千葉県電気工事工業組合
更新日:2026/1/21
【設立60周年を迎えて】
2025年10月に千葉県電気工事工業組合が設立60周年を迎えた。組合では、県内の電気工事業者を束ねると同時に、「教育センター」を設置。資格取得と技術革新に対する対応や、労働災害防止を実現するための特別教育など、組合員の資質向上と技術・人材確保の側面から業界を支えてきた経緯がある。同年5月に新理事長に就任した植草宏介氏(共立電設・代表取締役)は、「現在、変化の激しい電気工事業界は新たな局面に立っている」とした上で、「持続可能な業界づくり」を中核テーマに掲げ、次の10年に向けた基盤強化に踏み出している。


【早期段階での教育を】
組合最大の課題を、植草理事長は「人材不足」と明言する。同組合には一人親方から大規模企業まで様々な事業者が加入しているが、会員数は年々減少傾向で、倒産よりも廃業による離脱が増え続けている。募集をかけても応募すら来ない企業もあり、「企業努力だけではどうしようもない領域に入り始めている」と厳しい現状を語る。国全体としてインフラ投資は拡大しているものの、担い手不足が深刻化している現状を受け、「技能者の地位向上や、ものづくりへの理解を幼少期から浸透させる必要も考え始めた」と見解を示す。現状でも若手確保に向け、県内工業高校を対象にした出前授業や、ものづくりコンテストなどで、「電気工事とは何か」に関する解説は実施している。しかし、「社会インフラを支える専門職としての奥深さをより広く伝えるには、もう少し早い時期から始めることが理想」との考えを抱く。組合が担う重要な使命の1つは、言うまでもなく災害復旧である。大規模災害が発生すれば、県内16支部が即座に連携し、停電エリアの復旧に向けて出動する必要が出る。非常事態でも千葉県民の生活基盤を守り続けるには、その前提とした「インフラに関する教育を今から進めることがポイントになりそうだ」と繰り返す。

【若手入職者の増加とDXの加速化はセット】
植草理事長は大学で土木を学び、新卒で関電工に入社し修行を積んだ経験を持つ。千葉県内の現場で実務経験を積んだ後、2000年に家業である「共立電設」に参画。2007年に、2代目の代表取締役に就任した。専務取締役である実弟・植草裕介氏と共に盤石な経営体制の構築を目指しており、直近では「若い世代に刺さる会社づくり」を掲げている。重視する取り組みは、休暇制度や残業管理、企業年金などを整備し、労働環境を健全に仕組み化すること。特にDX化に積極的な姿勢を示しており、コロナ禍を機にiPadを積極的に導入。日常的にデジタルに触れる機会を増やした狙いは見事に当たり、大幅な生産性向上を実現した実績を持っている。「若手入職者の増加とDXの加速化はセット。このような成功事例を組合にも反映することで、建設業界の活性化にも貢献していきたい」と常に先を見据えるスタンスが頼もしい。

【未来の若者に光を繋げる】
2025年11月5日に、組合として初めての安全大会を開催し、事故ゼロに向けた指針や改善策を共有した。組織内では、スクール事業やインターンシップ、ポリテクセンターなどとも連携しており、資格取得制度や研修体系の充実化も進めている。今後の重点方針は「安全教育の強化」。新規加盟者への工具支給など手厚い教育投資を長所に、安心して働ける環境づくりを誓う。「電気工事は建設業の中でも高度な技術職。次の世代に胸を張れる業界を形成できるよう、組合としても現実と真摯に向き合わなければならない」との意志は強い。設立60周年を迎えた今、千葉県電気工事工業組合が指し示す方向は決まった。団体の舵取りを担う植草理事長が、未来を担う若者たちに光を繋げる日が待ち遠しい。

この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 川村 智子
新卒で入社した建設コンサルタントで、農地における経済効果の算定やBCP策定などに従事。
建設業の動向や他社の取り組みなどに興味を持ち、建通新聞社では都庁と23区を担当する。
在籍時は、各行政の特徴や課題に関する情報発信に携わる。2024年よりクラフトバンクに参画。
記者として企画立案や取材執筆などを手掛けている。







