建設産業専門団体九州地区連合会
更新日:2025/12/14
【新会長に宮村博良氏が就任】
今年7月14日に開催した建設産業専門団体九州地区連合会の総会にて、宮村博良氏(宮村鉄筋工業・代表取締役会長)が2代目の会長に選任された。同連合会は、九州の建設業における14職種の専門工事団体が会員となり構成する団体。会員相互の連携を図りながら、専門工事業の地位向上や労働条件の改善などに取り組んでいる。22年振りにトップが交代した新体制に当たり、宮村会長は「現場で働く職人の代弁者として、専門工事業者の処遇を良くしたい」と抱負を語り、発注者に対する要望や出前授業などの広報活動、会員増強に力を入れていくことを表明した。目標とする組織は、静岡建設産業専門団体連合会。現状では、九州の各県に専門工事会社が集まる団体が存在するのは、福岡県の福岡県専門工事業団体連合会のみとなっており、宮村会長は「いずれは静岡県のように各県単位で創設しなければ、専門工事業の立ち位置が不安定になる可能性が高い」と危機感を示す。

【建設業法等改正法の完全施行を契機に】
宮村会長は専門工事会社が生き残るには、「職人の単価をアップさせる以外に選択肢はない」と明言する。ピーク時より減少したとは言え、現状でも県および市では単価の叩き合いは散見する。酷暑や極寒の現場でも身体を張る作業者が報われている現実を提示しなければ、「若い人が入職を希望するはずがない」と言い切る。最も速やかに業界が変わる契機となるのは「法律を変えること」。今年12月12日から建設業法等改正法が完全施行されたことに関して、「建設Gメンも浸透し始めており、今回の法律改正は意義深い」と歓迎する姿勢を見せながらも、「まだルールを違反する者は存在する。業界全体としては『最低限、法律は守ろう』という認識を広げることが重要」と指摘。歯止めの利かない天変地異が起こった際、真っ先に現場に駆け付けるのは建設企業。職人を社員として抱える専門工事会社が今以上に評価される環境を目指し、「建設業界も良き方向に変われるよう趣向を凝らしたい」と前向きなスタンスを堅持する。


【建設業を「給料が高くてカッコ良い」へ】
従来から建設業は「3K(きつい、汚い、危険)」と評されてきたが、宮村社長は「『給料が高くてカッコ良い』職業を目指すべき」と持論を述べる。建設投資が落ち込むと価格競争が起こり、そのしわ寄せが職人の労務単価の低下に直結する。現在も全国鉄筋工事業協会では副会長、九州鉄筋工事業団体連合会の会長を兼任し、これまで鉄筋業における労務単価の引き上げや処遇改善に貢献してきた実績を、九州全体の専門工事業にも応用できるか注目である。最近では、全国的に人工から単価を算出し、その合計を頭数で割る形で単価を積算する方式を取る「鉄筋工事標準見積書」も定着し始めた。論理的な説明が可能になったことで、ゼネコンから「高すぎる」と指摘されることも極めて少なくなっており、良い兆候は如実に表れているようだ。


【後世に職人が報われる仕組みを残す】
宮村会長は、2024年秋の褒章にて黄綬褒章を受章した。現在地を「まだ通過点の延長線上」と設定する反面、「現場で働く職人が報われる仕組みを後世に残す必要がる」との使命感も抱いている。新体制では、副会長には中村隆元氏(中村工業・代表取締役)と木下顕氏(静岡塗装組・代表取締役)の就任を自らの意志で依頼。「鳶と塗装、各団体で業界を是正してきた実績ある2人だ。『将来の舵取りを担ってほしい』とバトンを渡すことを前提に会長職に就くことを決めた」と経緯を語る。直近では単価アップに向けた団体としての動きを加速化させているが、それと同時に会員増強を目指す方針も提示。「現状の14団体から、上部組織・建設産業専門団体連合会と同じ34団体が参画するまで拡大させたい」と意欲を見せている。業種・地域ごとの事情は異なる。しかし、宮村会長は「九州全体の専門工事業者が一体感を見せることが、業界全体の改善に繋がる」と信じ、今後もあらゆる可能性を追求していく。

この記事を書いた人
クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。







