名くらいいらっしゃるのですか?

林:30人くらいですね。でも、その半分近くはスリランカの方です。社長のお国の方々が来て、メカニックなどをやっています。

中辻:スリランカの方々の国民性のようなものはありますか?

林:真面目ですよね。難しい仕事があって、時間がかかりそうなことでも、少しずつ少しずつやって、最後には物を完成させる。その姿には、私も感動することがあります。昔の昭和30年代の日本人に近いところがあるかもしれませんね。

40年以上の業界経験で見た、忘れられない光景

中辻:林さんは40年以上この業界にいらっしゃいますが、特に印象に残っている出来事はありますか?

林:そうですね、先日、マルチャーという商品を長野のほうに納車に行った時のことです。普段は機械に乗らない社長さんが、珍しいからと乗ってみたんですね。朝9時半頃から乗り始めて、お昼になっても降りてこない。おにぎりをかじりながら、夕方までずっと乗ってるんです。

中辻: 楽しくなっちゃったんですね。

** 林:**その時の社長の目が、本当に子供のような目で。楽しそうで、楽しそうで。これこそが、建設機械がお客さまに与えなければいけないものなんだな、と思いました。子供心をくすぐるような、乗っていて「楽しい」と思える機械を作っていくことが、我々の使命なのかなと。

社長が自ら開発、こだわりの社内システム

田久保:建機ワールドさんのDXやデジタル化の取り組みについて教えていただけますか。

林:弊社の社内システムは、すべて社長がゼロから作っているんです。社長が結構パソコンオタクというか、強いんですね。もともとスリランカにも会社を一つ持っているくらいで、こっちのほうが本業にしたかったみたいです。

田久保:すごいですね。社長ご自身が開発されているとは。

林:「こんなのできてるよ、これいいね」って言うと、「もう組み込んでやるよ」ってすぐ言うんですけど、ちょっとこだわりが強くて使いづらいという面も…。余分なものがたくさん入っていて、「ここまでいらないよね」っていうのが多くて。

田久保:社員の皆さんから「ここはこうしてほしい」といった意見はされるんですか?

林:はっきり言いますね。「これいらない」「邪魔だから消して」と。聞いてくれるのですが、そうすると今度は違うところに不具合が出てきたりします。

独自開発した「建機管理システム」と多言語対応

田久保:相当なスピード感で開発を。林:例えば、建設機械に衛生通信でこの機械の状況が分かるような仕組みがメーカーさんみんなつけてるんですけど、うちの会社はもっと前からそれを作ってまして、レンタル機につけてたんですね。メーカーさんから「うちのに作ってくれんか」とかそういうオファーもあったぐらいなんで。(建機に)GPSとタグがついてて、そのタグをピッて押してメールで飛ばすと、今この機械がどういう状況でっていうのがこっちから見れるっていうのを社長作ったんですけど。
中辻:状況っていうのは?林:例えば故障したとか、オイル交換のメンテの時期ですよとか、そういうところを教えてもらえるっていう。中辻:バックオフィス、勤怠管理とか、そういったものもその社内の手作りシステムで?
林:そうですね。
田久保:国内事業部と海外事業部、それもこう、一つの社内システムで売り上げとか収支も管理できるように社長が全部組んでらっしゃるんですか?
林:そうです。事務をやる方が、分けちゃうと人が増えて収拾つかなくなっちゃうんで、どっちも対応できるように、事務員さん一人が両方見れるような感じ。売上は別々に上がってきますけど、最後は一つにまとまるよっていうのは社長のシステムの中ではできてますんで。(事務員は)4人いるんですけど、その部署部署でちゃんと自分の持ち分があって、そこだけしっかりやっていただければ、最後は一つにまとまるよっていう。

林さんの「昭和の悩み」

田久保:デジタル化で苦労されてることとか課題とかありますか?林:まあ、私があんまり使えないっていうのはありますけど、今のシステムで、ある程度はもうできちゃってるんですね。で、こう変えてほしいっていう部分も、それなりにその時、社長がうまく対応してくれてるんで、大体使う分にしてみれば、まあこれでいいのかなって思ってますね。田久保:これが紙で残ってて…とかないですか?林:でも、私は昭和の人間なんですね。だから紙で見ないとダメな部分があるんですよ。だから事務とか若い子はみんなパソコン見ながらバーッとできるんですけど、私は1回アウトプットして見ないとできない。紙がなくてもできるようにしてっていうのが私の夢なんですけど、年寄りでも使いやすい画面にしてっていうのがあります。

他業種から集まる従業員

田久保:ちなみに、結構30名の従業員の方、割と平均年齢とか低めなんですか?林:だいたい40歳ぐらいですね。田久保:皆さん、どういうところから集まってこられる方々なんですか?林:いや、もう他業種から入られてる方、いっぱいいらっしゃいます。今、営業とかサービスとか募集してもなかなか入ってもらえないんですけど、その代わりに他業種からやりたいっていう人はいっぱい来ておりまして。3ヶ月の試用期間あるんですけど、大体その3ヶ月間で仕事覚えて、4ヶ月目、5ヶ月目にはバリバリやってくっていう感じです。田久保:そうすると、やっぱり結構若い方が多いので、あんまりこうデジタル化とか社内のDXとかも、そんなに抵抗なくどんどん取り入れてる感じですね。

10年以上前から運営するECサイト「建機チャンネル」

田久保:ECとかも結構力入れられてますよね。林:ECサイトやってますね。田久保:このECサイトとかも、もしかして結構自社で構築されて?林:そうですね、これもね、多分国内で一番早い方だと思うんですよ。これ(部品)が欲しいって入れると、まずうちのが一番最初に出てくると思うんで。田久保:建機の名前とか部品とかで。林:「建機チャンネル」っていうやつですね。これも社長が作って。もう10年以上前から社長やってますんで。

野球少年が建設業界に入った理由

中辻:林さんご自身のこともお伺いしたいのですが、小さい頃から機械がお好きだったのですか?

林:いえ、全然です。一番最初になりたかったのは、お寿司屋さんでした。でも小学校の頃に野球に出会って、もう野球小僧になって、プロに行きたいなと思って頑張っていました。

中辻:それで、どうして建設業界に?

林:ノンプロへ行こうと思っていたのですが、オイルショックの後で野球部を廃止する会社が多くて。結局、野球では入れなくなってしまって、叔父がいた前の会社にメカニックとして入りました。「これからは手に職をつけなきゃだめだ」ということで。

休日はDIY三昧、自動巻きで動き続けるパワフルな一面

中辻:野球は今も続けられているのですか?

林:48歳までやっていました。朝野球からナイターまで、昔は5チームくらい入っていましたから、日曜日といえば大体4試合くらいやっていましたね。

中辻:お休みの日は、今何をされているのですか?

林:最近はDIYですね。私の親父が左官屋で、兄貴が大工なんです。そのDNAを受け継いでいるので、倉庫くらいなら自分で建てますし、庭も自分で作ります。

田久保:すごいですね!

林:私の体は自動巻きみたいなもので、止まっちゃうとそのままだから、寝る時以外はずっと動いています。それがストレスの発散になっているのかもしれないですね。

これからの建機ワールド、アタッチメントの自社開発へ

中辻:今後、取り組んでいきたいことはありますか?

林:今、アタッチメントの自社製品を作ろうかと計画を進めています。お客さんが「今までのもの以上の能力があるよ」「価格もリーズナブルだね」と思っていただけるようなものを、自分たちで作っていきたいなと。

田久保:それはいつ頃の発表になりそうですか?

林:来年の1月ぐらいには出てくるのかな、というところです。もう最終的な色の段階など、打ち合わせを進めています。

オリジナルブランド「極」に込めた想い

林:シリーズ名として「極」という名前にしました。アタッチメントに漢字で「極」と彫り込んで出そうかなと。

中辻:その名前に込められた想いとは?

林:やっぱり「究極」ということですね。安かろう悪かろうではなく、良いものを長く使っていただきたい。安いけれども良いもの、それをお客さまに提供して、お付き合いも長くしていきたい、という想いです。

年内に全国10拠点、さらなる事業拡大を目指す

田久保:今後の会社の体制としては、どのように展開されていくご予定ですか?

林:今、東北とか大阪に駐在員を置いてやっているんですけど、年内には10カ所ぐらい拠点を作って担当を配置したいと考えています。そこが窓口になって、地域の皆さんにすぐ接せられるような体制を作っていきたいですね。

中辻:年内ですか!すごいスピード感ですね。

林:できないかもしれないですけど、目標は立てないと前に進まないので。社長とのベクトルの合わせ方は、やっぱりスピード感だと思っていますね。

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