『日本一の現場力』を探求する100年企業~株木建設株式会社
更新日:2026/1/14
▼目次
- 1 創業105年、茨城県水戸市を拠点とする総合建設業
- 2 山本五十六元帥に認められた創業の歴史
- 3 建築6割、土木4割。現在の事業ポートフォリオ
- 4 20社を擁する株木グループの多角的な事業展開
- 5 創業者一族のルーツと山梨県との繋がり
- 6 黒部ダムに魅了された少年時代と建設業への道
- 7 東京電力での「地中線管路」工事と現場経験
- 8 インフラの重要性を肌で感じた若手時代
- 9 上司から受け継いだ「三現主義」の哲学
- 10 現場を歩き、職員と対話することを忘れない
- 11 「現場力」を支える職員の成長と責任感
- 12 外部の視点を取り入れたコンサルティング時代の経験
- 13 地域を守る土木工事、そして震災復興への想い
- 14 茨城県内のランドマークを支える建築実績
- 15 100周年プロジェクトとしての自社ビル建て替え
- 16 職員の意見を集約した「健康的で熱量あふれる」オフィス
- 17 職員公募から生まれたシンボルマーク「K」の誕生
- 18 赤・緑・橙。ロゴに込められた三つの意味と情熱
- 19 会社の存在意義を問い直す「パーパス」の策定
- 20 2019年から加速した建設DXへの挑戦
- 21 3Dスキャナーがもたらした空間再現の革新
- 22 ICT現場支援室の設立とドローン測量の導入
- 23 1/200のジオラマ模型が変える安全会議の質
- 24 「ワイワイガヤガヤ」活気ある現場づくりの秘訣
- 25 文系・理系を問わず、8年かけて育てる教育体制
- 26 ZEB Ready取得。環境に配慮した次世代のビル
- 27 地域に根ざし、未来を守る建設業でありたい
2025年7月20日(日)15:00~15:55
株木建設株式会社 代表取締役社長・株木康吉さん
大正10年、茨城県・旧海軍霞ヶ浦航空隊基地の整備工事に携わったことを契機に創業した総合建設業・株木建設株式会社。数多くの実績をもち、関連企業20社による総合力とネットワークを活かし、全国で土木、建築工事を行っています。幼い頃、黒部ダムを見て建築業に魅了されたという、若き社長・株木康吉さん。これまで培ってきた『日本一の現場力』で、ワイワイガヤガヤと全社一丸で取り組む、100年超えの歴史を語っていただきました。

創業105年、茨城県水戸市を拠点とする総合建設業
クラフトバンク津吉(以下、津吉):まずは株木建設さんについて、どういったお仕事をされているのか教えていただけますでしょうか。
株木康吉さん(以下、株木):株木建設は、創業が1921年、大正10年になります。2025年で105年目を迎える、茨城県発祥の総合建設業を営んでいる会社です。
津吉:105年目ということで大変な歴史ですが、霞ヶ浦が起源とお伺いしています。
株木:はい。私で現在4代目なのですが、私の曽祖父であります株木正一が、霞ヶ浦海軍航空隊の資材運搬に携わったことがきっかけです。
山本五十六元帥に認められた創業の歴史
津吉:その資材運搬からどのように発展していったのでしょうか。
株木:曽祖父が、後に海軍大将になられる山本五十六さんに認められまして。そこから日本各地の飛行場建設に携わるようになりました。
津吉:あの山本五十六さんですか。歴史の教科書に出てくるお名前ですね。
株木:はい。そこから土木工事を施工するようになり、2代目、3代目の時代に移り変わるにつれて建築工事にも注力し、現在は土木と建築の両輪を主力としています。
建築6割、土木4割。現在の事業ポートフォリオ
津吉:現在の土木と建築の割合はどれくらいになっているのですか。
株木:建築が6割、土木が4割ほどになります。かつては半々の時期もありましたが、年度ごとに多少の変動はありつつ、現在は建築の方が少し多くなっています。
津吉:昔からの流れでいうと、徐々に比率が逆転してきたような形なのですね。
株木:そうですね。時代のニーズに合わせて、建築の分野も大きく成長してきました。
20社を擁する株木グループの多角的な事業展開
津吉:従業員数は363名とのことですが、グループ全体では20社もの企業を形成されているそうですね。
株木:株木建設が中核を担っておりますが、他にもセメント事業、コンクリート事業、環境事業、そしてスポーツ・レジャー事業なども展開しています。
津吉:レジャー事業も手がけられているとは驚きです。どのような施設があるのでしょうか。
株木:ゴルフ練習場やゴルフ場の運営などを行っています。茨城県の日立の方や、2代目の出身地である山梨県でもゴルフ場を運営しています。
創業者一族のルーツと山梨県との繋がり
津吉:株木社長は東京のご出身ですが、2代目の方は山梨のご出身と、ルーツが様々ですね。
株木:初代の正一は茨城のつくば出身なのですが、子供が娘一人だったため、婿養子という形で2代目が来られました。
津吉:それでエリアとしても山梨などに縁が広がっていったのですね。
株木:はい。いろいろな場所にルーツがあり、それが現在のグループの広がりにも繋がっています。
黒部ダムに魅了された少年時代と建設業への道
津吉:株木社長がこの業界を目指されたきっかけは何だったのでしょうか。
株木:小学生の時に、富山県の黒部ダムに連れて行ってもらったことが大きなきっかけです。
津吉:黒部ダム、あの巨大な構造物ですね。
株木:はい。なんて大きな現場、大きな構造物なんだと圧倒されました。これが人一人の力、人間の力によってできているんだと実感し、その時の光景は今でも鮮明に覚えています。
東京電力での「地中線管路」工事と現場経験
津吉:最初の就職先は東京電力だったとお聞きしました。
株木:はい。配属先は土木部隊だったのですが、地中線管路を敷設する仕事に従事していました。
津吉:地中の管理というのは、具体的にどのような業務だったのですか。
株木:設計から積算、そして施工管理まで、一つの案件を最初から最後まで一人で担当させてもらいました。
インフラの重要性を肌で感じた若手時代
津吉:地中のインフラを管理するというのは、かなり大きなプロジェクトですよね。
株木:地中には水道、電気、ガス、通信、下水など、本当に多くのインフラが張り巡らされています。
津吉:普段私たちが生活している下には、そんな世界が広がっているのですね。
株木:一社だけではできない、多くの企業と調整しながら進める土木や建築の魅力を強く感じましたし、インフラの重要性を痛感しました。
上司から受け継いだ「三現主義」の哲学
津吉:当時の上司の方から言われた言葉で、印象に残っているものはありますか。
株木:まずは現場に足を運び、物を見る。そこから「三現主義」を教わりました。
津吉:「三現主義」ですか。どのような意味が込められているのでしょう。
株木:「現場」を見て、「現物」を見て、「現実」を見る。この三つをしっかりと自分の目で確認することの大切さです。
津吉:現場第一という考え方ですね。それは今の社長業にも活きているのでしょうか。
株木:はい。今でも非常に役に立っています。会社にいる時も、できるだけ現場に回るようにしています。
現場を歩き、職員と対話することを忘れない
津吉:お忙しいスケジュールの中でも、現場へ行く時間は確保されているのですね。
株木:安全パトロールや、近くに現場がある時は足を運ぶようにしています。現場で職員と「最近どう?」なんて雑談をしたり、一緒にお昼を食べたりもします。
津吉:社長が直接現場に来てくれるというのは、職員の皆さんにとっても励みになりそうです。
株木:コミュニケーションを図ることは大切にしています。現場の職員の顔を見ることで、私もエネルギーをもらえますから。
「現場力」を支える職員の成長と責任感
津吉:363名もの従業員がいると、全員の顔と名前を一致させるのは大変ではないですか。
株木:現場に足を運んだり、飲み会や打ち上げの場に顔を出したりして、回数を重ねるうちに覚えていきます。
津吉:職員の方々の変化も感じられるのでしょうか。
株木:年数が経つにつれて、現場の職員が非常に責任感のある、充実した顔つきになっていくのを感じます。
株木:「あ、成長したな」と感じられる瞬間は、私にとっても大きなモチベーションになりますし、会社を運営していく上でのエネルギーになりますね。
外部の視点を取り入れたコンサルティング時代の経験
津吉:東京電力を経て、その後すぐに株木建設に戻られたのですか。
株木:いえ、東京電力で5年ほど務めた後、一度民間のコンサルティング会社に入りました。
津吉:それは、外の世界を見るためだったのでしょうか。
株木:はい。先代からも経営を学ぶ前に外で経験を積んでこいと言われていました。コンサルタントとして、他業種の企業の課題解決に携わった経験は今に活きています。
津吉:建設業以外の視点を持てたことは、現在の経営にもプラスになりそうですね。
地域を守る土木工事、そして震災復興への想い
津吉:最近の代表的な工事について教えてください。
株木:茨城県内では、地震の津波から地域を守るための水門や堤防の工事を多く行っています。
津吉:人々の安全に直結する、非常に重要なインフラですね。
株木:他にも、冬場に凍結して通りづらかった峠道にトンネルを通す工事など、地域の課題を解決する土木工事に力を入れています。
茨城県内のランドマークを支える建築実績
津吉:建築の分野ではいかがでしょうか。
株木:結婚式場やオフィスビル、学校施設、それから斎場など、地域の方々の生活に密着した建物を手がけています。
津吉:幅広いですね。県内を歩けば株木建設さんの実績に当たるような。
株木:地域の皆様のご理解とご協力があってこそですが、一つひとつの建物に想いを込めて建設させていただいています。
100周年プロジェクトとしての自社ビル建て替え
津吉:2024年の5月に、新しい自社ビルが完成したとお聞きしました。
株木:はい。1964年の東京オリンピックの年に建った旧社屋が老朽化していたこともあり、創業100周年の記念プロジェクトとして建て替えを行いました。
津吉:100周年という大きな節目での新社屋完成、おめでとうございます。
株木:ありがとうございます。2021年から設計を始め、グループ会社を含めて総動員で進めてきた思い入れのあるプロジェクトです。
職員の意見を集約した「健康的で熱量あふれる」オフィス
津吉:新しい社屋には、どのようなこだわりを詰め込んだのですか。
株木:各グループ会社からも意見を募り、使い勝手やレイアウト、共有スペースのあり方を議論しました。
株木:私としては、職員が「集う場所」が熱量に溢れ、健康的で活気あるビルであってほしいという願いを設計に反映させました。
津吉:職員の皆さんの声が反映されたオフィスなら、仕事へのモチベーションもさらに上がりそうですね。
職員公募から生まれたシンボルマーク「K」の誕生
津吉:新社屋だけでなく、ロゴマークも新しくされたそうですね。
株木:はい。100周年を機に、職員から新しいシンボルマークを公募しました。
津吉:職員の皆さんがデザインを考えたのですか。
株木:そうです。たくさん集まった案の中から投票を行い、株木建設の「K」をモチーフにしたデザインに決定しました。
津吉:アルファベットの「K」が、人が手を広げているようにも見えますね。
赤・緑・橙。ロゴに込められた三つの意味と情熱
津吉:そのロゴの色使いには、どのような意味が込められているのでしょうか。
株木:まず赤の部分は、すべての生命を明るく照らす「太陽」をイメージしています。
株木:緑は大地に根を張り成長していく「芽」のように、そしてオレンジの「くの字」部分は情熱を持って粘り強くやり遂げる「長い道のり」を表しています。
津吉:とても素敵な意味が込められているのですね。新しい道を切り拓く開拓者のイメージにぴったりです。
会社の存在意義を問い直す「パーパス」の策定
津吉:ロゴの刷新に加えて、現在は「パーパス」の策定も進められているとか。
株木:はい。会社の存在意義を改めて定義し、職員全員が進むべき方向を一つにしたいと考えています。
津吉:役職者から若手まで、みんなで作り上げている最中なのですね。
株木:じっくり時間をかけて、自分たちの言葉でパーパスを言語化していきたいと思っています。
2019年から加速した建設DXへの挑戦
津吉:ここからはデジタルの取り組み、DXについて伺います。いつ頃から力を入れ始めたのでしょうか。
株木:私が社長に就任した2019年頃、建設業界でもDXという言葉が盛んに言われ始めました。
津吉:その頃に、ある画期的なツールに出会ったそうですね。
株木:3Dスキャナーです。500ミリのペットボトルくらいの大きさのデバイスなのですが、これが現場のあり方を大きく変えました。
3Dスキャナーがもたらした空間再現の革新
津吉:その3Dスキャナーで、具体的にどのようなことができるのですか。
株木:現場でボタンを押すと、360度を撮影して位置情報を持った「点群データ」にしてくれます。
津吉:点群データですか。それをパソコンに取り込むとどうなるのでしょう。
株木:その場所と全く同じ空間が、パソコンの中にデジタルで再現されます。これには本当に驚きました。
津吉:現場に行かなくても、事務所で詳細な確認ができるようになるわけですね。
ICT現場支援室の設立とドローン測量の導入
津吉:その技術を普及させるために、新しい部署も作られたとお聞きしました。
株木:2021年に「ICT現場支援室」を立ち上げました。3Dスキャナーやドローンを使った測量を、各現場に導入するためのサポートを行う部署です。
津吉:ドローンも使われているのですね。
株木:はい。最近ではBIM/CIMといったデータ作成も、外注ではなく自社内で内製化して進めるようになっています。
1/200のジオラマ模型が変える安全会議の質
津吉:さらに驚いたのが、デジタルデータをリアルな「ジオラマ模型」にされているとか。
株木:はい。3D測量したデータを元に、自社でジオラマを作成しています。畳一畳分くらいの大きさで、非常に精巧なものです。
津吉:それをどのように活用されているのですか。
株木:毎日の打ち合わせや安全会議で使います。クレーンや重機の配置、車両の動線などを、駒を置くようにシミュレーションできるんです。
株木:「土嚢をどこに置くか」といった細かいイメージまで、現場や協力会社の皆さんと瞬時に共有できるのが強みですね。
「ワイワイガヤガヤ」活気ある現場づくりの秘訣
津吉:ICT現場支援室の所長さんは、元々現場で新しい技術に興味があった方を抜擢されたそうですね。
株木:はい。私のモットーが「ワイワイガヤガヤやっていこう」というものなのですが、まさにそれを体現してくれるような、知的好奇心の強い職員です。
津吉:若手社員の方々も、そういった新しいツールを使いこなしているのでしょうか。
株木:若手を中心に、自由な発想でソフトを使いこなしてくれています。現場の効率化がどんどん進んでいますね。
文系・理系を問わず、8年かけて育てる教育体制
津吉:採用や教育の面でも、独自の取り組みをされていますね。
株木:「スキルマップ」というものがありまして、入社から8年目までの基礎を、1年ごとのステップに区切って学べるようにしています。
津吉:それは文系出身の方でも安心できそうな制度です。
株木:新入社員研修も1ヶ月半ほどしっかり行いますし、上司と対話しながら自分の成長を確認できる環境を整えています。
ZEB Ready取得。環境に配慮した次世代のビル
津吉:最後に、今後の展望についてお聞かせください。
株木:新社屋では「ZEB Ready」という、エネルギー消費を50%削減する評価を取得しました。
津吉:環境配慮への先進的な取り組みですね。
株木:はい。断熱材や太陽光パネルを活用したこの実績を、今後の建築提案にも活かしていきたいと考えています。
地域に根ざし、未来を守る建設業でありたい
津吉:100年から150年、さらにその先へ向けての想いはいかがでしょうか。
株木:気候変動による災害が増える中で、地域の守り手としての役割はますます重要になります。
株木:各社とコミュニケーションを取りながら、いつでも迅速に対応できる、地域に必要とされる会社であり続けたいと思っています。
津吉:本日は貴重なお話をありがとうございました。
■株木建設株式会社 https://www.kabuki.co.jp/
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