クラフトバンク総研

インフラからスポーツまで、福山の力に。~株式会社松原組

更新日:2026/1/14

2025年12月14日(日)15:00~15:55
株式会社松原組 常務取締役・藤木貴志さん、社長室広報・平山友里さん

広島県福山市で創業し、70年以上の歴史を持つ総合建設会社、株式会社松原組。事業は「建設事業」と「製鉄関連事業」の二本柱で展開。建設分野では道路・橋梁・河川などの公共インフラ整備から建築、耐震工事まで幅広く手掛け、代表的な施工例に福山市の大型体育施設「エフピコアリーナふくやま」や福山シティFCの練習場「Evolvinフットボールフィールド」があります。出産祝い金制度など福利厚生を整えるなど、社員が安心して働ける環境づくりにも積極的。番組では、製鉄関連事業なでも手掛ける同社の取り組みやデジタル化、今後の展望などをお伺いしました。

建設業と製鉄関連事業を柱とする事業展開

クラフトバンク金村(以下、金村):最初に、株式会社松原組がどのようなお仕事をされている会社なのか、ご紹介いただけますでしょうか。

藤木貴志さん(以下、藤木):弊社松原組は広島県福山市で創業を迎えまして、最初は土木を中心とした総合建設業としてスタートしました。現在は地元にあるJFEスチール株式会社様の製鉄所の中で、製鉄を作る工程における作業をお手伝いさせていただく「製鉄関連事業部」との二本柱で事業を展開しています。

金村:建設業と製鉄関連事業の二つの分野が中心なのですね。従業員数もかなり多いとお聞きしました。

藤木:現在はグループ全体で、再雇用や派遣の方も含めると313名ほどになります。松原組単体の社員数としては、約280名という規模で活動しております。

創業70年の歴史と地元福山への貢献

金村:創業から70年という非常に長い歴史をお持ちですが、地元福山に根ざした活動を続けてこられたのですね。

藤木:そうですね。地元福山の公共インフラ整備はもちろんですが、30年前からは京浜支店も構えております。横浜の地と地元の福山の二つの拠点で、建設業と製鉄関連事業を軸に歩んできました。

金村:福山と横浜、二つの拠点で地域を支えていらっしゃるのは素晴らしいですね。建設業の中では、土木以外にも力を入れている分野はあるのでしょうか。

藤木:現在は建築事業にも力を入れています。数年前には福山競馬場の跡地に完成した総合体育館の建設に、大手スーパーゼネコン様とのJVで元請として参画させていただきました。また、地元の小中学校の耐震補強や幼稚園の改修工事など、少しずつですが建築の分野でも実績を積み重ねています。

飲食から教育まで多角化するグループ事業

金村:松原組は建設関連以外にも、グループで様々な事業を手掛けていらっしゃると伺いました。

平山ゆりさん(以下、平山):グループ会社では、飲食業や幼児教育、福祉関連の事業を展開しています。他にもゴルフの室内練習場の経営なども行っています。

金村:建物や道路を作るハード面だけでなく、ソフト面での運営事業も幅広く行っているのですね。

平山:グループ全体として「福山にないものを新しく取り入れよう」という姿勢を大切にしています。ワクワクする街に福山をしていきたいという思いから、総合建設業の枠を超えて様々な分野に力を入れています。

「福山を面白くしたい」三代目社長の想い

金村:多角的な事業展開は、創業当時からの考え方だったのでしょうか。

藤木:現在の社長が三代目になるのですが、私が先代の社長からお世話になっていた頃と比べても、三代目に代わってから大きく変化したと感じています。この10年ほどで、飲食や福祉、インドアスポーツといった分野が急速に広がりました。

金村:三代目社長が掲げた方針がきっかけだったのですね。

藤木:社長は「地域を明るくしよう」「福山をこのままではいけない、もっと面白くしよう」という強い思いを掲げています。創業者のイズムを継承しつつ、社長の強力なリーダーシップによって、今の多角的な松原組の形が出来上がったのだと感じています。

社長が感じた福山の課題と挑戦の背景

金村:社長が福山を面白くしようと考えたのには、何か大きなきっかけがあったのでしょうか。

藤木:社長は以前、横浜支店に長く勤務していました。社長就任にあたって福山の本社に戻ってきた際、横浜と比較して当時の福山に対して少し寂れたようなイメージを持ったらしいのです。

金村:外から戻ってきたからこそ、地元の課題が見えたのですね。

藤木:経営者として様々な研修に参加したり、他の経営者の方々との横の繋がりを持ったりする中で「自分で福山の道を切り拓かなければならない」と決意したようです。自社だけでなく、福山の街全体を元気にしたいという思いが、今の多角的な事業に繋がっています。

地元サッカークラブを支える「エヴォルヴィン フットボール フィールド」

金村:地域を元気にする取り組みとして、具体的な施設などはありますか。

平山:総合建設の分野では「エヴォルヴィン フットボール フィールド」というサッカーの練習場を建設しました。ここは実際に私の娘も試合で使わせていただくなど、地域の子供たちが日々活用しています。

金村:自社で手掛けた施設を、社員のご家族や地域の子供たちが利用しているのは嬉しいことですね。

藤木:元々は「福山からJリーグチームを作ろう」という福山シティFCの代表の方とのご縁から始まったプロジェクトです。社長も「地域に面白いものができたね」と喜んでいます。全面人工芝の立派なグラウンドができたことで、地元のサッカー環境は大きく変わりました。

地域に根ざしたスタジアム建設への意気込み

金村:サッカー場だけでなく、さらに大きな構想もあるのでしょうか。

藤木:Jリーグに上がるためには練習場だけでなくスタジアムも必要になります。社長は「ホームスタジアムも福山に作るぞ」と今から意気込んでいます。

金村:福山の街に自分たちの手でスタジアムを作るというのは、建設会社として最高の目標ですね。

平山:地域の子供たちが松原組の手掛けた仕事によって、日々の生活が潤ったり、活力を得たりしている様子を間近で見られるのは、私たち社員にとっても非常に誇らしいことです。

驚愕の福利厚生「出産祝金制度」の概要

金村:松原組は地域貢献だけでなく、社員への福利厚生も非常に手厚いと評判ですね。特に出産祝金制度が凄いとお聞きしました。

藤木:そうですね。弊社の出産祝金は、第一子で100万円、第二子で200万円、そして第三子以降は300万円を支給しています。

金村:それは驚きの金額ですね。建設業界だけでなく、日本全体で見てもこれほどの祝金は聞いたことがありません。

藤木:しかも、これは額面ではなく「手取り」で支給される金額です。課税される税金分は会社が負担して、社員の手元に丸々その金額が届くようにしています。

「手取り支給」にこだわる社長の決断

金村:手取りで100万円、200万円、300万円というのは本当に破格ですね。ホームページにもそこまで詳しく書かれているのですか。

平山:実はホームページには「手取り」とは書いていないんです。でも、実際に受け取る金額がそのままの額になるように制度を整えています。

金村:なぜこれほどまでに手厚い制度を導入されたのでしょうか。

藤木:元々は10万円や20万円といった一般的な金額の案も出ていました。しかし、一晩寝て目覚めた社長が「中途半端はいけない」と言い出したのです。「一人目は100万、二人目は200万、三人目は300万渡そう」と。これによって会社がどうにかなることはないと断言し、当時の取締役会もざわつきましたが、社長の決断で決まりました。

転職者にも適用される柔軟な制度運用

金村:もし、すでにお子さんがいる方が転職してきた場合はどうなるのでしょうか。

藤木:厳密には半年間の使用期間がありますが、それをクリアした後は、二人目が生まれれば「第二子」として200万円を支給します。入社してから何人目かではなく、その社員にとって何人目のお子さんかで判断しています。

金村:それは転職を考えている方にとっても大きな魅力ですね。四人目以降はどうなるのですか。

藤木:四人目以降もずっと300万円を支給し続けます。実際に制度を始めてから6期目、7期目に入りますが、社員の喜ぶ顔が見られるのは経営側としても嬉しいものです。

孫の誕生を祝う「お孫さんお祝い金制度」

金村:さらには、お子さんだけでなくお孫さんに対しても制度があるとか。

平山:はい、最近新しくできた制度なのですが、社員にお孫さんが生まれた場合にも10万円を支給する「お孫さんお祝い金制度」を始めました。

金村:お孫さんのお祝い金というのは非常にユニークですね。松原組で長く働いている年配の社員の方々にとっても嬉しいニュースです。

藤木:これも社長がある朝「これをするぞ」とパッと思いついたようです。私たちも言われたらすぐに活用できる準備をするだけですが、世代を問わず、社員の家族の慶事を会社全体で喜ぼうという姿勢の表れだと思います。

社員ファーストの姿勢と「感謝祭」の開催

金村:社長は常に社員のことを考えていらっしゃるのですね。

藤木:今年はグループ全体でホテルを借り切って「感謝祭」も行います。社長は常に人と会社、特に今は従業員をものすごく大事にしているなと肌で感じています。

金村:建設業界も少子高齢化で人手不足が課題ですが、こうした取り組みは若手へのアピールにもなりますね。

藤木:福利厚生を充実させることで「建設業も悪くないな」と思ってもらえるきっかけになればと思っています。綺麗な物語だけでなく、実際に社員の生活が潤うような還元を具体的に示すことが、今の時代には必要なのだと考えています。

利益を社員と地域に還元する経営の根幹

金村:こうした手厚い還元ができるのは、会社の業績が安定しているからこそですね。

藤木:得た利益を社員に返し、また地域にも長年寄付を続けています。これは決して「偉い」と思ってやっているわけではなく、私や社長の中では四極普通のこととして捉えています。

金村:利益の使い道として、まず社員と地域が来るのですね。

藤木:建設業である以上、地域に人がいなくなれば仕事もなくなります。地域が儲かれば私たちの仕事も増える。そうした経済の循環を考えると、地域への還元や人への投資は、経営として至極真っ当なロジックに基づいているのです。

松原組におけるDXの現在地と模索

金村:ここからはデジタルの取り組みについてお伺いします。現在、DXやICTについてはどのような状況でしょうか。

藤木:正直に申し上げますと「これだ」という決定打を模索している最中です。事業部ごとにレイヤーが異なるため、一律にツールを導入するのが難しいという現実があります。

金村:製鉄関連と建設では現場の動きも全く違いますからね。

藤木:製鉄関連の現場では重機に乗ったり実作業をしたりするメンバーが多く、年齢層の幅も広いため、デジタルをどう当てはめるかが課題です。一方で管理本部などでは効率化が進んでいますが、現場に即した一元的なデジタルツールの導入は、まだ試行錯誤の段階です。

ICT建機の活用と協力会社との連携

金村:土木の現場などではICT建機の活用は進んでいるのでしょうか。

藤木:役所のお仕事などではICT建機を使わなければならない現場もありますので、ドローン測量やICT建機の導入は進めています。

金村:自社で全て保有されているのですか。

藤木:現在はICT施工に強い協力会社様がいらっしゃいますので、工事ごとに専門業者様にお任せする形をとっています。ただ、自社の社員の能力向上も必要ですので、そこはバランスを考えながら取り組んでいます。

広報担当者がドローン免許を取得した理由

金村:平山さんは、広報担当としてドローンの免許を取得されたそうですね。

平山:はい、先月取得したばかりです。元々は松原組やグループ会社のInstagramを運営しているのですが、建設や土木の施工プロセスをもっと多くの人に知っていただきたいと思ったのがきっかけです。

金村:広報の視点からドローンを活用しようと考えたのですね。

平山:今までは地上からの写真しか撮れませんでしたが、これからは上空からの動画なども活用して、松原組がどのような仕事をしているのかをより魅力的にアピールしていきたいと考えています。

元請会社が直面するDXの構造的課題

金村:建設業界全体でDXが進まない要因について、藤木さんはどのようにお考えですか。

藤木:地方の建設業においては、元請会社がDXを推進しにくい構造的な問題があると感じています。元請は管理が中心になり、実際の施工は協力会社に任せることが多いため、自社の社員が技術的なデジタルツールを使いこなす機会が少なくなってしまいがちです。

金村:協力会社が優秀であればあるほど、元請の社員がタッチしなくても現場が進んでしまうのですね。

藤木:その通りです。「下請けに任せておけばいい」という風潮が地方ではまだ残っており、それがDXの停滞を招いています。元請としてもICTの知識を持って、一緒に現場の効率を上げていく姿勢が必要です。

評価制度へのデジタル導入の必要性

金村:制度面でDXを後押しする方法はないのでしょうか。

藤木:現在の公共工事におけるDXの加点対象は、施工方法や建機の活用に偏っています。そうではなく、元請がどれだけDXに取り組んでいるかという「会社評価」に繋がるような仕組みを、発注者側も考えていただければと思います。

金村:会社としての取り組み自体が評価されるようになれば、導入速度も変わりますね。

藤木:例えばクラウドバンク様のようなシステムを導入していることが加点対象になれば、一気に普及するはずです。施工のICT化だけでなく、管理のデジタル化も正当に評価される時代になってほしいですね。

生成AIを事務作業の効率化に活用

金村:藤木さんの部署では、生成AIも活用し始めていると伺いました。

藤木:事業本部という部署で、新規事業の企画書や提案書の作成に生成AIをテスト導入しています。オフライン環境で、誰が見ても読みやすい文章に整えるために活用しています。

金村:具体的にはどのようなメリットを感じていますか。

藤木:メールの返信案を数秒で作成したり、プロンプトを工夫して履歴を残したりすることで、事務作業の時間が大幅に短縮されています。

金村:管理職の方が自らAIを使いこなしているのは、若手社員にとっても刺激になりますね。

藤木:判断するのは自分自身ですが、たたき台を作る作業をAIに任せることで、より本質的な業務に時間を割けるようになっています。こうした小さな積み重ねが、会社全体の生産性向上に繋がると信じています。

「雇用の創出」こそが経営者の役割

金村:最後に、これからの松原組の展望についてお聞かせください。

藤木:私が経営に携わってから一番掲げているのは「雇用の創出」です。今以上の仲間と、今以上の協力会社の方々と、全国的に仕事ができる環境を作っていきたい。

金村:雇用を増やすことが、地域貢献の最大公約数だということですね。

藤木:はい。私は現場で育ててもらった人間ですので、そうした出会いの場を増やしたい。松原組が建設業にこだわらず、全国のゼネコン様から「松原組に頼みたい」と言われるような、専門性を持ったスペシャリスト集団を目指していきたいと考えています。

建設業の「ストーリー」を伝えていきたい

金村:これからの建設業界を担う若い世代に向けて、メッセージはありますか。

藤木:建設業は決して楽な仕事ではありません。暑い時も寒い時もあります。しかし、一つのものを作る過程には必ず「ストーリー」があります。

金村:平山さんの広報活動も、そのストーリーを伝えるためのものですね。

平山:はい。松原組が地域でどのような役割を果たしているのか、その裏側にある熱い想いをSNSなどを通じて発信し続けていきたいです。

藤木:たくさんの人が関わって、地図に残る仕事をする。その醍醐味を、より多くの人に感じてもらえるような会社にしていきたいですね。それが、地域に信頼されるものづくりを続けることにも繋がると確信しています。

■株式会社松原組 https://matsubara-gumi.co.jp

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