花巻の公共工事・住宅建築を手掛けて60年~株式会社小原建設
更新日:2026/1/10
▼目次
- 1 創業昭和38年、土木と建築の二本柱で歩む歴史
- 2 若手社員が急増中、活気あふれる従業員体制
- 3 花巻市矢沢地区に根ざした地域密着の事業
- 4 地元住民の生活を支える「農業土木」の強み
- 5 宮沢賢治の理想郷「イーハトーブ」を形にする実績
- 6 街のシンボル「なはんプラザ」や公共施設への貢献
- 7 東京でシステムエンジニアとして過ごした15年間
- 8 34歳で決意した、故郷・花巻への帰還
- 9 兄弟で会社を支える、新しい体制の始まり
- 10 デジタル化の第一歩は「Mac」と「デュアルディスプレイ」
- 11 クラウド管理の導入で「情報共有の壁」を壊す
- 12 「kintone」を活用した日報とアルコールチェックの電子化
- 13 「SiteBox」による写真管理の劇的な効率化
- 14 心理的ハードルを乗り越えるためのコミュニケーション
- 15 ベテランと若手の役割分担と現場のオペレーション
- 16 デジタル日報に込めた「未来の自分たちへの投資」
- 17 建設業界には「デバッグ」や「テスト環境」がない
- 18 地域から愛されるための「安全第一」と「顔の見える関係」
- 19 SEの経験を活かし、さらなる資格取得へ挑戦
- 20 公共工事の書類作成をテンプレート化して効率化したい
- 21 住宅リフォームでも「丁寧な仕事」で選ばれる会社に
- 22 未来のリーダーたちに贈るメッセージ
※2024年10月より番組タイトルが変更になりました。(旧タイトル:CraftBank presents「Top Runner~未来に続く道~」)
2024年10月27日(日)15:00~15:55
ゲスト:株式会社小原建設 取締役・小原朋久さん
創立60年超、岩手県花巻市で公共工事・住宅建築を手掛けている株式会社小原建設。農業が盛んな地域であるため、その特性を活かした住宅づくりを心掛けています。前職では東京でSEの仕事をされていたという、取締役の小原朋久さん。これまでの経験を活かし建設業のDX化に前向きにチャレンジを続けています。(岩手県花巻市・えふえむ花巻にて収録)
創業昭和38年、土木と建築の二本柱で歩む歴史
クラフトバンク中辻(以下、中辻):早速ですが、株式会社小原建設について、どのような会社なのか概要を教えていただけますか。
小原朋久さん(以下、小原):会社としては、創業が昭和38年10月になります。業種は特定建設業で、土木業務が半分、建築と一般住宅の方が半分という割合で事業を展開しています。
クラフトバンク田久保(以下、田久保):土木と建築をバランスよく手がけていらっしゃるのですね。
小原:そうですね。昔から両方の分野で実績を積み重ねてきました。
若手社員が急増中、活気あふれる従業員体制
田久保:従業員の方は何名くらいいらっしゃるのですか。
小原:今は23名ほど在籍しています。私が会社に戻ってくる5年ほど前までは若手がほとんどいなかったのですが、今は20代から40代の若手が12名ほどに増えました。
中辻:若手の方が半分以上というのは、建設業界では珍しいほど活気がありますね。
小原:平均年齢も少しずつ下がってきました。一方で、50年近く勤めているベテラン勢も残ってくれていますので、若手とベテランが混ざり合って頑張っています。
花巻市矢沢地区に根ざした地域密着の事業
中辻:ずっと花巻市を拠点に活動されているのですか。
小原:はい。会社があるのは花巻市の矢沢という地区で、地域に密着して長く続けてきました。基本的には花巻市内がメインですが、お付き合いによっては盛岡や水沢など周辺地域まで足を伸ばすこともあります。
田久保:住宅事業も花巻が中心なのですか。
小原:住宅も花巻がメインですが、ご紹介をいただいて陸前高田や遠野の方まで新築を建てに行ったり、リフォームを手がけたりすることもあります。
地元住民の生活を支える「農業土木」の強み
中辻:会社の強みや特徴についても伺えますか。
小原:矢沢地区は田んぼや農地が多い場所です。私たちは地元住民の方々の農業を継続させるために、農地を整備したり、田畑の「農地水」に関わる工事を継続的に行っています。
田久保:「農地水」というのは、具体的にどのような工事なのですか。
小原:田んぼや畑に必要な用水路や排水路の整備です。水が来ないと農業はできません。古くなった水路を新しいものに作り変えたり、水の管理がしやすいように整備したりして、地域の農家の方々を支えています。
宮沢賢治の理想郷「イーハトーブ」を形にする実績
中辻:これまでに手がけられた建物で、代表的な実績を教えてください。
小原:宮沢賢治童話村にある「賢治の学校」という施設や、そのすぐ側にある「イーハトーブ館」の建設に携わりました。他にも童話村のステージなど、宮沢賢治ゆかりの施設の多くを私たちの親世代が中心となって作ってきました。
田久保:花巻ならではの、非常に意義深いお仕事ですね。
小原:地域の大切な施設を任せていただけているのは、非常に誇らしいことです。
街のシンボル「なはんプラザ」や公共施設への貢献
小原:また、今日収録しているこの「なはんプラザ」も、当時JVとして協力して建設しました。最近では、ここのトイレの改修も弊社で行いました。
中辻:なはんプラザまで手がけられていたのですね。トイレも新しくて非常に綺麗でした。
小原:公共空間の建設やメンテナンスを通じて、地域の方々が使いやすい環境を整えるのも私たちの重要な仕事です。
東京でシステムエンジニアとして過ごした15年間
中辻:小原さんは数年前に会社に戻られたとのことですが、それまでは別のお仕事をされていたのですか。
小原:高校卒業後に東京へ出て、システムエンジニアとして働いていました。プログラミングの勉強をして、就職した会社で15年ほどエンジニアを続けていました。
田久保:SEから建設業へというのは、かなり大きなキャリアチェンジですね。
小原:当時はエンジニアとしての仕事がそれなりにできていましたし、お客様との調整業務も楽しんでやっていました。SE時代に培った論理的な考え方は、今の仕事にも活きていると感じます。
34歳で決意した、故郷・花巻への帰還
中辻:戻るきっかけは何だったのでしょうか。
小原:実家がこの商売をやっていたので、いつかはという思いはずっとありました。33歳くらいから「そろそろかな」と考え始め、34歳の時に「会社を辞めて戻る」と伝えました。
田久保:お父様から「戻ってこい」と言われたわけではなかったのですか。
小原:全くありません。自発的に決めました。ちょうど2019年の秋、コロナ禍が本格化する直前に花巻に戻り、仕事を始めました。
兄弟で会社を支える、新しい体制の始まり
田久保:弟さんも会社にいらっしゃるのですね。
小原:弟は私より1年早く、2018年に日本道路から戻ってきていました。弟は高校から大学までずっと土木専攻のプロフェッショナルです。
中辻:エンジニア出身の兄と、土木一筋の弟さんが揃ったのは強力ですね。
小原:周りからは「弟が継ぐのか」と思われていたようですが、私の方が後からポーンと戻ってきました。兄弟それぞれの経験を活かしてやっていければと思っています。
デジタル化の第一歩は「Mac」と「デュアルディスプレイ」
田久保:SEだった小原さんが建設会社に戻ってきて、まず何から着手されたのですか。
小原:最初に行ったのは、自分のパソコンとしてMacを買うことでした。社内で自分だけMacを使っています。その次に、事務スタッフ全員にモニターを購入して「デュアルディスプレイ」にしました。
中辻:まずは作業環境の改善から始められたのですね。
小原:それまではノートパソコン1台で作業していたので、画面が小さくて効率が悪かったのです。モニターを増やして、机の上の物を減らして整理整頓させました。今では事務のほとんどが2画面で効率よく作業しています。
クラウド管理の導入で「情報共有の壁」を壊す
小原:次に着手したのは書類の管理方法です。当時は各自のパソコンにファイルが入っていて、情報共有ができていませんでした。そこでOneDriveを導入して、ファイルを一元化しました。
田久保:昔から導入はされていたけれど、活用しきれていなかったのですね。
小原:デフォルトで入っているだけで使われていなかったのです。それを誰でも必要なファイルにアクセスできるように設定し、本社のファイルも各営業部から見られるように変更しました。これによって、いちいち紙で持って行く手間がなくなりました。
「kintone」を活用した日報とアルコールチェックの電子化
小原:昨年からは「kintone」を導入しました。これまで紙だった日報をデジタル化し、新しく始まったアルコールチェックの保存管理にも活用しています。
中辻:kintoneをどのように浸透させていったのですか。
小原:まずはスマホで誰でも見られるようにしました。勤怠管理はまだタイムカードですが、日報などは現場の担当者がスマホから直接入力できるようにして、事務作業の負担を減らしています。
田久保:SEならではの視点で、便利なツールをどんどん取り入れていますね。
「SiteBox」による写真管理の劇的な効率化
小原:現場作業では「SiteBox」というクラウド製品を導入しました。これまではデジカメで撮った何百枚もの写真を、後からパソコンで並べるのが非常に大変だったのです。
中辻:SiteBoxを導入して、どのように変わりましたか。
小原:事前に「施工前」「施工後」といった写真のカテゴリーをスマホに作っておくことができます。スマホで撮影して同期するだけで、写真整理がほぼ終わるようになりました。
田久保:撮るだけで整理が終わるというのは、現場監督にとっては夢のような話ですね。
心理的ハードルを乗り越えるためのコミュニケーション
田久保:新しいツールを導入する際、社員の方々の反応はどうでしたか。
小原:最初はみんな「意味がわからない」「なんでこんなことするの」という反応でした。そこで、私が自ら操作を教えたり、弟に「お前、やれ」と言って率先して使わせたりしました。
中辻:一人が理解すると、そこから教えられる人が増えていきますね。
小原:特に現場を管理している30代の若手社員たちは、使い方が分かればすぐに慣れてくれました。一人が便利だと実感すると、周囲にもスムーズに広がっていきました。
ベテランと若手の役割分担と現場のオペレーション
田久保:ベテランの方々もデジタルツールを使っているのですか。
小原:ベテラン勢はデジタル機器には触らないという方針で、そこは明確に線引きしています。若手が管理を行い、ベテランは現場に専念するという体制です。
中辻:無理強いせず、得意な人がカバーするオペレーションを組んでいるのですね。
小原:日報なども、現場を担当している若手が代表して入力するようにしています。情報の集約はデジタルで行い、現場の技術はベテランから学ぶ。そのバランスで上手く回っています。
デジタル日報に込めた「未来の自分たちへの投資」
小原:日報をデジタル化し、写真も載せるようにしたのは、若手の経験不足を補うためでもあります。私たちのような若手は、ベテランに比べて圧倒的に「ものを作った経験」が少ないのです。
田久保:経験不足をどのようにデジタルで補うのですか。
小原:紙の日報だけでは、当時の現場の様子が分かりません。写真をセットにして、工事のポイントや失敗した箇所をログとして残しておけば、後から入ってくる社員が検索して学ぶことができます。
中辻:過去の記録を「知の資産」に変えているのですね。
建設業界には「デバッグ」や「テスト環境」がない
小原:SEだった時に痛感したのは、建設業には「テスト環境」がないということです。プログラミングなら何度失敗しても作り直せますが、道路は一度切ったら終わりです。
田久保:確かに、本番一発勝負の世界ですよね。
小原:だからこそ、先輩たちの失敗や成功の記録を写真付きで残し、予習できるようにすることが重要です。土曜日に現場で練習することもできませんから、デジタル上のログが若手にとっての最強の教材になります。
地域から愛されるための「安全第一」と「顔の見える関係」
中辻:地域との関わりについて、今後どのようにしていきたいですか。
小原:建設業は地域の公共空間を工事する仕事です。常に地域の方々から見られているという意識を忘れてはいけません。社名入りの車での速度遵守や、挨拶など、当たり前のことを徹底していきます。
田久保:地域に根ざしているからこそ、信頼が何よりの財産ですね。
小原:現場の監督が地元の方と話をしたり、要望を伺ったりすることも大切な仕事です。地域と一緒に街を作っていくという姿勢を、若手にも伝えていきたいです。
SEの経験を活かし、さらなる資格取得へ挑戦
中辻:小原さんご自身の今後の目標についても教えてください。
小原:昨年、ようやく2級土木施工管理技士の資格を取りました。SEから未経験でこの業界に入って5年目、ようやくスタートラインに立てた気分です。
田久保:おめでとうございます。次は1級を目指されるのですか。
小原:はい。5年後の1級合格を目指して、地道に勉強を続けていきたいです。この業界は資格がないと始まらない部分もありますから、自分の成長が会社の信頼に繋がると信じて頑張ります。
公共工事の書類作成をテンプレート化して効率化したい
小原:今後のDXのテーマとしては、公共工事の書類作成をもっと楽にしたいと考えています。kintoneなどのデータを活用して、自動的に書類が出来上がるような仕組みを作りたいです。
田久保:事務作業が減れば、より現場の管理に集中できますね。
小原:「書類が大変だから現場管理をやりたくない」という声が出てしまうのは悲しいことです。そこを少しでも楽にして、誰でも現場管理に挑戦できる環境を整えていきたいです。
住宅リフォームでも「丁寧な仕事」で選ばれる会社に
中辻:住宅事業の方はいかがでしょうか。
小原:今はリフォームや一軒家の新築も手がけていますが、おかげさまで口コミや評判で定評をいただいています。物価高で新築が難しい時代だからこそ、リフォームにも力を入れています。
田久保:「小原建設に頼んでよかった」と言われるのは、現場の丁寧な仕事があるからこそですね。
小原:一つひとつの仕事を大切にし、お客様の生活を支える住まいを提供し続けていきたいです。土木も建築も、根底にあるのは地域への貢献です。
未来のリーダーたちに贈るメッセージ
中辻:最後に、小原さんが思い描く会社の未来についてお聞かせください。
小原:ベテランの方々の中には70歳近い人もいます。彼らがいつ引退してもいいように、今のうちに若手が技術と知識をしっかりと吸収しなければなりません。
田久保:デジタルとアナログの融合が、伝統を繋ぐ鍵になりますね。
小原:仕事の楽しさを感じながら、安全に、そして誇りを持って働ける会社でありたいです。自分たちが作ったものが何十年も形として残る建設業の魅力を、次世代に繋いでいくのが私の役目だと思っています。
株式会社小原建設 https://hanamaki-obara.com/
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