山形に根差し地元に信頼される企業を目指して~小笠原建設株式会社
更新日:2026/1/10
▼目次
- 1 創業51年、地域に根差す建設会社
- 2 未経験の若手が続々入社、社内に吹く新しい風
- 3 異業種からの挑戦、ベテランと若手の協業
- 4 記憶に残る、複合施設の改修工事と若手の成長
- 5 家業を継ぐつもりはなかった学生時代
- 6 東日本大震災が変えた人生観
- 7 8年間の帰郷、東京と宮城での修行を経て
- 8 DX推進の第一歩「建設ディレクター」の導入
- 9 未経験の若手とベテランがタッグを組むICT活用
- 10 ICT導入の手応えと今後の展望
- 11 自身も育休取得へ、働きやすい環境づくりへの思い
- 12 デジタル化を円滑に進めるための世代間コミュニケーション術
- 13 バックオフィスのデジタル化、スマホ導入の舞台裏
- 14 全社導入に1年、勤怠管理システム移行の苦労
- 15 4年かけてたどり着いた「まずGoogleで」という結論
- 16 次なる目標は「回覧板のハンコレス化」
- 17 地元にUターンして8年、経営者としての歩み
- 18 事業エリア拡大と「農業土木」という強み
- 19 創業時から続く「圃場整備」という仕事
- 20 これからの小笠原建設が目指す姿
2024年12月1日(日)15:00~15:55
ゲスト:小笠原建設株式会社 専務取締役 小笠原誠さん
昨年創立50周年を迎えた山形県長井市の小笠原建設株式会社。農業用地の整備などを得意とし、安心安全な地域環境作りを実現している企業です。最近は20代の若い社員も増え、デジタル化にも積極的にチャレンジしていきたいという小笠原専務。勤怠管理の問題等、建設業ならではの苦労話も飛び出しました。スタジオには若手社員お二人も見学に来られ、アットホームな社風も垣間見れました。(山形県長井市市・おらんだラジオにて収録)
創業51年、地域に根差す建設会社
クラフトバンク中辻(以下、中辻)::はじめに、小笠原建設株式会社さんがどのような会社なのか、歴史なども含めて教えていただけますか。
小笠原誠さん(以下、小笠原):1963年創業で、1974年に設立しました。去年の11月で50周年を迎えまして、その記念に青山学院大学の原監督に来ていただいて記念講演をしました。スローガンとしては「地域に根差し、安全安心な地域環境を実現する」ということをテーマに、建築と土木の両方を公共・民間問わず、地元を中心に仕事をさせていただいています。
社長がよく言っているのですが、「お客様のニーズに応える仕事」を心がけていきましょうということで、仕事をさせていただいております。
未経験の若手が続々入社、社内に吹く新しい風
小笠原:従業員数は41名で、去年あたりから20代の方が増えてきまして、今8人くらいいます。未経験でも仕事ができるんだよということを前面に出しながら求人を行っていったところ、20代の方が増えました。建築も土木も総務も、だいぶ雰囲気が変わってきたなと、ここ1、2年で感じますね。
クラフトバンク田久保(以下、田久保):20代の方の採用は難しいイメージがありますが、どのような工夫をされたのですか?
小笠原:なかなか経験者の方はいないので、未経験の方をたくさん採用しました。今いるうちの会社のベテランたちが、未経験の子に教えるという形が取れればいいなと思って進めています。
異業種からの挑戦、ベテランと若手の協業
中辻:未経験の方が多いとのことですが、全く違う業種から来られた方もいるのでしょうか。
小笠原:そうですね、半分近くはそんな感じです。ここ1年では40歳くらいの方も入ってきていますが、当然未経験で異業種からです。受け入れる側は最初、「異業種から来たの?」という感じで戸惑いもありましたが、そういう人をどんどん採っていくと、「未経験でも仕事を覚えてくれれば」という雰囲気に変わってきましたね。
田久保:社内の雰囲気も大きく変わったきっかけになったのですね。
小笠原:はい、そのあたりが会社の雰囲気が変わった一つのきっかけかなと思います。
記憶に残る、複合施設の改修工事と若手の成長
中辻:最近手掛けられた工事で、印象的なものはありますか?
小笠原:建築では、昨年に中学校の改修工事があり、今年は複合施設の大規模改修をさせていただいています。そこでは20代の社員も未経験の社員も入っているのですが、特に今年4年目になる20代の子がすごく頑張ってくれています。
中辻:その方の成長を実感されているのですね。
小笠原:はい。「仕事覚えたな、できるようになったな」という感じです。教えているベテランの社員はすごく大変だったと思うんですけど、この前「いや、すごい成長したんだ」って言っていたのを聞いたので、内心すごく喜んでいると思います。
家業を継ぐつもりはなかった学生時代
中辻:小笠原さんご自身は、どのような経緯でこの業界に入られたのでしょうか。
小笠原:実家が建設業だったというのが大きいですが、最初は東京の建築会社に就職しました。地元に帰ってくるつもりはなくて。ただ高校も工業系で建築を学んでいたので、ずっとその道ではありました。
田久保:ご実家を継ごうというお気持ちは、当初はそこまで強くなかったのですね。
小笠原:そうですね。ただ、その東京の会社に就職した次の年に東日本大震災があって、それが一つのきっかけになりました。
東日本大震災が変えた人生観
小笠原:私は結構福島の原子力発電所の近くで仕事をしていて、一緒に働いていた人の車が津波で流されたり、国道が走れない状態になったりしました。その時に、職人さんが足りないとか、建設業の必要性というのを目の当たりにしたんです。
田久保:その経験が、ご自身のキャリアを考えるきっかけになったと。
小笠原:そうですね。そのあたりから、地元に帰ろうかなというのを考えるようになりました。
8年間の帰郷、東京と宮城での修行を経て
中辻:地元に戻られたのはいつ頃だったのですか?
小笠原:2016年なので、もう8年になります。東京の会社には4年くらい勤めさせていただいて、その後、祖父がお世話になっていた宮城県の会社に2年間、土木の勉強をさせてもらいに行きました。
田久保:戻られることを前提に、土木の経験も積まれたのですね。
中辻:戻ると伝えた時、お父様である社長はどんな反応でしたか?
小笠原:ちょっと覚えていないですね。でも嬉しかったとは思います。もともと「好きなように生きろ」という話だったので、たぶんそんなことは想像していなかったと思います。
DX推進の第一歩「建設ディレクター」の導入
田久保:ここからはDXやデジタル化の取り組みについてお伺いします。現在、どのようなことをされていますか?
小笠原:現場の方では、ICTに今年ようやく着手し始めたところです。誰か専属の人がいないとできないなと思ったので、「建設ディレクター」という役割の人を今、育成しているところです。
中辻:建設ディレクター、ですか。それはどのような経緯で導入されたのですか?
小笠原:去年、私自身がその講習を受けてみたんです。よく総務の方が担うことが多いと聞くのですが、3D CADなどもやっていくとなると、片手間では厳しいなと感じました。それで、専属というか、それを主でやる立場の人を社内に作りました。
未経験の若手とベテランがタッグを組むICT活用
田久保:その建設ディレクターは、どのように育成されているのでしょうか。
小笠原:ちょうどタイミングよく採用できた20代の未経験の社員に、「これからこういうことをしてくんだけど大丈夫?」という話をして、うちのベテランとタッグを組んで進めてもらっています。
中辻:具体的に、ICTで取り組んでいるのはどんなことですか?
小笠原:まだドローン測量は自社ではやっていなくて、測量会社さんにお願いして3Dの図面を起こしてもらっています。あとはICT建機で、試験的に部分的な施工をしてみているという状態ですね。
ICT導入の手応えと今後の展望
田久保:実際に取り組んでみて、手応えはいかがですか?
小笠原:どうだろう、まだちょっとわからないですね。とりあえず1年やってみて、その結果を踏まえて2年目につなげていかないと、どうなるかなという感じです。でも、1回やってしまえばもうやめられないので。
中辻:建設ディレクターは、今後も増やしていきたいとお考えですか?
小笠原:増やせるかはわからないですけど、そういう業務を共有できる部分を増やしていければ、仕事を教える余裕も生まれると思います。今はまだ試験的な状況なので、ものすごく忙しいわけでもなく、他の現場の書類を手伝ったりしながら進めています。
自身も育休取得へ、働きやすい環境づくりへの思い
田久保:働きやすい環境づくりという点では、何か取り組まれていることはありますか?
小笠原:実は私、今回育休を取ろうと思っていまして。誰かが休むと誰かが仕事をカバーしないといけないんですけど、それを悪いイメージじゃなくて、みんなでカバーし合えるような環境は作っていきたいなと。
中辻:素晴らしいですね。
小笠原:うちに入ってきてくれている若い人たちも、これから結婚して子どもができてという子もいると思うので、この会社いいなと思えるようなところは作っていきたいです。
デジタル化を円滑に進めるための世代間コミュニケーション術
田久保:デジタル化を進める上で、世代間のギャップを感じることはありますか?
小笠原:ベテランの人に説明しても、やっぱり「俺たちが率先してやることじゃない」というイメージはどうしてもあって。なので、進める時は20代の子に先に教えて、「他の先輩たちに教えてやってね」という形を最近は取るようにしています。
中辻:若手を起点に広めていく、という形ですね。
小笠原:入ったばかりの子って、なかなか自分のできることって少ないので、スマホとかパソコンみたいに覚えが早いもので、他の人に教えてあげられるものがあると、先輩やベテランの人がその若い子に頼ると思うんです。そうやってお互いができるものがあって会話が生まれれば、その子も「ここにいていいんだな」という感覚になってくれるかなと。
バックオフィスのデジタル化、スマホ導入の舞台裏
田久保:バックオフィス周りのデジタル化はいかがでしょうか。
小笠原:そっちの方はあまりまだ進んでいないんですよね。4年くらい前にサイボウずを導入したのと、今は勤怠管理をスマホでできるように進めているところです。会社でAndroidのスマートフォンを貸し出していて、それで出勤と退勤、日報の作成をしてもらっています。
先週、一部でWeb会議をやる予定だったんですが、設定がうまくいかなくて。それも20代の子に「先に覚えて教えてやってね」と伝えています。
全社導入に1年、勤怠管理システム移行の苦労
田久保:勤怠管理のスマホ移行は、スムーズに進みましたか?
小笠原:いえ、それもすごい大変で。年配の方もやる必要があるので、浸透させるのが大変でした。1年くらい準備にかかりましたね。慎重に進めたつもりなんですけど、移行するまでが結構荒れるんですよね。
中辻:慣れると楽だなと感じるんでしょうですけどね。
小笠原:うちの会社は、出社したら自分の名前が書かれた札をひっくり返すというアナログなやり方だったんです。勤怠管理が始まって、その札はもういらないんですけど、みんな癖でまだ返しに来るんですよ。僕はもう2、3週間返してないんですけどね。
4年かけてたどり着いた「まずGoogleで」という結論
小笠原:様々なツールがある中で、今の形に落ち着いたのも、勤怠管理はしなきゃいけない、でも個人のスマホを使わせると辞めた時にデータが飛んでしまう。連絡手段も、個人のLINEは教えたくない人もいる。だったら会社でスマホを貸与しようと。それで、このラジオのスポンサーでもあるジャンさん(J-mobile株式会社)のスマホを契約させてもらいました。
中辻:そこからGoogleの活用につながっていったのですね。
小笠原:はい。スマホを使う上でGoogleアカウントが必要になって、Web会議やビジネスチャットも必要だね、と。色々なアプリを使うと管理が大変なので、それなら一通り揃っているGoogleでまずやってみようか、という流れです。ここにくるのに4年かかりました。
次なる目標は「回覧板のハンコレス化」
田久保:今後、特にこれをやりたい、というデジタル化の目標はありますか?
小笠原:回覧板をなくしたいです。ハンコレスにしていきたい。1日に4冊くらい回ってきて、数日会社を空けると机の上が書類で大変なことになるんです。ハンコを押すためだけに現場から戻ってくる人もいますし。
中辻:それは大変ですね。
小笠原:専務になった当初に一度やろうとしたんですけど、経験不足で全然できなくて。Adobeのサービスとかでできそうだなとは思っているんですが、あまり全部一気にやっちゃうとみんながパンクしちゃうので、まだできていないですね。とにかく机をきれいにしたいです。
地元にUターンして8年、経営者としての歩み
中辻:地元に戻られて8年、振り返ってみていかがですか?
小笠原:早かったな、という感じですね。最初は現場のこともしていましたが、徐々に経営面というか、会社について考えたり、組織のことを見たりする時間が増えてきました。
田久保:今後、会社をどのようにしていきたいという目標はありますか?
小笠原:仕事のできるエリアをもう少し広くできたらなと思っています。今は山形県内の置賜地域がほとんどなので。あとは、うちの得意な分野をもう少し伸ばしたいですね。
事業エリア拡大と「農業土木」という強み
田久保:得意な分野というと、具体的にはどのような分野でしょうか。
小笠原:うちは創業当時、圃場整備、つまり田んぼを作る仕事をしていたので、農業土木が少し得意なんです。その農業土木にまつわるような仕事は、まだ伸ばしていけるのかなと。それが一つ会社の柱になっているので。
田久保:農業土木というのは、あまり聞き慣れないのですが、どのようなお仕事なのですか?
小笠原:最近は機械の性能が良くなっているので、それに合わせて田んぼ1枚の面積をもっと大きくしたり、50年くらい経って古くなった水路を新しくしたりする仕事です。
創業時から続く「圃場整備」という仕事
中辻:それは公共工事になるのですか?
小笠原:公共工事ですね。ただ、生産者の方も入ってくるので、そこがちょっと普通の公共工事と違うところです。
田久保:なるほど。そういった強みを活かしつつ、予算管理なども見直されているのですね。
小笠原:はい。2年くらい前から少しずつ見直しをしています。元々ある管理のサイクルを変えていくのは結構時間がかかるなと思っていますが、将来的にはもっと見やすく、ベテランが新人に教えやすいような管理体制を作りたいです。
これからの小笠原建設が目指す姿
中辻:会社として、今後どのようなことに力を入れていきたいですか?
小笠原:人が入ってきてくれているので、人材育成はしっかりしていきたいなと思っています。当たり前のことを、もうちょっとちゃんとできるようにしたいですね。特別なことをしようとは思わないです。
田久保:情報発信などについてはいかがですか?
小笠原:そうですね、今回こうやってラジオに出させてもらっていますが、こういうことをまず私がやって、会社の他の人でも情報発信などをやれればいいのかなとは思っています。
小笠原建設株式会社 https://ogasawarakensetsu.jp/
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