クラフトバンク総研

熊本県八代市のインフラを支える株式会社中山建設 

更新日:2026/1/14

2025年10月12日(日)15:00~15:55

株式会社中山建設 代表取締役・中山英朗さん
今年5月、中山グループとして創業70周年を迎えた、熊本県八代市に本社を構える株式会社中山建設。土木・舗装工事を中心に地域のインフラ整備を担い、国土交通省や熊本県から優良工事企業として表彰されるなど、高い施工品質と社会貢献が評価されています。砂利の会社として歴史が始まったという同社。「砂利って?」「砕石って?」など、なかなか知ることのできない”砂利の世界”についても語っていただきました。

土木・舗装・浚渫まで幅広く手掛ける事業概要

クラフトバンク中辻(以下、中辻):まず最初に、中山建設がどのようなお仕事をされている会社なのか、その概要について教えていただけますか。

中山英朗さん(以下、中山):土木一式というのがメインになりますが、次の柱として舗装関係があります。それと、海の方ではそれほど大掛かりなものではありませんが、浚渫(しゅんせつ)なども行っています。色々なことを雑多に、幅広く手がけている会社です。

中辻:やはり土木系がメインということなのですね。八代に根ざした企業として、多方面で活躍されていることが伺えます。

砂利採取から始まった創業の歴史

中辻:中山建設は八代で創業されたとのことですが、創業は何年になるのでしょうか。

中山:元々を言いますと、中山砂利商会という会社でした。八代の方ならご存じかもしれませんが、前川のところで川砂利を採取していた会社だったのです。それが昭和35年にできまして、その4年後にちょうど港の復興期だったこともあり、建設部を作って土木を始めたのがきっかけです。株式会社中山建設という名前になってからは、今年でちょうど50年目を迎えることになります。

中辻:元々は砂利の採取からスタートされたのですね。そこから時代の要請に合わせて建設業へと発展し、節目の年を迎えられているのは素晴らしいことだと思います。

八代のインフラを多角的に支える中山企業グループ

中辻:現在は中山建設だけでなく、中山企業グループとして複数の事業を展開されているのですね。

中山:通称「グループ」と呼んでいますが、先ほどの中山砂利株式会社、それから現在は採石を行っている八代採石工業株式会社、ここがグループで使用する土地のオーナー会社のような形になっています。それと民間車検場を運営している中山車輌という個人会社もあります。

中辻:建設関連以外にも幅広く展開されているのですね。他にもお仕事をお持ちだとか。

中山:プラスして、ケーブルテレビの「テレビ八代」の社長も私が務めています。こちらは株主として出資されている方が結構いらっしゃいますので、グループの中の単独会社ではありませんが、多岐にわたる事業に携わらせていただいています。

大手舗装会社「日本道路」での修行時代

中辻:中山さんご自身も、ずっと建設の道を歩まれてきたのですか。

中山:大学を卒業してから5年ほど修行に出ていました。それ以外はずっと会社から離れたことがないので、ほとんど建設会社一本と言っていいかもしれません。

中辻:中山建設に戻られる前は、どのような会社で修行をされていたのでしょうか。

中山:今は上場廃止されていますが、私が入った頃は株式会社日本道路(現・NIPPO)という舗装専門の全国ナンバーワンの会社でした。そこで九州管内を中心に5年弱ほど修行をさせていただきました。

現場の激動を肌で感じた長崎バイパス工事

中辻:修行時代に、特に思い出に残っている現場や大変だった経験はありますか。

中山:一番初めに行ったのが長崎のバイパス工事でした。諫早(いさはや)のあたりだったのですが、現場が日々変わっていく様子をワクワクしながら見ていたのが印象に残っています。ちょうどその時に長崎大水害があり、諫早に泊まり込みになったことも含めて、非常に強い印象として残っています。

中辻:初めての現場で大きな災害も経験されたのですね。現場の規模も大きく、ご自身がその場にいることを強く実感された時期だったのではないでしょうか。

舗装工事の奥深さと層状構造の学び

中山:舗装というのは、改良工事と違ってある程度形はできているのですが、そこからさらに路盤があり、安定処理があり、基層、中間層、表層と、縦に積み上がっていくような感じなのです。舗装は全部こうなっているのかと、最初は勘違いするほど恵まれた現場でした。

中辻:その後も様々な現場を経験されたのですか。

中山:その後は農道などで、厚さが8センチや4センチといった現場も経験しました。重交通の道路とは全く違う断面があり、舗装がどのように作られていくのか、その違いを学ぶことができたのは大きかったですね。

中辻:厚みの違いは用途によって決まるのですね。道路の中身を意識することは普段あまりありませんが、非常に専門的な技術が必要なのだと感じます。

中山舗装との合併と時代の変化への対応

中辻:中山建設でも舗装をされていますが、グループ内でも体制の変化があったのでしょうか。

中山:元々は常盤道路(じょうばんどうろ)という会社があったのですが、先代から引き継いだ後、一社ずつでは成り立たないということで、約20年ほど前に合併しました。それからは中山建設として一本化しています。

中辻:時代の状況に合わせて企業の形態も変えながら、長く継続されてきたのですね。今年で創業70年とのこと、歴史の重みを感じます。

二代目としての自覚と、予期せぬ進路変更

中辻:中山さんは、最初からご自身がこの会社を継ぐという思いはあったのでしょうか。

中山:アルバイト感覚で中学の頃からお小遣い稼ぎを手伝っていたので、体を使うことは嫌いではありませんでした。ただ、私は次男でして、兄が同じ学校に行っていたのですが、兄が3年生で進路を決める時に全く違う分野に進んだのです。「えっ?」と思いましたね。

中辻:お兄様はどのような道に進まれたのですか。

中山:兄は優秀だったので、今は引退しましたが歯科医をずっと続けていました。自分の進学の時に親父から「お前はどうするんだ」と聞かれ、サラリーマンになろうかなと言ったら、全く違う道へと導かれました。

33歳での社長就任と、母の支え

中辻:結果的に、かなりお若い時に社長に就任されたのではないですか。

中山:今年で社長になって33年目になります。父が早くに亡くなったもので、誰か間に入るのかなと思ったら、そのまま「するなら若いうちからお前がしろ」という形になりました。30代の頃ですね。

中辻:突然の就任で戸惑うことも多かったのではないでしょうか。

中山:周りはほとんど年上の方ばかりでしたからね。そこは先日亡くなった母が、事務関係で途中から入ってきてくれて、色々と気を使ってくれました。父のブレーンとしての役割も残っていた時代でしたので、母に宥められながら、なんとか好き勝手させてもらったという感じです。

砂利と採石の違いとは

中辻:中山さんのルーツである「砂利」と「採石」についてお伺いしたいのですが、この二つにはどのような違いがあるのでしょうか。

中山:砂利というのは、主に河川を流れてきた石のことです。上流から流れてくる間に角が取れて丸くなった、硬い石が砂利ですね。昔はサイズによって「三分砂利」などと呼んでいました。

中辻:河川で採取されるのが砂利なのですね。では採石の方は。

中山:採石は山にある岩などを破砕して、生コンクリートや舗装の材料として使うサイズに割ったものです。文字通り「砕く石」と書いて採石です。採取する場所が山であり、機械を通して適切な大きさに加工する工程が入ります。

有限な資源を守り、活用する採石業

中辻:採石業の方は、山ごと土地を所有しているのが一般的なのでしょうか。

中山:基本的には土地を所有して行いますが、稀に国有地の許可を取って行っているところもあります。しかし、これは有限な資源です。なくなればまた新しい場所を探さなければなりません。

中辻:資源には限りがあるのですね。一度場所を決めれば、どれくらいの期間採取できるものなのですか。

中山:最低でも50年くらいは取れるような場所を想定して手をつけます。今は環境問題やアセスメントの兼ね合いもあり、新規の参入はなかなか難しくなっていますが、地域に必要な資源を供給し続ける責任があると考えています。

中山建設におけるDXの第一歩

中辻:ここからは中山建設のデジタル化、DXへの取り組みについてお伺いします。現在、最初に取り組まれていることは何でしょうか。

中山:パソコン関係の支給は結構早かった方だと思います。30年近く前になるでしょうか。現場関係で言えば、今は「i-Construction」が標準設計になっていますので、トータルステーションを含め、そういった機械を使用できる設備投資は積極的に行っています。

中辻:現場の管理を効率化するためのツールも導入されているのですね。

中山:現場野帳や杭打ちなども、現場がより早く、正確にできるように現場の声を聞きながら取り入れている最中です。

外部パートナーと連携したi-Constructionの推進

中辻:i-Constructionは設備が高価であったり、導入のハードルが高いという声も聞きますが、そのあたりはいかがですか。

中山:最近はリース会社さんも搭載機を多く持っていますし、下請けをお願いする専門業者の方々も、それを標準として持たれていることが多いです。そういった協力会社さんとの付き合いの中で、自然と進んできている部分もあります。

中辻:現場の仕上がりについても、以前と比べて変化を感じますか。

中山:だいぶ違いますね。以前は何もないところに何度も丁張り(ちょうはり)をかけなければなりませんでしたが、今はその必要がありません。外注する分、下準備は早くなったと感じます。

人材不足解消への期待と管理業務のデジタル化

中辻:デジタルの導入によって、人手不足の解消や効率化などの成果は出ていますか。

中山:効率は良くなっています。ただ、ドローンによる3次元測量のデータなどを誰が処理するのかという問題があります。自社でできれば良いのですが、それを専門にできる人間を雇うのは、人手不足もありなかなか難しいのが現状です。

中辻:そこは測量会社さんなどに依頼されているのですね。事務的な部分のデジタル化はどうでしょうか。

中山:日報などはまだ手書きの部分が多いですね。採石の方であれば、製品伝票などは打ち込むだけで送れるようになっていますが、人間がどれだけ動いたかといった管理については、まだ課題が残っています。

現場の声から始まる水平展開

中辻:新しい技術やデジタルの取り組みについて、現場から「これをやりたい」という声が上がることもあるのでしょうか。

中山:上がってきますね。そういう場合は現場の声を優先するようにしています。1、2箇所の現場で試してみて、良い成果が出れば、全体的に水平展開していくという流れです。

中辻:まずスモールステップで試してみるというルールがあるのですね。

中山:極端にお金がかからない提案であれば、まずは「やってみなはれ」でやらせてみます。成果が出れば統一していけばいいですし、出なければ次の方法を考えればいい。その柔軟性は持っておきたいと思っています。

若手社員の採用と世代間ギャップの克服

中辻:中山建設では最近、お若い方の採用も増えているそうですね。

中山:この5年ほど、若手を入れようということで取り組んでいます。今年で4年目になる若手もいます。全社の平均年齢は現在46歳くらいですが、20代もだいぶ増えてきました。

中辻:お若い方からのデジタルの提案などは活発ですか。

中山:まだ現場のことが分かっていないので、何にデジタルを使えば良いかの判断は難しいようです。むしろ、40代の責任を持ってやっている世代の方が、現場を理解した上で「ここにこれが使えるんじゃないか」という提案をしてくれます。

AI活用による技術継承の可能性

中辻:これから取り入れていきたい、あるいは将来的に期待している技術はありますか。

中山:AIには興味がありますね。例えば「AIマニュアル」のようなものがあれば、自分たちのように「背中を見て覚えろ」ではなく、若い子たちが分からないことを質問すればすぐに施工の仕方を答えてくれる。そういう仕組みがあれば、技術の継承もスムーズになるのではないかと思います。

中辻:若手育成の観点からも、AIの活用は大きな可能性を秘めていますね。

中山:マニュアル作成の負担も減りますし、職人不足の解消にも繋がるかもしれません。今はまだアナログな部分も多いですが、これからはAIなども上手く活用して、負担を少なくしていければと考えています。

地域に信頼される「ものづくり」の継続

中辻:中山建設の将来に向けた目標について教えてください。

中山:一番は「地域に信頼されるものづくり」ができる会社であり続けることです。これが最終的な目標です。あとは、社員が安心して働ける職場づくりですね。

中辻:次世代への継承という点では、どのような想いがありますか。

中山:後継者の育成はこれからの大きな課題です。八代という地域の方々が「あそこに入りたい」と言ってくれるような会社にしていきたい。人間が増えればまた別の事業も考えられますし、柔軟性を持ってやっていきたいですね。

建設業の醍醐味は「形として残る」こと

中辻:中山さんが感じる建設業の魅力、この仕事の良さはどのようなところにあると思われますか。

中山:やはり自分が作ったものが「形として残る」ことではないでしょうか。何十年か経ってから見に行って、「あぁ、まだちゃんとあるな」と思える。それはこの業界の非常に良いところだと思います。

中辻:ご自身が携わられた現場を、今でも見に行かれることはありますか。

中山:「八の字堰(はちのじぜき)」という、球磨川の水をせき止める堰を作ったのですが、4年がかりで川を半分以上止めて施工しました。令和2年の豪雨の時、壊れずに残っているか心配したのですが、2週間後に見に行ったら、ちゃんと石組みだけで耐えて残っていました。昔の人の知恵を活かして作ったものが、災害から地域を守った。それは本当に誇りに思います。

災害時にこそ発揮される建設業の底力

中辻:熊本地震や豪雨災害など、建設業が地域を守る場面は多いですよね。

中山:インフラ整備も大切ですが、基本は地域の人たちが安心して住める街づくりだQ思っています。災害が起きた時に一番最初に駆けつけるのは我々の仕事です。

中辻:マスコミでは自衛隊や消防が注目されがちですが、その方たちが通るための道を一番に切り拓くのは地元の建設会社さんなのですよね。

中山:そうです。それが建設業の務めですし、そういう姿がもっと表に出れば、みんな誇りを持って入ってきてくれるんじゃないかと思っています。建設業の「怖い、きつい」というイメージを払拭して、明るく発信していきたいですね。

■株式会社中山建設  https://nakayama.hikoichi-tv.com/
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