三島で創業107年の総合建設業~山本建設株式会社
更新日:2026/1/10
▼目次
- 1 三島から静岡東部を支える100年企業の歩み
- 2 生活の「当たり前」を作る幅広い事業展開
- 3 公共工事と民間の設計施工を両立
- 4 インフラの寿命を延ばす土木技術
- 5 130社の協力会社と築く強固な体制
- 6 建設業を志したきっかけ:大工への憧れ
- 7 金融業界から建設業への転身
- 8 黒部ダムに魅了された少年時代
- 9 現場の記憶は人生の節目と共に
- 10 地図が書き換わる瞬間の達成感
- 11 災害復旧で感じた地域住民との絆
- 12 総務部が主導する6つのデジタル化
- 13 現場の負担を減らす「Greenfile.work」
- 14 ウェアラブルカメラによる遠隔管理
- 15 ICT土木が変える「建設業の常識」
- 16 変化を受け入れる柔軟な社風
- 17 AIを活用した「未来の総務」への展望
- 18 専門外の人材も活躍できる場を作る
- 19 従業員と家族の幸せを支える経営
2025年2月23日(日)15:00~15:55
ゲスト:山本建設株式会社 専務取締役・西村保徳さん、総務部長・鈴木啓太さん、土木部長・山田哲也さん
大正7年創業、今年で107年目を迎えた、静岡県三島市の山本建設株式会社。三島市では最も歴史のある建設会社として、地域から厚い信頼を寄せられている総合建設企業です。スタジオには、西村専務、鈴木部長、山田部長の3名をお迎えし、それぞれが抱える課題や、積極的に挑戦するDX化についても熱心にお話いただきました。まるで家族?兄弟?というほど和気あいあいな様子に、アットホームな社風が垣間見れました。(静岡県三島市・ボイスキューにて収録)

三島から静岡東部を支える100年企業の歩み
クラフトバンク中辻(以下、中辻):早速ですが、まず山本建設さんについて、どういったお仕事をされているのか教えてください。
鈴木啓太さん(以下、鈴木):山本建設は三島市に本社を構える建築・土木工事の総合建設業、ゼネコンです。創業は1918年で、今年で107年目に入る会社になります。
クラフトバンク田久保(以下、田久保):107年。米騒動があった時代から続いているということですね。
鈴木:そうですね。大正時代から続いています。三島市では最も歴史のある建設会社になります。
生活の「当たり前」を作る幅広い事業展開
中辻:具体的にはどういった建築物や工事を手がけていらっしゃるのでしょうか。
鈴木:建築部門では学校、工場、スーパーなどの商業施設、あとは一般住宅の新築やリフォームまで手がけています。土木部門では道路や橋、河川の護岸工事、下水道などのインフラ整備を幅広く行っています。
田久保:生活に密着したインフラを支えていらっしゃるのですね。
鈴木:皆さんの生活の中で当たり前にあるインフラを作っている会社だと思ってください。拠点は三島のほかに函南町、伊豆の国市、伊豆市にもあり、社員数は約90名で静岡県東部全域をカバーしています。
公共工事と民間の設計施工を両立
中辻:施工実績についても少し詳しく伺えますでしょうか。
西村保徳さん(以下、西村):民間工事については、私どもの設計部門が設計から施工まで一貫して行う「設計施工」の形が多いです。昨年度は裾野市で工場の新築工事を完成させました。現在は小田原市で14階建てのマンションを建設中です。
田久保:公共工事の方はいかがですか。
西村:公共工事がメインとなりますが、皆さんが知っているところでは高校の新築工事などがあります。沼津工業高校を2年前に完成させ、現在は沼津商業高校の改築工事を行っています。ちょうど30年から40年経った建物の建て替えブームの時期に来ていると感じます。
インフラの寿命を延ばす土木技術
中辻:土木部門ではどのような工事が特徴的でしょうか。
山田哲也さん(以下、山田):公共工事では道路、河川、舗装、国道などの維持管理を行っています。民間ではガスやNTTの埋設管工事、宅地の造成などです。
田久保:ライフラインに関わる重要な仕事ですね。
山田:特に力を入れているのが管更生工事です。老朽化した水道管や下水道管の寿命を延ばし、安全性を確保する仕事です。光硬化工法などをメインに取り扱っており、社会インフラの維持に貢献しています。
130社の協力会社と築く強固な体制
中辻:社員の方は建築と土木でどのような割合なのですか。
鈴木:だいたい半分ずつくらいですね。リフォーム部門も含めてバランスよく配置されています。
田久保:90名ほどの規模でこれだけ幅広く対応されているのは、協力会社さんとの連携も大きいのでしょうか。
西村:安全協力会というものがあり、現在約130社ほどに加盟していただいています。協力会社の皆さんの力をお借りしながら、静岡東部や神奈川、東京の現場まで対応できる体制を整えています。
建設業を志したきっかけ:大工への憧れ
中辻:皆さんが建設業界に入られたきっかけを教えてください。
西村:物心ついた時から物作りが好きでした。小学校の卒業文集を見返したら、将来の夢に「大工さん」と書いてあったんです。
田久保:まさに運命的な職業選択だったのですね。
西村:大学で土木工学を専攻し、地元に戻って就職する際に山本建設が一番しっくりきました。入社してからずっとこの会社で、気づけば30年になります。今は現場に直接関わることは少ないですが、優秀な社員に任せています。
金融業界から建設業への転身
中辻:鈴木さんは中途入社だと伺いましたが。
鈴木:前職は金融機関に勤めていました。一区切りついたところで別の世界を見てみたいと思い、目に見える形で人の役に立てる建設業に興味を持ちました。
田久保:金融から建設というのは大きなキャリアチェンジですね。
鈴木:金融の知識を活かしつつ、自分の付加価値を出せる場所を探して山本建設に行き着きました。入ってみると、外から見ていた「怖そうな職人さん」というイメージとは違い、気さくで温かい人ばかりで驚きました。
黒部ダムに魅了された少年時代
中辻:山田さんはどのようなきっかけだったのでしょうか。
山田:三島で生まれ育ち、小学生の時に黒部ダムを見に行って「どうやって人がこんなものを作ったのか」と感銘を受けたのが始まりです。
田久保:巨大インフラへの憧れが原点なのですね。
山田:大学で土木を学び、就職活動の時期はちょうどバブル崩壊後の就職氷河期でしたが、地元で自分のスキルを活かせる会社として山本建設を選びました。今年で25年目になります。
中辻:皆さん社歴が長く、腰を据えて地域に貢献されているのが伝わります。
現場の記憶は人生の節目と共に
中辻:これまで携わった現場で、特に印象に残っているものはありますか。
西村:携わったすべての現場に思い入れがあります。施工した現場を通るたびに当時のことを思い出しますね。
田久保:現場を見ると、その時の感情や出来事が蘇るのでしょうか。
西村:結婚や出産、昇進といった人生の節目と現場がリンクしているんです。「あの現場の時は子供が生まれたな」というように。山田と一緒に苦労した現場を通ると、当時のことが鮮明に浮かんできます。
地図が書き換わる瞬間の達成感
中辻:山田さんはいかがでしょうか。
山田:伊豆縦貫自動車道や河津下田道路の工事に携わった時、ちょうど開通のタイミングだったのが印象的です。
田久保:開通の瞬間は感無量でしょうね。
山田:自分が作った道を最初の車が通る時はやはり嬉しいですね。それに、インターネットの地図がパッと書き換わるんです。「ここを作ったんだ」と実感できる瞬間ですね。
災害復旧で感じた地域住民との絆
中辻:災害復旧のお仕事でも印象的なエピソードがあるそうですね。
山田:2019年の台風19号で熱海市と函南町の送水管が破損した際、緊急工事を行いました。
田久保:生活に直結する非常に困難な現場だったのではないですか。
山田:当時の市長さんや地域の方々が現場視察に来られたり、Facebookなどで「頑張ってください」という応援メッセージをたくさんいただいたりしました。現場の士気が非常に上がり、工期を大幅に短縮して復旧できたことは今でも強く記憶に残っています。
総務部が主導する6つのデジタル化
中辻:ここからは山本建設のDX、デジタル化の取り組みについて詳しく伺いたいと思います。
鈴木:私が入社してから、主に6つのシステムを導入しました。電子契約システム、人事・労務・勤怠・給与の一括管理システム、経費精算システム、電子請求書システム、採用管理ツール、そして車両管理システムです。
田久保:一気に進められましたね。導入の目的は何だったのでしょうか。
鈴木:まずはペーパーレス化です。そして時間と場所を問わずに仕事ができる環境作り。何より現場社員のストレスをどれだけ減らせるかを最優先に考えて選定しました。
現場の負担を減らす「Greenfile.work」
中辻:現場の安全管理についてはどのようなツールを活用されていますか。
西村:昨年度から「Greenfile.work」を導入しています。建設現場で不可欠な安全書類を自動作成するシステムです。
田久保:安全書類の作成は現場監督にとって大きな負担だと聞きます。
西村:作成時間を大幅に短縮でき、書類の不備も激減しました。また、本社から現場の書類状況がリアルタイムで確認できる「見える化」が進んだことも大きなメリットです。
ウェアラブルカメラによる遠隔管理
中辻:カメラの活用も進んでいるそうですね。
西村:ウェアラブルカメラを導入しました。現場の進捗状況を本社のモニターでリアルタイムに確認できます。
田久保:現場に行かなくても状況が把握できるのですね。
西村:はい。作業員が「見られている」という意識を持つことで、不安全行動の抑止にもつながっています。現場監督が現場を離れていても、本社のベテランが映像を見てアドバイスを送るといった使い方もしています。
ICT土木が変える「建設業の常識」
中辻:土木現場でのデジタル活用はいかがですか。
山田:ICT施工をいち早く導入しています。ドローンや3Dスキャナーで測量を行うと、これまでの3分の1程度の時間で終わります。
田久保:若手社員の教育にも役立っているのでしょうか。
山田:3次元モデルを作ることで、図面だけでは理解しにくい構造も視覚的に把握できます。また、そのデータを重機に取り込めば、熟練のオペレーターでなくても精度の高い作業が可能になります。人手不足の解消にもつながると期待しています。
変化を受け入れる柔軟な社風
田久保:これほど多くの新しいシステムを導入することに、社内での抵抗はありませんでしたか。
鈴木:正直、構えていた部分はありました。でも、西村専務や山田部長といった現場のリーダーたちが「やろう」と即断してくれたのが大きかったですね。
山田:紙の書類を作るために現場から会社に戻る、という無駄な時間をなくしたかったですから。不具合があればその都度改善していけばいいというスタンスで進めています。
西村:社長も77歳ですが、新しいことには「やってみろ」と言ってくれる柔軟な方なんです。
AIを活用した「未来の総務」への展望
中辻:今後、さらに取り組んでいきたいデジタル化はありますか。
鈴木:まだ紙で回っている回覧物などをすべて電子化し、AIを活用した業務効率化を進めたいです。
田久保:具体的にはどのような活用をイメージされていますか。
鈴木:経理の仕分けや定型的な帳票作成など、単純な事務作業はAIに任せたいと考えています。そうすることで、人が本来やるべき付加価値の高い業務に注力できる環境を作っていきたいです。
専門外の人材も活躍できる場を作る
中辻:山田さんが描く土木部門の未来についても伺わせてください。
山田:今後は土木の専門知識がない人でも活躍できる組織を作っていきたいです。例えばゲーム感覚で3Dモデルを作れるような若者とか。
田久保:「ICT土木」が新しい人材の窓口になるということですね。
山田:そうです。リモートでバックオフィスから現場をサポートする仕組みを構築できれば、多様な人材が建設業に関われるようになります。現場と本社のリンクをより強固にしていきたいですね。
従業員と家族の幸せを支える経営
中辻:最後に、会社としての今後の目標を西村専務にお願いします。
西村:一番の目標は、従業員とその家族が充実した暮らしを送れるようにすることです。そのためにDXを推進し、休日確保や労働時間の削減を徹底していきます。
田久保:「働きやすさ」が会社の底力になるのですね。
西村:はい。現場書類の作成をバックオフィスが支援する仕組みや、Web会議による移動時間の短縮など、できることはすべてやります。最終的には社員一人ひとりの人間力を高め、地域に愛され続ける「100年企業」として発展していきたいと考えています。
山本建設株式会社 https://www.yamamotokensetu.co.jp/
みしま・かんなみボイスキュー https://777fm.com/
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