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真心こめた『みち』への挑戦~安心と感動を~/株式会社佐藤渡辺

更新日:2026/1/14

2025年12月28日(日)15:00~15:55

株式会社佐藤渡辺
代表取締役社長・鎌田修治さん、営業本部技術営業部・大和田寿美さん

道路舗装工事を中心に全国で事業を展開する株式会社佐藤渡辺。そのインパクトのある社名は「渡辺組」と「佐藤道路」の合併に由来し、大正12年渡辺組の創業から数えて102年の歴史を誇ります。現在は500名以上の社員を擁し、知られざる道路舗装の世界を支え続けています。従来の舗装技術に加え、気候変動への適応を可能にする新たな舗装技術の研究開発にも注力し、環境景観舗装の分野では森林環境に貢献できる木質舗装の開発が進行中です。大学時代に道路工学を学んだことからこの業界に入ったという、”道路一筋”の鎌田社長。そして、現場を支える研究熱心な大和田さんに「道路作りの面白さ」を語っていただきました。

多岐にわたる道路舗装工事を支える事業概要

クラフトバンク中辻(以下、中辻):株式会社佐藤渡辺がどのような会社なのか、まずは事業内容について詳しく教えていただけますか。

鎌田修治さん(以下、鎌田):弊社の事業内容としては、中大規模の舗装から環境景観舗装まで、多岐にわたる道路舗装工事をメインに手掛けている工事会社です。一口に舗装と言っても、皆さんが普段目にするアスファルトだけでなく、多種多様な技術を用いて道路を造っています。

中辻:道路舗装のスペシャリストとして、非常に幅広い領域をカバーされているのですね。

鎌田:基本的には道路と名の付くものであれば、ほとんどの工事に対応できる体制を整えています。「佐藤渡辺」という社名に道路という言葉は入っていませんが、実態は舗装の専門会社として認識していただければと思います。

北海道から沖縄まで日本全国に広がる施工実績

中辻:施工されているエリアについても教えてください。

鎌田:規模としては、北は北海道から南は沖縄まで、日本全国で工事を行っています。場所によっては対応していない県も一部ございますが、基本的には主要な地方のすべてで施工実績があると考えていただいて間違いありません。

中辻:日本全国の道路を佐藤渡辺の技術が支えているということですね。

鎌田:全国各地で地域に根ざした道路づくりを行っています。どのような場所であっても、その土地のニーズに合わせた舗装を提供できるのが弊社の強みです。

創業100周年を迎えた歴史ある歩み

中辻:歴史についても、非常に長く続いている会社だと伺っております。

鎌田:弊社は1923年の創業でして、一昨年の2023年12月にちょうど100周年を迎えました。これは私ども社員だけの力ではなく、関係してくださっている業者さんを含め、本当に多くの皆様のお力添えがあったからこそだと深く感謝しております。

中辻:100年以上もの歴史を紡いでこられたというのは、本当に素晴らしいことですね。

鎌田:長く続けてきたからこそ蓄積されたノウハウや信頼があります。次の100年に向けて、これまでの歴史を大切にしながら、さらなる挑戦を続けていきたいと考えています。

「環境景観舗装」という独自の特徴

中辻:舗装の中でも、特に「環境景観舗装」に力を入れられているとのことですが、これはどのようなものなのでしょうか。

大和田寿美さん(以下、大和田):環境景観舗装というのは、環境に適した優しさを持っており、なおかつ意匠的にも優れている舗装のことを指します。環境と景観という二つの要素を兼ね備えているのが大きな特徴です。

中辻:普通の道路と比べると、どのような違いがあるのですか。

大和田:どちらかというと車両が通行する舗装というよりは、歩行者や自転車、ベビーカーなどが通る場所に使われることが多いです。公園の園路や施設の入り口、エントランスといった空間に採用されています。

建物や空間を引き立てる意匠性

中辻:見た目の美しさも重要なポイントになるのですね。

大和田:材質や色が違うなと感じていただけることも多いと思います。建物やその場の空間に見合った見た目、つまり建物に合わせた舗装を意識しています。

中辻:単なる道路としての機能だけでなく、デザイン性も求められるということでしょうか。

大和田:舗装が建物の邪魔になるのではなく、むしろ建物が引き立つようにという意匠性も持たせています。機能性と美しさを両立させることで、その場所自体の価値を高めるような提案を行っています。

他社との差別化を図る技術への注力

中辻:景観工事に注力されるようになったきっかけは何だったのでしょうか。

鎌田:同じ道路会社という括りで見ると、どうしてもアスファルト舗装とコンクリート舗装がメインになります。その中で弊社として何か他とは違うことをやっていかなければならないという思いがありました。

中辻:他社にはない独自性を追求された結果なのですね。

鎌田:透水性コンクリートについては30年から40年前から取り組んでいますが、他社さんではあまりやっていない領域に一歩踏み込んでいこうという考えからスタートしました。差別化は非常に重要な要素だと捉えています。

気候変動に対応する機能性舗装

中辻:最近の環境変化も、舗装技術に影響を与えているのでしょうか。

鎌田:最近は特に気候変動が激しく、それに対して少しでも対処できるような舗装を提案していきたいと考えています。ここ数年、非常に暑い日が続いていることは皆様もご存知の通りです。

中辻:確かに、夏場の路面の熱さは深刻な問題になっていますね。

鎌田:その暑さに対して、どのような良い舗装を提供できるか。まだ道半ばではありますが、環境負荷を軽減できるような技術の開発と普及に努めています。

透水性コンクリート舗装の驚くべき効果

中辻:佐藤渡辺ならではの得意な技術について教えてください。

大和田:透水性コンクリート舗装というものがあります。これは水たまりができにくく、非常に歩きやすいのが特徴です。なおかつ、濡れても滑りにくいという利点があります。

中辻:歩行者にとっては、雨の日でも安心な舗装なのですね。

大和田:さらに路面温度低減効果もあります。夏の暑い盛りに路面の温度が急激に上がるのを、少しでも抑えようというものです。アスファルトと比べると、非常に優れた特性を持っています。

打ち水で路面温度が8度以上下がる

中辻:温度を下げる効果というのは、具体的にどれくらいのものなのでしょうか。

大和田:例えば水をまいていただくと、アスファルトに比べて路面温度が8度から10度ほど下がります。これだけの差が出るのは非常に大きなメリットだと言えます。

中辻:8度から10度も変わるのですか。それは体感的にもかなり涼しくなりそうですね。

大和田:アスファルトに比べて比熱が小さく蓄熱しにくいので、日が落ちた後の熱帯夜対策としても効果的です。路面からの照り返しも含め、都市部のヒートアイランド現象の緩和に寄与できると考えています。

カーボンストックを実現する「ウッドクリート」

中辻:他にもユニークな舗装があるのでしょうか。

大和田:今メインで頑張っているのが、木質舗装の「ウッドクリート」です。これは木のチップをそのままセメントで固めて舗装にするというものです。

中辻:木を舗装に使うというのは、非常に珍しい取り組みですね。

大和田:針葉樹のチップをセメントと混合して舗装にします。木はもともと炭素を固定している性質がありますが、それを舗装の中に閉じ込めることで、カーボンストックされた舗装と言うことができます。環境への貢献度が非常に高い技術です。

自治体からも注目される環境性能

中辻:ウッドクリートは、やはり注目されているのでしょうか。

大和田:最近は木に関する認証制度を多くの自治体が取り入れており、補助金の対象になることもあります。二酸化炭素の削減や固定という言葉が注目される中で、舗装に二酸化炭素を貯蔵しているという点は高く評価されています。

中辻:公共の施設や公園などで使われると、非常に良い影響がありそうですね。

大和田:環境に配慮した公共施設などで採用されるケースが増えています。目に見える形で環境貢献ができるため、多くのオーダーをいただいています。

職人の技が光る表面露出技術

中辻:ウッドクリートの施工において、難しいポイントはありますか。

大和田:セメントで固めた後、木のチップの表面を出すという工程が非常に重要です。他社さんでも木質舗装はありますが、この表面をきれいに見せる技術は、弊社の独自性と言えるかもしれません。

中辻:表面に木が見えていると、目で見ても温かみを感じられそうですね。

大和田:混ぜ込んでしまうだけでは木が入っているか分かりませんが、表面に出ることで視覚的にも木質を感じられます。手間はかかりますが、そこをあえてこだわり、独自の技術として進化させてきました。

柔らかい歩き心地と足腰への配慮

中辻:ウッドクリートには、温度以外にもメリットがあるのでしょうか。

大和田:透水性コンクリート舗装よりもさらに路面温度低減効果が認められています。そして、歩き心地も違います。木を使っているため、少し柔らかいんです。

中辻:舗装が柔らかいというのは、歩く人にとって嬉しいですね。

大和田:弾力性があるため、足腰への負担がかからないというお声もいただいています。公園や遊歩道など、歩くことを楽しむ場所にぴったりの舗装です。こうした種類は50種類以上ありますので、ぜひ注目して歩いてみていただきたいです。

「佐藤渡辺」というユニークな社名の由来

中辻:「佐藤渡辺」という社名は非常にユニークですが、どのような由来があるのですか。

鎌田:2005年の10月に、佐藤道路という会社と渡辺組という会社が合併して誕生した社名です。ちょうど合併から20年が経ったところですね。

中辻:二つの会社の名前が並んでいる形だったのですね。

鎌田:どこへ行っても「何屋さんですか」と聞かれることが多いですが、インパクトがあって覚えてもらいやすいという利点もあります。社名に力があることは、私たたちの強みの一つだと思っています。

鎌田社長の就任と「パーパス」の制定

中辻:鎌田さんが社長に就任されたのは2024年とのことですが、どのようなことに取り組まれていますか。

鎌田:就任した年に「これだけは絶対にやろう」と決めていたのが、パーパスの制定です。社内でアンケートを取ったり、プロジェクトチームを作って長い時間をかけて作り上げました。

中辻:どのような想いを込めて作られたのでしょうか。

鎌田:「真心のこもった道への挑戦、安心と感動」という言葉です。多くの意見が出ましたが、どうしても「道」という言葉は入れたかった。そして「真心」や「挑戦」という、私たちが大切にしている想いを凝縮させました。

三つの「みち」に込めた願い

中辻:パーパスの中にある「道」には、特別なこだわりがあるようですね。

鎌田:実はこの「道」には、皆さんが歩む「道筋」と、私たちが事業としている「道路」、そして未来への「未知」という三つの意味を掛けています。

中辻:道路の道と、未来の未知。非常に深い意味が込められているのですね。

鎌田:読み方としては「みち」であっても、人によって捉え方は様々で良いと思っています。社員全員が名刺サイズのパーパスを常に持ち歩き、一つひとつの仕事に対して「安心と感動」を提供できるように挑戦を続けています。

現場第一線で歩んできた鎌田社長のルーツ

中辻:鎌田社長ご自身も、現場での経験が長いと伺っております。

鎌田:入社してからほぼずっと現場におりました。まさに道路を造る人間としてキャリアを積んできました。関東を中心に、国道などの大きな現場も数多く担当してきました。

中辻:現場を知る社長だからこそ、社員の皆様との絆も深いのですね。

鎌田:現場の苦労も楽しさも肌で感じてきました。これまで手掛けてきた現場は、どれも思い入れのあるものばかりです。その中でも特に記憶に残っている現場がいくつかあります。

東京外国語大学の広大なグラウンド工事

中辻:思い出深い現場として、どのようなものがありますか。

鎌田:一つは2002年に手掛けた、府中市にある東京外国語大学のグラウンド工事です。野球場やラグビー場、そして陸上用のトラックなど、ゴムチップ舗装も含めた非常にやりがいのある大規模な現場でした。

中辻:大学の広大なスポーツ施設を造り上げるのは、大変な作業だったでしょうね。

鎌田:当時は雑木林のような状態からスタートしたんです。そこを伐採して、撤去して、平らにしてから工事を進めました。学生さんや地域の方が利用されているのを見ると、やって良かったなと今でも思います。

川崎港のヘリポートと多目的広場

中辻:他にも印象に残っている現場を教えてください。

鎌田:私が担当した最後の現場である、2006年の川崎港の多目的広場です。合併した翌年の工事で、10人ほどの職員と一緒に3、4ヶ月かけて完成させました。ここにはヘリポートも設置されています。

中辻:ヘリポートがある広場とは、非常に重要なインフラですね。

鎌田:災害時の広域防災拠点としての機能も備えています。普通の黒い舗装ではなく、上空からの視認性を高めるために水色のアスファルトを使用しました。何度も色味を調整して作った、非常に思い入れの深い現場です。

DXによる生産性の向上とBIM/CIMの導入

中辻:貴社のDXやデジタル化への取り組みについても教えていただけますか。

鎌田:一番の目的は現場の生産性を上げることです。そのために現在はBIM/CIM、つまり3次元モデルを活用した建設生産・管理システムの導入を進めています。

中辻:3次元データを活用することで、どのようなメリットがあるのですか。

鎌田:計画・設計から施工管理に至るまでデータを連動させることで、従来よりも高精度で効率的な業務プロセスを実現できます。現場の職員にとっては、これまでアナログだった部分をデジタルに置き換える大きな一歩です。

現場とデジタルのギャップを埋める課題

中辻:デジタル化を進める上で、課題となっていることはありますか。

鎌田:最新技術を導入しても、現場の業務プロセスがまだアナログな部分を抜けきれていないというギャップがあります。どの技術を使えば現場がどれだけ楽になるのか、その答えを明確に示していく必要があります。

中辻:現場の理解を得ながら進めていくことが重要なのですね。

鎌田:発注者様ともお話し合いをしながら、実行性の高いルールを明確化し、最適化に繋げていきたい。現在はまさにそのプロセスの真っ只中にあり、試行錯誤を繰り返しながら進めているところです。

AI活用による書類作成の効率化

中辻:AIなどの先端技術についても、活用の可能性を探られているのでしょうか。

鎌田:建設業界ではAIの導入が遅れている面もありますが、現場作業よりもまずは書類作成の短縮に活用できないかと考えています。書類業務の負担を減らすことができれば、残業削減や効率化に大きく寄与します。

中辻:建設業は書類が非常に多いと言われますから、その効果は大きそうですね。

鎌田:これまでは「背中を見て覚えろ」という世界でしたが、これからはデジタルを味方につけていかなければなりません。若手社員であれば、AIを使いこなすスピードも私たちよりずっと早いはずです。

若手が活躍できる柔軟な社風づくり

中辻:若手社員の方々が、新しい技術を提案しやすい環境があるのでしょうか。

大和田:うちの会社は新しい技術や開発に対して非常に懐が深く、柔軟なイメージがあります。提案したものに対して、まずは調査をしてみろ、やってみろと言ってもらえる環境です。

中辻:「やってみなはれ」という精神があるのですね。

大和田:若手が「社長、こんな技術があります」と声を上げ、それが形になるような流れを加速させたい。管理を厳しくするだけでなく、オープンに挑戦できる場を作ることで、一歩も二歩も前進できると信じています。

未来の道路インフラと自動運転への貢献

中辻:今後の展望や目標についてお聞かせください。

鎌田:一つは自動運転への対応です。道路の下にセンサーを埋め込んだりといったインフラ整備の面で、積極的に取り組んでいきたい。また、地球温暖化対策として路面温度を抑制する技術もさらに進化させたいと考えています。

中辻:未来の道路は、今とは全く違う機能を持つようになるかもしれませんね。

鎌田:道路はなくてはならない大切なものです。「道路会社ってかっこいいぞ」と若い人たちに言ってもらえるように、業界全体を盛り上げていきたい。みんなでわいわい楽しく仕事ができる環境を作っていくことが、私の使命だと思っています。

■株式会社佐藤渡辺 https://watanabesato.co.jp/

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