豊かな環境を創造し、次世代へ繋ぐ~株式会社橋口組
更新日:2026/1/14
▼目次
- 1 創業73年、地域密着で歩む橋口組の事業内容
- 2 企画段階から提案する「攻め」の不動産・建設スタイル
- 3 区画整理地「天辰地区」でのまちづくりプロジェクト
- 4 迅速なアフターフォローのための「1時間圏内」ルール
- 5 田んぼを切り拓き、街の活気を生み出す開発の醍醐味
- 6 土地仕入れから建設まで。中小企業ならではの「一人三役」
- 7 薩摩川内市のシンボル「センノオト」への参画
- 8 ゼネコンでの修行時代。大阪・兵庫・香川を渡り歩いた経験
- 9 帰郷のきっかけはコロナ禍と自身の健康への不安
- 10 「戻るつもりはなかった」外の世界から家業への想い
- 11 次世代への継承。父から子へ、そして孫へ
- 12 DXへの一歩。案件管理アプリ「サクミル」の導入
- 13 薩摩川内市の伴走支援を活用したデジタル活用
- 14 リアルタイムでの情報共有がもたらすメリット
- 15 紙をなくし、効率化を極める「ミニマリスト」な事務所へ
- 16 地域での人脈作りと「学び」の重要性
- 17 創業100周年に向けた展望と新社屋の計画
- 18 薩摩川内市の「ファーストコールカンパニー」を目指して
2025年5月18日(日)15:00~15:55
ゲスト:株式会社橋口組 専務取締役・橋口宗一朗さん
創業以来73年、地域密着型の総合建設業として、安全・安心な工事を通じて薩摩川内市のまちづくりを支えてきた株式会社橋口組。複合施設「センノオト」や注文住宅の建築、そして太陽光発電による環境配慮型の取り組みに至るまで、多岐にわたり対応しています。「まずは失敗してもいいからやってみよう」と、社内のデジタル化にも積極的な、若き専務・橋口宗一朗さん。これまで取り組んできたお仕事や、今後の目標などを伺いました。(鹿児島県薩摩川内市 FMさつませんだいにて収録)
創業73年、地域密着で歩む橋口組の事業内容
クラフトバンク津吉(以下、津吉):まず株式会社橋口組について、どういったお仕事をされているのか教えてください。
橋口宗一朗さん(以下、橋口):薩摩川内市の株式会社橋口組と申しまして、創業73年、地域密着型の建設業として仕事をしてきました。業種としては、住宅や公共施設などの建築事業や土木事業、そして不動産管理などを行っています。また、太陽光などの新エネルギー事業も行っておりまして、社員は35名程度で活動しています。
津吉:橋口さんは現在33歳とのことですが、専務になられてからはどれくらい経つのですか?
橋口:専務になってからは1年半ほどになります。非常に緊張しておりまして舌が回っていませんが、本日はよろしくお願いします。
企画段階から提案する「攻め」の不動産・建設スタイル
クラフトバンク田久保(以下、田久保):御社は非常に幅広く事業を取り組まれていますが、特に自慢できる事業や特徴はありますか?
橋口:一般的な建設会社は設計事務所からの仕事を請け負うことが多いですが、弊社は企画段階から関わっています。例えば、良い土地を見つけたら「この土地にマンションを建てませんか」とオーナー様に直接営業をかけ、設計から施工までを一貫して行う活動をしています。
田久保:土地探しから進めるのは、どのような形で行うのですか?
橋口:マンションの事例で言いますと、この土地であれば入居率が高いだろうという場所を見極めます。そこに賃貸マンションを建てればオーナー様も収益が上がって喜んでいただけるはずだと考え、日頃からアンテナを張っています。弊社には不動産部がありますので、そこから情報を得てマンションの企画を提案しています。
区画整理地「天辰地区」でのまちづくりプロジェクト
津吉:最近人気のエリアなどはあるのでしょうか。
橋口:最近は天辰地区という場所が区画整理されてきまして、非常に綺麗な街になってきています。道路も広いですし、新築の住宅なども立ち並んできていますので、そのあたりにマンションを建てたいと考えて調査をしています。
津吉:すでにそのエリアでも実績があるのですか?
橋口:そちらには「サンハイツ」という50戸ぐらいのマンションを建設させていただきました。今はまた別の土地を探しているような状況です。地域に根ざした建築も多く手がけていらっしゃると伺っています。
迅速なアフターフォローのための「1時間圏内」ルール
津吉:活動されているエリアについても教えていただけますか。
橋口:弊社は薩摩川内市役所から車で3分ほどの場所にありまして、そこから1時間以内の圏内を主に仕事をしています。なぜ1時間かと言いますと、建てた後に何か不具合があった場合にすぐに駆けつけられるようにするためです。お客様に迷惑をかけないよう、アフターフォローを重視するという方針でその範囲に絞っています。
津吉:アフターフォローをしっかりやりたいという思いがあるのですね。これまでに手がけられたお仕事の中で、特に印象に残っているプロジェクトはありますか?
橋口:1年半ほどのプロジェクトだったのですが、ある企業様から「寮を作りたい」というご依頼がありました。場所が決まっていない状態での土地提案から始まったのですが、街に近くて田んぼが多い場所を購入し、造成工事から手がけました。アパートを18棟、214世帯分を短期間で建設したことが非常に印象に残っています。
田んぼを切り拓き、街の活気を生み出す開発の醍醐味
田久保:214世帯分を短期間でというのはすごい規模ですね。
橋口:そのアパートを建てることによって、小さな街だった場所に周辺住宅や店舗が立ち並び、多くの人が溢れるようになりました。まちづくりの一翼を担えたことがとても嬉しかったです。元々は一面田んぼだった場所でした。
津吉:田んぼだった土地をならすところから始めたのですね。
橋口:田んぼは水がありますので、土地をならす工程や、建物自体が沈まないように杭を打つなど、色々と工夫しながら進めました。難易度というよりは時間が非常に限られていましたので、A工区、B工区、C工区と分けて、多くの業者さんに入ってもらいながら、うまく現場を回していくのが大変でした。
土地仕入れから建設まで。中小企業ならではの「一人三役」
田久保:土地の仕入れから手がけるスタイルは、昔からされているのですか?
橋口:そうですね、昔から建設業と不動産業をセットで行っています。今の社長である父がスタートさせた形です。
田久保:これだけの規模の会社さんで土地仕入れまでやるのは、非常に多忙ではないですか。数千人規模の会社がやるようなイメージがありますが。
橋口:大企業であれば分業制で担当者がつくのですが、弊社のような中小企業は少人数ですので、一人三役という形で動いています。建設も営業も、何でもこなさなければなりません。従業員としては大変かもしれませんが、やりがいは非常にあると思います。施主様からも直接お声がかかる環境です。
薩摩川内市のシンボル「センノオト」への参画
津吉:街のシンボルにもなっている「センノオト」という建築にも携わられたそうですね。
橋口:薩摩川内市にはこれまでスターバックスがなかったのですが、市役所の前に初めてスタバができました。佐賀県武雄市の図書館のようなスタイルで、本も無料で読め、子供が遊ぶスペースもある施設です。薩摩川内市民なら誰でも知っているシンボル的な建物になっています。
津吉:写真で見ましたが、とても温かみのある建物ですね。
橋口:規模は大きいのですが、全体を木造で作っていまして、環境に配慮した建物になっています。オープン当時はすごい行列ができていました。身内や友達に「あれは自分が携わったんだよ」と自慢できるのが、この仕事の嬉しいところですね。
ゼネコンでの修行時代。大阪・兵庫・香川を渡り歩いた経験
津吉:橋口さんが入社されるまでの経歴についても教えてください。
橋口:ゼネコンに6、7年ほど勤めていました。大阪支店に所属し、大阪や姫路、香川などで分譲マンションや大学といった建築の現場監督をしていました。
田久保:今は現場には出られていないのですか?
橋口:こちらに戻ってきて1年目は、マンションの現場を一人で見させてもらいました。まずは自社の現場を知ることから始め、その後は営業や設計、現在は専務としての業務を行っています。この4年間は非常に濃い日々でした。
帰郷のきっかけはコロナ禍と自身の健康への不安
田久保:ちなみに、どのようなきっかけで戻ってこられたのですか?
橋口:きっかけはコロナですね。当時、仕事が忙しくて咳が止まらない病気になってしまいまして。コロナに感染したら危ないなと思い、一度避難しようと考えたのがきっかけです。主要な都市を転々としていた時期でした。
津吉:外から戻ってこられた際、子供の頃から見ていた家業の印象は変わりましたか?
橋口:子供の頃、実家が建て替えられた際に、父がお客様を優先して空いた時間に自分の家を建てたので、完成まで1年ほどかかったんです。その間、現場に入って遊んだりして「建築って面白いな」と思っていました。外に出て大きな建物を手がけても、ものづくりの素晴らしさは共通していると改めて実感しました。
「戻るつもりはなかった」外の世界から家業への想い
田久保:外の会社に入られた時は、元々戻るつもりはあったのですか?
橋口:いや、戻るつもりはありませんでした。都会で働くことに憧れていましたし、イキイキと働いていたので、そのまま今の会社で働き続けるのかなと思っていました。
津吉:それでも、体調のことやコロナを機に戻られた。
橋口:地元で育ち、育てられたので、その恩返しをしたいという思いはありました。親に対しても、これまで塾に行かせてもらったりしたので、その恩返しもしなければいけないなと考え、帰ってきて正解だったと思っています。
次世代への継承。父から子へ、そして孫へ
田久保:現在、社長であるお父様とは将来のことについてお話しされますか?
橋口:社長は今69歳ですので、70歳という区切りの良い時にどうするかという話は少し出ますが、日々の業務に追われてなかなか詰まった話はできていません。ただ、私が戻ってきたことは口には出しませんが、心の中ではずっと帰ってきてほしかったらしく、喜んでいるようです。
田久保:橋口さんご自身も、お子さんに継がせたいという思いはありますか?
橋口:今2歳の娘がいるのですが、継がせたいという思いはあります。今は女性でも建設業界でバリバリ活躍されている方が多いですから。
津吉:御社でも女性の方は活躍されていますか?
橋口:現場の技術職や採用担当など、女性の採用も積極的に行っています。インスタグラムのアカウント運用なども女性社員が担当しています。
DXへの一歩。案件管理アプリ「サクミル」の導入
田久保:ここからはDXやデジタル化の取り組みについて伺いたいのですが、具体的にどのようなことをされていますか?
橋口:弊社では現在、案件管理アプリの「サクミル」と、勤怠管理の「ハーモス勤怠」というアプリを取り入れています。私がゼネコンから帰ってきた時はDXという単語もなく、完全に紙文化の会社でした。これから先を考えるとデジタル化は不可欠だと思い、まずは導入しやすいアプリから始めました。
田久保:導入の経緯は、橋口さんが主導されたのですか?
橋口:私がトップに立ち、その下にDX担当の女性社員を置いて進めました。彼女は採用やSNS運用も兼務しています。ツール選定については当初ネットで調べていたのですが、数が多すぎてどれが良いか分かりませんでした。
薩摩川内市の伴走支援を活用したデジタル活用
田久保:ツールの選定はどのように決めたのですか?
橋口:たまたま薩摩川内市が中小企業のDXを支援する「伴走支援」の講演を行っていたので参加しました。そこで担当の方からアドバイスをいただき、約3ヶ月間、月に2、3回ほどズームで打ち合わせをしながら、まずは安価なものから始めてみようということで導入を決めました。
津吉:導入はスムーズに進みましたか?
橋口:建設会社ですので高齢の方も多く、「慣れない」「今までの方が良い」という声もありました。しかし、「失敗してもいいからやってみよう」というチャレンジ精神で社員全員に伝えました。実際に使ってみると意外と便利だということが浸透し、今は全員がちゃんと使っています。
リアルタイムでの情報共有がもたらすメリット
津吉:具体的にどのような場面で活用されていますか?
橋口:現場の勤怠打刻や、日報、案件管理に使用しています。中小企業では現場監督が営業も兼ねることが多いですが、今までは報告が紙で事務に回っており、リアルタイムで情報が上がってきませんでした。今はアプリを開けば誰がどのような仕事を取ってきたかがすぐに分かります。
田久保:進捗管理以外にもメリットはありましたか?
橋口:恥ずかしい話ですが、以前は請求漏れなどもありました。工事はしたけれど請求書を出していなかった、ということが稀に起きていたんです。今は案件を一覧で確認でき、請求書を出したか、入金が完了したかまでリアルタイムで分かるので、そうしたミスがなくなりました。
津吉:市が伴走支援をしてくれるのは珍しいですね。飲食関係の導入事例は多いですが、建設業でのモデルケースになっているのではないでしょうか。
紙をなくし、効率化を極める「ミニマリスト」な事務所へ
田久保:他社の経営者の方とも情報交換はされますか?
橋口:同世代の社長や少し上の世代の方と「どのアプリが良いか」といった話をよくします。情報交換をしながら、うちはこのソフトを入れているよ、といった話をしています。
田久保:今後、さらに進めていきたいデジタル化はありますか?
橋口:アイパッドで全てを管理し、紙を完全になくしたいと思っています。図面を紙に出してチェックするのではなく、アイパッドで完結させたいです。ゼネコン時代にアイパッドが支給され始めていたので、その便利さは知っています。
田久保:DXにそれほど精力的に取り組まれる理由や思いはどこにあるのですか?
橋口:個人的にはシンプルなものが好きで、机の上や会社の中が紙で乱雑になってほしくないんです。パソコンと机、椅子だけのミニマリスト的な、建設業らしくない建設業を目指していきたい。最先端を走っていきたいという思いがあります。
地域での人脈作りと「学び」の重要性
田久保:地元以外でも情報交換の機会はあるのですか?
橋口:建築士会などの会合で県外の方とお話ししたり、コンサル会社が企画する他社視察ツアーに参加したりしています。建設業だけでなく、製造業や飲食業の事例も見に行きます。
田久保:異業種の事例も勉強になるのですね。
橋口:建設業にずっといると概念が凝り固まってしまいますが、異業種の話を聞くとそれをぶち壊してくれます。その内容をどう建設業に活かせるか考えながら学んでいます。建築は一生勉強し続けなければならない分野だと思っています。
津吉:趣味の釣りもYouTubeにアップされているそうですね。
橋口:「きままに釣りライフ」というチャンネル名で、父と離島へ行って釣りをしている様子をアップしています。ドローンを飛ばして撮影したり、自分で編集したりしています。仕事だけでなく、新しいことを学ぶのは楽しいですね。
創業100周年に向けた展望と新社屋の計画
津吉:今後の橋口組の展望について教えてください。
橋口:残り27年で100周年を迎えますので、まずは100年企業を目指したいです。建築は建てて終わりではなく、50年、100年と残っていくものですから、しっかりとアフターフォローを続けていきたい。その第一歩として、築50年ほど経っている旧耐震の社屋を新しく建て替えたいと考えています。
田久保:新社屋の構想はもうあるのですか?
橋口:今の社屋の目の前にある倉庫を解体して、そこに新築する計画です。社員が快適に働ける場所にしたいですね。予算の見積もりが想定の倍ぐらいになってしまったので、今は少しコンパクトにまとめようと調整中ですが(笑)。
津吉:新しいことにもチャレンジしていく方向性ですか?
橋口:本業である建築・不動産に関連した新規事業は常に考えています。例えば、今まで手がけてきた倉庫や工場をブランディングして売り出していきたい。物流の2004年問題や冷凍冷蔵倉庫の需要がありますので、そちらに積極的に働きかけていきたいです。
薩摩川内市の「ファーストコールカンパニー」を目指して
津吉:最後に、橋口さんが今後目指したい姿を教えてください。
橋口:薩摩川内市の「ファーストコールカンパニー」になりたいと思っています。建築や土木で悩みがあったら、まずは橋口組に相談してみよう、電話してみよう、と言っていただける位置付けになりたいです。
田久保:そのためには何が重要だとお考えですか?
橋口:愛される拠点を作ることです。お客様や利用される方に愛してもらえる建物を作っていきたい。そのためには日々の打ち合わせや議事録の作成といった小さなことの積み重ねで、お客様との信頼関係を築いていくことが大切だと思っています。
津吉:橋口さんのお話から、地域への真摯な思いが伝わってきました。本日は貴重なお話をありがとうございました。
橋口:ありがとうございました。
■株式会社橋口組 https://www.hashiguchigumi.com/
■FMさつませんだい https://fm871.com/
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