クラフトバンク総研

電気のチカラで明るい未来を~東北電化工業株式会社

更新日:2026/1/10

2025年3月30日(日)15:00~15:55

ゲスト:東北電化工業株式会社 取締役経営企画部長・石川篤さん、課長・友部奈津美さん

1945年創業、余剰電力を利用した公衆浴場の湯を沸かす事業から始まったという、山形市の東北電化工業株式会社。現在はグループ14社を抱えるまでに成長し、東北地方を中心に電気工事業を展開しています。社長自らが情報システムに明るいため、新しいことに挑戦しやすい社内環境だと、お二人は語ります。「働くを楽しむ」というテーマを体現するような、アットホームな社風が垣間見れる収録となりました。(山形県山形市・ラジオモンスターにて収録)

創業78年、銭湯の「湯」を沸かす事業からスタート

クラフトバンク中辻(以下、中辻)まずは東北電化工業さんについて教えてください。どんなお仕事をされている会社で、創業や業種、概要などはどうなっていますか?

友部奈津美さん(以下、友部):当社は山形県山形市に本社があり、主に電気設備工事を行っている会社です。創業は1945年で、その2年後に東北電化工業を設立し、今年で78周年を迎えます。終戦直後、安価だった電気を有効活用して、山形市内の銭湯の湯を沸かす事業が当社の始まりです。

中辻:創業のエピソードが素敵ですね。お風呂屋さんから始まったのですか。

石川さん(以下、石川):そうですね。今の社長のおじいさんが創業者にあたります。元々は電力会社に勤務していて、退職してこの事業を始めたというのがエピソードになっています。戦後の大変な時代の中で、人の役に立ちたいという思いが強くて起業に至ったと私たちは感じ取っています。

無電灯集落の解消と養蚕用電熱器の開発

友部:当時の暮らしはランプを頼りにする状況で、山形県内に存在した無電灯集落の解消に力を注ぎ、戦後復興において人々の暮らしに希望をもたらす役割を担ってきました。

クラフトバンク田久保(以下、田久保)まさに電気工事の会社ならではの歩みですね。

友部:1950年代には養蚕業が盛んで、養蚕用電熱器を開発しました。販路を山梨県にまで広げるなど、独創的なアイデアと挑戦は当社の合言葉として現在も受け継がれています。以来、地域とともに発展するという経営理念を掲げ、コンセント一つの増設からビルや商業施設などの大規模な工事まで、山形県内のみならず、宮城県、福島県、関東地区で事業を展開しています。

従業員361名、東北トップクラスの規模へ

田久保:東北でも随一の電気工事の規模だと思いますが、現在の従業員数は何名くらいですか?

石川:現在、361名です。これは2025年3月1日時点の人数になります。

田久保:山形だけではなく、色々なところに拠点があるのですよね。

石川:山形県、宮城県、福島県、東京都ですね。6社体制で拠点が合計21拠点あります。エリアに分かれて地元のユーザーに対してサービスを提供している形です。おかげさまで、売上と人員に関しても東北でトップ3に入る規模になっているかと思います。

民間工事7割。震災復興が大きな転換点に

田久保:現在はどういった物件をメインにされているのですか?公共工事がメインでしょうか。

石川:公共工事メインというよりは、これまでもずっと民間のウェイトが高くて、売上の約70%が民間工事です。公共工事は近年、底堅く推移していることもあり、約30%ほどになっています。

田久保:創業から80年近い中で、どのタイミングでここまで大きくなったのでしょうか。

石川:やはり東日本大震災が大きな転換点だったと思います。震災によって家屋を含め街全体、特に沿岸部は津波で流されてしまいました。その復興需要があり、全国からの支援によって復興を遂げた中で、自ずと企業も成長していったのだと考えています。

140名の電気工事士を抱える技術者集団

中辻:従業員の中で技術者の方の割合も多いのですか?

石川:360名ほどの従業員のうち、施工管理を担当しているメンバーが93名います。そして実際に工事を行っている社員が140名います。あとは事務や営業という構成になっています。

田久保:140名の電気工事士、職人さんを抱えられているということですね。それは大きな特徴ですね。

石川:協力会社も含めれば、毎日数百名が当社の現場で動いているという感じです。最近は新卒の方もどんどん増えてきている状況です。

新卒採用の活性化と3ヶ月間の研修期間

田久保:新卒の方は毎年どのくらい入社されるのですか?

石川:今年は15名ですね。多い時は20名くらい入ることもあります。学生さんは、インフラやライフラインに携わりたいという思いで入社してくれる方が多い気がします。

中辻:地域に貢献したいという思いが強いのですね。地元山形の方が多いのでしょうか。

友部:東北の方が多いですね。入社して3ヶ月間は研修期間として、資格取得やビジネス研修を行います。まずは山形に来てもらって研修を受けます。

石川:その後の配属は本人の希望に沿っています。県外の学生でも、山形市内で働きたいと言えば概ね通るような形に今はなっています。逆に、地元の福島や東京に行きたいという希望も汲み取っています。

14社が参画する「アイズアライアンス」の展開

田久保:東北電化工業さんの他にも「アイズアライアンス」として色々なグループ会社があるのですよね。

友部:現在は様々な事業を営む14社の関連企業があります。創立75周年を機に、これまでの東北電化グループという名称から「アイズアライアンス」に改称しました。アライアンスの総合力でお客さま満足と社会貢献に寄与することを目指しています。

田久保:具体的な事業内容はどのようなものですか?

友部:ゴルフ場であったり、内装や建築、家電の販売、設計部門もあります。空調給排水なども手がけています。基本的には建設業を軸として、その周辺でお客さまの役に立てる事業を増やしているというスタンスです。

石川:3年に1社くらいのペースで、ご縁があってシナジーを生み出せる仲間と一緒にやっていこうという形で増えています。積極的に増やそうということではなく、未来を共に歩めるパートナーと合流している感覚です。

施工管理から経営企画へ。石川さんのキャリア

中辻:石川さんと友部さんは現在、経営企画部にいらっしゃいますが、これまでのキャリアを教えてください。

石川:私は入社して1年は現場で工事をしていました。2年目から施工管理に携わり、知識や経験を積んできました。施工管理は13、4年ほどやっていましたね。東北各地や県外の現場にも行きました。

中辻:現場経験が非常に長いのですね。

石川:大きな転機はやはり震災でした。2011年7月に、被災地である石巻市に復旧活動のための拠点を出すことになり、私が初代の事業所長として赴任しました。そこで6年半ほど復興活動に携わり、その後今の経営企画部に配属されて7年目になります。現在49歳ですが、現場と事務方が半分半分くらいのキャリアですね。

広報からICT担当へ。友部さんの意外な転身

中辻:友部さんはいかがですか?

友部:私は入社した時から経営企画部の配属でした。当時は広報を担当していて、原稿を書いたり社内報を作ったりしていました。ところがある日突然、広報なのだからホームページを作りなさいという指令がありまして。

田久保:広報だからホームページ、というのは直結しますね。

友部:学生の頃にHTMLをある程度使えたので、手作りでホームページを作ったんです。そうしたら「こいつはシステム系でいけるんじゃないか」と思われてしまいまして。そこからはレールを敷いてもらって、今ではICT関係をメインに統括しています。

中辻:社内のデジタル化を推進する立場になられたのですね。

自社開発の基幹システム「Phase 3.0」の強み

田久保:ここからは東北電化工業のデジタル化の取り組みについて伺いたいと思います。一番の特徴は何でしょうか。

友部:当社の最大の強みは、自社開発の基幹システムだと思っています。工事を受注する前の顧客・案件管理から、施工管理、原価管理、さらに財務会計、人事給与までをすべて連結させた独自のシステムです。見たい時にすぐに情報が取り出せますし、リアルタイムで工事原価が把握できる体制を構築しています。

田久保:いつ頃から開発されているのですか?

友部:今のシステムは2024年から稼働しています。その10年前にも作り変えていますので、約10年おきに基幹システムを刷新しています。今はバージョン3.0という感じですね。

石川:再来年には4.0になる予定です。以前はパッケージベースのカスタマイズだったのですが、当社の強みである原価管理などのノウハウを載せるには限界がありました。そこで数年前にフルデジタルの独自開発に踏み切ったのです。

現場の要望を吸い上げるボトムアップのDX

田久保:刷新のペースが早いですね。どういった背景で進んでいるのでしょうか。

石川:きっかけは社員の「やりたい」という声だと思います。そこに経営層が「やってみなよ」と背中を押すスタンスがあります。もちろん提案には責任が伴いますが、現場の施工管理の人間がこうしたいという声を吸い上げています。

友部:社員のみんなが使いやすいシステムであるべきだと考えています。以前は基幹システム、財務会計などで入口がバラバラで手間だったのですが、そういった処理の負担を軽減させるように今の状態に至っています。

田久保:現場のDXという点ではいかがですか?

友部:スマートフォンの導入は山形県内の建設業でもかなり先駆けていたと思います。また、コロナ禍で普及したTeamsなどのWeb会議も、当社はその前から導入していました。社長がシステム系に明るく、新しいことにチャレンジしやすい環境があります。

アライアンス全体のバックオフィスを支える

石川:基幹システムをアイズアライアンスというグループ経営に活用しています。本業に注力してもらい、裏方のバックオフィス業務は我々が支えていくという方向性です。

田久保:バックオフィスのDXはかなり昔から取り組まれているのですね。

石川:現場サイドで言うと、元請けさんや発注者さんの意向に沿う必要があるため、BIMなどのツール活用はなかなか主導権が持てない課題もあります。しかし、そこを俯瞰しながら良い方向に進めていきたいと考えています。

友部:今年からは生成AIやデータドリブン、ノーコードのアプリ開発などにも注力していきたいと思っています。

生成AIを活用した現場支援と教育の効率化

田久保:生成AIを使ってどんなことをしていきたいと考えていますか?

友部:現場を支援する生成AIを導入することにしました。一般的なチャットツールとは違い、現場に即した回答が返ってくるようなものです。プロンプトをテンプレート化して、誰でも技術知識を平準化できるようにしたいと考えています。

石川:社内の仕様書なども学習させておけば、わざわざPDFを開いたり紙をめくったりしなくても欲しい回答が得られます。これは大幅な効率化に繋がります。

友部:新入社員が一人前になるには数年かかりますが、成功ナレッジをいつでも取得できれば大きな支援になります。教育という面でも期待しています。

「立候補制」で進める新しい技術の導入

田久保:新しいシステムを入れる際、社員さんの抵抗はありませんか?

友部:当社は必ず「立候補制」にしています。こちらから「使ってください」とお願いするのではなく、使ってみたい人を募るスモールスタートです。全員一気にではなく、意欲的な人が使っているのを見て「便利だな」と周囲が思うことで徐々に浸透させています。

石川:東京オリンピックの会場建設工事の際も、行きたい人を募りました。20代に絞って募集したところ、30名ほどが手を挙げてくれました。

田久保:全員行けたのですか?

石川:全員行けるように会社側で配慮しました。3ヶ月交代や半年交代にすることで、希望者全員が国家プロジェクトに携われるようにしました。やりたい人に機会を与えるという文化があります。

「働くを愉しむ」2028年に向けた中期経営計画

中辻:これからの目標や取り組みたいことを教えてください。

石川:今年から2028年に向けた中期経営計画がスタートしています。世の中の不確実性が高まる中で、変化とイノベーションが重要になります。そこで掲げているテーマが「働くを愉しむ」です。

中辻:「働くを愉しむ」、素敵なテーマですね。

石川:仕事をした後の達成感や充実感を、教育や様々な取り組みを通じて高めていきたい。お客さまの役に立ち、感謝されることで得られる充実感をみんなで味わいたいと思っています。そのための組織づくりや人への投資を強化していきます。

友部:個人としては、社内のシステムをさらに使いやすくし、1日5回のクリックを減らすだけでも大きな差になります。私自身も学び続け、新しいものを取り入れながら本業を支援していきたいです。

■東北電化工業株式会社 https://www.tohoku-denka.co.jp/
■ラジオモンスター http://www.fm762.co.jp/

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アーカイブ配信:https://audee.jp/voice/show/101756

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