静岡県シーリング工事業協同組合
更新日:2025/9/16
【設立40周年を契機にする】
静岡県シーリング工事業協同組合は、2028年に設立40周年の節目を迎える。40周年を前に進めていくべき事柄について、小倉隆史理事長(静岡テイパ・代表取締役)は「この40年間、組合はシーリング業界の維持発展のために活動してきた。長引く人手不足のため、組合の存在意義はますます大きなものになっていると実感している」と明言する。現在は、記念式典や交流事業などの準備も進め始めており、「これまでの歩みを支えて下さった先輩方に心から感謝し、皆で喜びを分かち合いたい」展望を示す。

【職人に強く惹かれて】
小倉理事長は、金融業に従事した経験を持つ。高額商品の販売に追われる毎日に次第に物足りなさを覚え、「人々の暮らしに直接関わり、役に立つ実感を得たい」との思いから、知人の縁を通じて建設業界に転身した。建材商社に入社し営業職に従事する中で、現場で汗を流す職人の姿に強く惹かれ、自らも作業に携わることを志願。現場での日々は厳しかったが、仲間と共に1つの作品を作り上げる過程に「この上ない喜びを感じられた」と実感を込める。

【新しい風を吹き込む】
業務に邁進する上での大きな転機を、小倉理事長は「当時の理事長の薦めで、日本シーリング工事業協同組合連合会・青年部会の全国規模の大会に参加したこと」と振り返る。各地から集まった若手会員との意見交換を通じて、「自分よりだいぶ若い会員たちが業界の未来について真剣に語り合っている姿を見て、忘れられない刺激を受けることができた」と当時の様子を話す。静岡県シーリング工事業協同組合の組合員として、「静岡にこの熱量を持ち帰り、新しい風を吹き込みたい」との思いは日に日に増大。自身が理事長に就任した2021年以降も全国の中の静岡県を自覚して、組合の信頼向上と拡大が、地域社会が求めることと考え、組合員・賛助会員と共に活動に邁進する日々を心掛けている。

【志を共有できる人と共に】
「長く続く人手不足の中で多くの優秀な技能士を育成するためには、防水工事や塗装工事など関連工種の事業者の受入れも必要ではないか」と小倉理事長は考える。近年では、後継者同士の横の繋がりを求めて入会する事例も出ており、組合の存在感は確実に広がりを見せている。この前向きな流れを「とても良いものだと考えている。建物の長寿命化にはシーリング工事が重要だということを、関連業種にも理解を深めていくことが技能士の育成には大事なポイントになる」と要点を述べる。小倉理事長が提示する「業種に縛られず、志を共有できる多くの人と協調したい。組合が開かれた場であることを示し、若い世代の関心も集められるよう全力を尽くす」という覚悟からも分かるように、その視線は既に設立40周年の先を見据えている点が印象的である。

【静岡県の確かな礎として】
小倉理事長は、建設業の魅力を「成果が形として残り、人々の暮らしを直接支える点にある」と即答する。日々の営みに寄り添い、時には顧客だけでなく社会からの多大な感謝を受けることができる。様々な経験の集積が大きな誇りに変わることが、「明日への原動力となり、生き甲斐にもなっている」と話す眼差しは真剣そのものである。かけがえのない仲間たちと共有した理念を次の時代に継承し、その全てを力に変えていく。このような小さな積み重ねが、業界の未来を切り拓く道標となり、静岡県の確かな礎として確立していくことを筆者は強く望んでいる。

この記事を書いた人

クラフトバンク総研 記者 川村 智子
新卒で入社した建設コンサルタントで、農地における経済効果の算定やBCP策定などに従事。
建設業の動向や他社の取り組みなどに興味を持ち、建通新聞社では都庁と23区を担当する。
在籍時は、各行政の特徴や課題に関する情報発信に携わる。2024年よりクラフトバンクに参画。
記者として企画立案や取材執筆などを手掛けている。