クラフトバンク総研

宮崎県鉄筋業組合

更新日:2026/2/17

【組合企業を最優先に考える】

宮崎県鉄筋業組合の山路修理事長(山路鉄筋工業・代表取締役)は、常日頃から「団体のトップは、自分の会社を守るためにも、組合企業を豊かにすることを最優先にするべき」とのスタンスを堅持する。理事長に就任したのは12年前。直後より宮崎県の仕事は、県内に会社を構える専門工事業者が担うべき。また、競合とは言え適正な価格での受注を継続するには、組合が一枚岩になるべきなど、自らの考えを包み隠さず周知を徹底した。その結果、「他にはない団結した組織を形成することができた」と振り返る。現在は、県北・県南・県央の3つにエリアを分け各地区に所属する副理事長の助けにて組織を運営。特に動機である豊重安孝副理事長(豊重鉄筋・代表取締役)の献身的なサポートを見た九州・他県の同業者からは、「山路理事長と豊重副理事長の関係性が理想」と団体活動を実施する上での見本と評されている。

【ダンピングは許さない】

組合としての重要な業務の1つに、山路理事長は「各行政や元請け、九州鉄筋工事業団体連合会を含めた各団体との調整」を挙げる。近年では、鉄筋工事の費用内訳を明確にする「鉄筋工事標準見積書」の理解が各組織に行き渡るよう尽力。物価高騰が続く毎年の状況を鑑みて、前年度からの差額や法定福利費も含める必要性の説明を重視しているという。「このような団体での事業展開の全ては、若手が入職するための改善策に繋がっていると信じている。組合として『自助』と『共助』双方の対策を打つことで、『公助』にも繋げられるよう、引き続き万全を尽くす」と覚悟を見せる。県内では、数年前に数多くの受注が出尽くしたこともあり、来年度以降の需要減少が見込まれる。しかし、このような状況だからこそ、山路理事長は全組合員に対して「絶対にダンピングはしない!」との伝達を心掛けている。「仕事がほしい気持ちは分かる。しかし、誰かが抜け駆けを始めたら、これまで県内で守り続けてきた単価の値崩れに繋がる」と語気を強める。時には、県外の同業者から「ウチは安く引き受けられます」と不当に安価な提案が起きるケースもある。しかし、そのような場合は、組合全体が結束している長所を活かし、団体のトップ同士での折衝により撤退を促し続けてきたことも、周囲から慕われる大きな要因となっているようだ。

【組合の団結を明示する】

山路理事長は、「今の職人不足を解消するには、5年以上の年月を要する」と見立てている。一朝一夕には進まない課題が山積する中、真っ先に取り掛かるべきは「休日の確保と安定した収入が保証される体制」と定義。団体としても入職者の間口を広げる努力と、順調に若手を育てられる環境の整備に意識を傾けている。「組合員の各社が独自で取り組むべき難題は多い。しかし、宮崎県内にある専門工事会社としての第一歩は、最優先事項は組合の存在感を周囲に明示すること。県内の仕事を任されている誇りを胸に、今できる最善のことに集中したい」と覚悟を示す。自らが経営する山路鉄筋工業では、社員に「金と人の心配はするな、俺が全て責任を持つ。しかし、それ以外は全部を任せる」と浸透させたことで、見事に少数精鋭の組織を構築できた。この実績を県外にもトレースできるかが今後のポイントになりそうだ。

【三方よしの形を継続する】

直近で宮崎県鉄筋業組合が重視すべき役割として、山路理事長は「鉄筋工事業の地位を向上させること」と明言する。「20年以上前は、鉄筋工事業者と言えば世間の認知度は低く、元請けから軽視されていたが、九州全体での働きかけもあり最近では良好に変化している。今後もこの状態を維持するため、標準単価を切る現場には職人を出さないなど、独自の体制を整えたい」と意向を示す。ここまで徹底する理由は「これを常態化しなければ、若手入職者が増えることはないから」。実現に向けて全てのベースとなるのは、日頃からの組合としての活動となる。建設業界が魅力的な産業として変わるには、「『施主・元請け・専門工事会社』が『三方良し』の形を持続させることが大事」と端的に本質を述べる山路理事長。この挑戦がどのような変容を見せるのか。業界の先を占う分岐点に注目すべきである。

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