クラフトバンク総研

ものづくりへの熱いスピリット“合田思考”~株式会社 合田工務店

更新日:2026/1/14

2025年7月6日(日)15:00~15:55

ゲスト:株式会社 合田工務店
   管理部・越智洋祐さん、中村紀男さん、建築部・成田典子さん

2025年に創立75周年を迎える合田工務店。高松市こども未来館や丸亀市庁舎をはじめ、官公庁施設、学校、医療施設、住宅、ホテル、オフィスビル、工場など…香川県を拠点に四国全域で施工を手掛けています。さらには関東・関西圏にまで活動の場を広げ、地域社会の発展に貢献しています。スタジオでは、ERP(基幹業務)システムの構築プロジェクトに関わったメンバーが、当時の苦労話を賑やかに語ってくださいました。チーム一丸となって取り組む姿勢や、地元・四国を盛り上げたいという気持ちなど、熱い想いが伝わる収録となりました。(香川県高松市 FM815にて収録)

創業75年、香川から全国に展開する老舗ゼネコン

クラフトバンク中辻(以下、中辻)まずは合田工務店さんについて、どのようなお仕事をされている会社なのか、概要を教えていただけますか。

中村紀男さん(以下、中村):合田工務店は香川県の建設会社、いわゆるゼネコンです。香川県観音寺市で創業し、今年で75年目を迎えます。拠点は香川を中心に四国4県、また岡山や広島といった近県でも工事を行っています。さらに大きな拠点として東京と大阪にも構えており、東京は「東京本店」と称しています。

クラフトバンク金村(以下、金村)東京本店というのは、かなり大きな規模なのでしょうか。

中村:会社法上は支店なのですが、売上規模で言うとすでに本社の完工高を超えている状態です。最近は大阪でも数年前に支店に格上げし、積極的に営業活動を行っています。香川県内では官公庁の大型物件やマンション、病院、学校などをフルカバーで建設していますが、東京や大阪ではマンション建築に特化しているわけではありませんが、都市部特有の狭小地での施工ノウハウを武器に、着実に実績を伸ばしています。

都市部と地方の強みを融合させたハイブリッド戦略

中辻:香川からスタートして、東京や大阪でもそこまでの実績を残されているのはすごいですね。

中村:東京が伸び始めたのは15年から20年ほど前からです。創業は昭和26年ですが、早い段階で高松や東京に進出しました。都会で居場所を作るのは大変でしたが、大手ゼネコンがなかなか手を出さないようなワンルームマンションや狭小地の物件で一定の評価をいただけるようになりました。今では東京の売上が香川の倍近くあります。

金村:市場によって戦略を使い分けていらっしゃるのですね。

中村:市場が全く違いますね。香川は官公庁のボリュームある建物が中心ですが、民間となるとやはり東京のスケール感には及びません。弊社の強みは、地方で獲得したキャッシュを都会に投資し、受注に繋げていくという、都会と田舎のいいところを融合させている点にあると考えています。

街のシンボル「ミライエ」と球体プラネタリウムの挑戦

金村:ホームページを拝見すると、地元香川では「ミライエ」という商業施設など、本当に様々な建物を手がけられていますね。

成田典子さん(以下、成田):ミライエは10年ほど前に完成した施設ですが、特徴的なのは建物の上に載っている球体の中にプラネタリウムがあることです。その下には図書館などがあり、多くの方に利用していただいています。

金村:写真で見てもインパクトがありますね。ビルの一部が球体に浸食されているようなデザインで、施工も大変だったのではないでしょうか。

成田:実は当時、そこが私の通勤路で、毎日出来上がっていく過程を見ていたんです。鉄骨が球体になっていく様は圧巻でした。ちょうど小学生がその下を通学していたのですが、みんな上を見上げながら「すごいな」という顔をして歩いていました。私は直接その現場を建てたわけではありませんが、自社の仕事であることをとても誇らしく感じたのを覚えています。

地元のランドマークを支えるゼネコンの誇り

中辻:自分の会社が手がけた建物が街のシンボルになるというのは、建設業ならではのやりがいですね。

成田:そうですね。完成した後に子供たちが中を利用している姿を見ると、自分の会社がやっているんだなと、とても温かい気持ちになります。他にも丸亀市の市役所庁舎やマルタス、高校や小学校の改築など、香川県内の主要な施設を数多く手がけさせていただいています。

金村:地元の方なら誰もが知っているようなアイコニックな建物ばかりですね。

成田:香川では官公庁の物件が完工高の2割から3割を占めています。民間のマンション建設も含め、地域の皆様に認知していただけているのは非常にありがたいことです。

従業員400名超、全国から集まる新卒採用の熱量

中辻:現在、従業員の方は400名以上いらっしゃると伺いました。非常に大きな組織ですね。

中村:人手不足はどの業界も同じだと思いますが、弊社も採用活動にはかなり力を入れています。特に新卒採用に関しては、大卒、高卒問わず全方位で取り組んでおり、全国の大学に足を運んでお話をさせていただいています。

金村:最近は遠方から入社される学生さんも増えているのでしょうか。

中村:そうですね。「面接で初めて香川に来ました」という学生さんもいます。うどんを食べて帰るというようなイメージもあるかもしれませんが、最近は「香川が好きだからここで働きたい」という子や、一度外に出たけれど地元に戻って働きたいというUターン希望の学生さんも増えていて、非常に嬉しいですね。

3年連続のベースアップと「スーパーゼネコン」並みの初任給

金村:福利厚生や働き方改革についても、近年スピード感を持って取り組まれているとお聞きしました。

中村:給与面では3年連続でベースアップを実施しています。特に東京本店勤務の方については、いわゆるスーパーゼネコンと遜色ない水準の初任給を設定しています。資格手当も充実させており、一級建築士を取得すれば毎月4万円の手当がつきます。

中辻:お金の面だけでなく、制度面での工夫もあるのでしょうか。

中村:建設会社ですので資格取得は必須ですが、学ぶための費用についても会社がバックアップしています。具体的には、資格学校の費用の半分を会社が負担し、合格すれば手当で十分に回収できる仕組みです。残りの半分についても無利子で貸し付けを行い、無理のない範囲で返済してもらう形をとっています。経済的な負担を最小限にして挑戦できる環境を整えています。

独自の若手支援制度「G1サポート」の全貌

中村:この資格取得支援制度を、社内では「G1サポート」と呼んでいます。

金村:合田工務店の「G」と、一級建築士の「1」を掛け合わせているのですね。

中村:その通りです。社員が「G1に挑戦します」と手を挙げることで、全社を挙げて応援する空気感を作っています。厳しいけれど温かい目で見守るという、程よいプレッシャーと喜びを共有しています。

中辻:現場を持つためには資格が欠かせないからこそ、会社としても本気でサポートされているのですね。

中村:現場を持って初めて建設業の一人前、醍醐味を味わえると思っています。それは会社のためでもありますが、何より本人のためです。その喜びを体感してほしいという思いで、最大限のサポートを行っています。

YouTubeで発信する「合田思考」と組織の活性化

金村:動画で見せていただいた「合田思考」というプロモーションビデオも、非常に印象的でした。

越智洋祐さん(以下、越智):「G1サポート」もそうですが、会社としての考え方や空気感を伝えるためにYouTubeなども活用しています。社員一人ひとりが会社に対してどう思っているか、一言で表すという内容の動画です。

中辻:400人いれば思いはそれぞれだと思いますが、根底にある「良い建物を建てる」という思いが一つになっているのを感じます。

越智:みんなの思いを「合田思考」という共通言語で括ることで、しんどい時も団結して乗り越えていける。そうした組織の活性化を狙っています。中途採用の方も多いですが、こうした取り組みを通じてチームとしての一体感を感じてもらえればと思っています。

就職氷河期を乗り越えた建築部・成田さんのキャリア

中辻:成田さんは新卒で入社されたそうですが、当時から建設業への思いがあったのですか。

成田:もともと幼い頃から建物や家が好きだったんです。私が入社したのは就職氷河期の真っ只中で、女子大生は行くところがないと言われた時代でしたが、どうしても好きな建設業界に行きたいと思い、今の会社にご縁をいただきました。

金村:技術職を目指されていたのでしょうか。

成田:本当は技術者になれればよかったのですが、理数系が全くダメで(笑)。でも、建物が好きという気持ちだけで飛び込みました。実際に働いてみて感じるのは、建設業はチームワークの仕事だということです。何もないところに建物が立っていくというのは、冷静に考えるとすごいことですよね。

「何もないところに建物が立つ」チームワークの醍醐味

成田:バックオフィスにいても、現場では毎日色々な問題が起こります。それをみんなで、チームワークで解決していく姿を見ていると、本当にいいなと感じます。

中辻:現場監督の皆さんは大変な苦労があるでしょうね。

成田:ええ、とてつもない苦労があると思いますが、終わった時の清々しい顔や、後から「あの時はこうだった」と歴史を語る姿を見ると、建物の歴史と共に仕事の歴史が積み重なっているのを感じます。自分の思いを建物に乗せて仕事ができるというのは、少し羨ましくもあり、誇らしくもあります。それが一つになって、今の合田工務店という会社を作り上げているのだと思います。

越智部長が語る「同じ方向を向く」組織の強さ

中辻:越智さんも現場への憧れをお持ちだったようですね。

越智:そうですね。みんなが同じ方向を向いていないと、建設の仕事は成り立ちません。この会社だからこそ、それができているのかなと感じます。

金村:その「一丸となる力」はどこから来ているのでしょうか。

越智:なぜそれができるのか、実は僕もまだ研究中なんです。ただ、75年の歴史の中で脈々と受け継がれてきたDNAのようなものが、地層のように重なって今の文化を作っている。それをみんなが受け継いでいるのだと感じています。

経理から見た「チャンスをくれる会社」の魅力

中辻:中村さんは中途で入社されたとのことですが、それまでの経歴を教えてください。

中村:私は30代前半の時に経理として採用されました。実は、経理の経験は全くなかったんです。日商簿記2級を持っているというだけで(笑)。

金村:未経験でゼネコンの経理というのは、かなり勇気が必要だったのではないですか。

中村:面接で「よく喋るな」と言われまして、「やってみるか」とチャンスをいただきました。当時は今ほどシステムも整っていませんでしたが、やりがいを持って取り組むことができました。意欲があれば若手にもチャンスをくれる、挑戦させてくれる会社だということを身をもって感じています。

2007年導入、業界を先駆けた基幹システム「ERP」

中辻:ここからはDXやデジタル化の取り組みについて伺いたいと思います。2007年という、かなり早い段階で基幹システム「ERP」を導入されたそうですね。

越智:はい。案件情報から契約、施工、原価管理、業者さんへの支払いや入金管理までを、一気通貫で管理できるシステムです。

金村:建設業界で原価管理や請求を一つのシステムで完結させるのは、当時としては画期的だったのではないでしょうか。

越智:東京本店も大阪支店も全社で同じシステムを使っています。当時はDXという言葉すらありませんでしたが、社長の先見の明と言いますか、トップダウンで「一元管理するぞ」と舵を切ったのが始まりでした。今のクラウドのような概念が一般的になる前から、全社共通のシステムを構築していたのは大きな強みです。

紙とオフコンの時代からデジタルへの大転換

金村:2007年当時だと、まだ「このパソコンでしか使えません」というシステムが多かった時代ですよね。

越智:そうですね。社内にはオフィスコンピュータ、いわゆるオフコンと呼ばれた大きな機械がありました。インターネットも満足に繋がっていないような状態から、オープン系の基幹システムを入れたわけです。

中辻:成田さんもそのプロジェクトに関わっていらしたのですか。

成田:はい。まだ自分が若かった頃ですが、各部署からスタッフが集められ、全社を挙げたプロジェクトとして始まりました。自分の知識も追いついていない中で、人生で一番苦労したのではないかと思うほど大変な経験でした。でも、他部署の仕事や現場のことが深く理解でき、その後の業務が随分とスムーズになりました。

現場の負担を減らす「マニュアル作成」と「教育」の徹底

中辻:システムを浸透させていく過程で、苦労された点はありましたか。

成田:やはり現場の人間にとって、これまでの紙のやり方を変えるのは大きな抵抗がありました。そこで、マニュアル作成を徹底し、何度もシミュレーションを行いました。

金村:現場の皆さんにどう納得してもらったのでしょうか。

成田:トップが「やるぞ」と明確にアナウンスしてくれたことが一番大きかったです。その上で、私たちスタッフが現場の業務に支障が出ないよう、デモ画面を使って教育を繰り返しました。稼働してからの1年間は、問い合わせの電話が鳴り止まない状態でしたが、一歩ずつ改善を積み重ねていきました。

キーマンを「グッと掴む」合田流デジタル浸透術

金村:デジタルに馴染みのないベテランの方へのアプローチはどうされているのですか。

越智:まずは全体にアナウンスを投げてみるんです。そうすると、興味がある人や引っ張っていってくれそうな人が必ず出てきます。その人を「グッと掴む」んです。

金村:「グッと」ですか(笑)。

越智:はい、掴んで離さない。その人をキーマンにして、周りに広げていってもらうようにしています。一足飛びに全員を変えるのは難しいですが、理解者を増やしていくことで着実に浸透させています。

クラウドストレージ「Box」と現場管理ツールの活用

中辻:最近では具体的にどのようなツールを導入されているのでしょうか。

越智:直近ではクラウドストレージの「Box」を導入しました。現場管理では「ANDPAD(アンドパッド)」を使って、タブレットで写真撮影や資料確認ができるようにしています。他にも「グリーンサイト」や「電子マニフェスト」など、現場の労働時間を削るために必要なツールは積極的に取り入れています。

金村:情報の共有スピードが格段に上がりそうですね。

越智:以前は社内のファイルサーバーを使っていましたが、容量不足や電源トラブルで落ちることもありました。Boxに移行することで、セキュリティを高めつつ、どこからでもデータにアクセスできる環境を整えています。データを一箇所に集めることで、将来的にAIなどを活用したデータ分析にも繋げていきたいと考えています。

生成AIが変える業務効率、4時間の作業が30分に

金村:生成AIについても、すでに勉強会を始められているそうですね。

中村:一昨年あたりから「これは世界が変わるぞ」と感じて、勉強会を立ち上げました。建設業界も人手不足が深刻ですので、AIの力を借りるしかありません。

越智:実際、トップランナーの社員はすでに使いこなしています。例えば、以前なら4時間かかっていたプログラミングやデータ処理の作業が、AIを活用することで30分で終わるようになったという事例も出てきています。

中辻:8分の1の時間短縮は驚異的ですね。

中村:ベテランの方も含めて全社的な説明会を行いました。「手抜きではなく、効率化なんだ」という共通認識を持ってもらうことで、若手も使いやすい空気感を作っています。

経営理念「社会に喜ばれ、満足され、選択される企業」

中辻:最後に、今後の展望や目標についてお聞かせください。

成田:弊社の経営理念である「社会に喜ばれ、満足され、選択される企業」を目指し続けることが、すべての土台です。その先にある大きな目標として、社長からは「完工高1000億円」という数字が掲げられています。社員一同、そこを目指して頑張っています。

金村:1000億という数字に向けて、具体的に何が重要になるとお考えですか。

中村:やはり「人」ですね。建設業は人が動いて仕事をする集団です。一人ひとりがやりがいを持って働ける環境を作ることが、目標達成への近道だと信じています。

「人財」こそが最大の資産、働きがいを追求する

中村:世の中ではベースアップなどお金の面が注目されますが、本質的には「人をどう育てるか」が重要です。能力開発や研修制度の充実、若手の抜擢などを通じて、みんなが活気を持って働ける組織にしていきたいです。

越智:DXはそのための基礎固めだと思っています。基礎がしっかりしていなければ、良い建物は立ちません。デジタルで業務を効率化し、人がよりクリエイティブな仕事に集中できる環境を作ることが、私の役目です。

中辻:皆様の熱い思いを伺って、合田工務店の未来が非常に楽しみになりました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

越智・中村・成田:ありがとうございました!

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