クラフトバンク総研

熊本の未来を創る~光進建設株式会社

更新日:2026/1/10

2025年3月9日(日)15:00~15:55
ゲスト:光進建設株式会社 取締役 社長室 室長 井上雄一朗さん

昭和39年に熊本県人吉市にて創業し、現在は熊本市に本社を置く61年目を迎えた光進建設株式会社。大型の建築工事を単独施工できるノウハウで実績を積み、熊本を中心に事業を展開しています。番組では、取締役 社長室 室長 井上雄一朗さんに社内で取り組むDX化についてなど、たっぷりと伺いました。(熊本県熊本市・熊本シティエフエムにて収録)

熊本県内を中心に展開する総合建設業

クラフトバンク中辻(以下、中辻):まずは会社のことについて教えてください。光進建設さんはどのようなお仕事をされているのでしょうか。

井上雄一朗さん(以下、井上)主に熊本県内で総合建設業として、建築工事と土木工事をさせていただいています。建築工事については、民間が7割、公共工事が3割という割合ですね。民間では大きな工場なども建設していますし、官公庁の仕事も幅広く手がけています。

クラフトバンク田久保(以下、田久保):建築と土木、両輪で展開されているのですね。

井上:そうですね。土木工事に関しては、以前に人吉で大きな水害がありましたので、現在はその球磨川沿いの復旧・復興に向けた工事をメインに行っています。こちらはほとんどが官公庁の仕事になります。

人吉の復旧・復興を支える土木事業

田久保:土木の方は人吉の災害復旧が中心とのことですが、今もかなりお忙しい状況ですか。

井上:はい。人吉の現場には多くの人員を投入して、急ピッチで進めています。やはり地元のインフラを支える重要な仕事ですので、使命感を持って取り組んでいます。

中辻:地域に密着した活動をされているのですね。建築の方はいかがでしょうか。

井上:建築は熊本県内全域をカバーしています。最近ではこのシティエフエムさんのすぐそばでも建物を建てさせていただきました。民間企業様からのご依頼が多く、オフィスや工場など多岐にわたります。

創業61年、地域に根差した歩み

中辻:創業は昭和39年ということで、今年で61年目を迎えられるのですね。

井上:はい。昨年、60周年のパーティーをさせていただきました。協力会社の皆様や、多くのご来賓の方々にお越しいただき、無事に節目を迎えることができました。これからも熊本に根ざした企業として、ずっと頑張っていきたいと思っています。

田久保:施工エリアは熊本県内がメインですか。

井上:熊本県内が中心ですが、お仕事があれば福岡や宮崎、鹿児島といった九州一円にも伺っています。

拠点拡大の歴史と人吉支店の役割

中辻:創業の地は人吉市で、現在は熊本市に本社があるとのことですが、移転された経緯を教えてください。

井上:熊本市に本社を移したのは約40年前です。建築の仕事を人吉市内だけでなく、熊本県内全域に広げていきたいという思いがあり、本社を熊本市に構えることにしました。

田久保:会社規模が大きくなるにつれての進出だったのですね。

井上:はい。現在は熊本市の本社のほかに、人吉市にも「人吉支店」として拠点を残しています。土木部門は主に人吉支店をベースに活動しており、人吉の復旧工事などに即座に対応できる体制を整えています。

半導体関連やTSMC進出に伴う工事需要

田久保:熊本といえば最近はTSMCの進出が大きな話題ですが、その影響などはありますか。

井上:やはり非常に大きいです。TSMC本体だけでなく、それに付随する半導体のサプライチェーンに関連する企業様も多く進出してきています。それらの会社さんの何十億という規模の工場建設なども、私たちが手がけさせていただいています。

中辻:まさに熊本の経済発展を建設の面から支えていらっしゃるのですね。

井上:県内の下請け会社さんも含めて、今は非常に忙しい状況です。多くのお客様からお声がけをいただいているので、なんとかお応えできるようにやりくりをしているところです。

フラットに相談できる社風と組織の強み

中辻:光進建設さんの特徴や強みについて教えてください。

井上:社員同士が非常に仲が良いことですね。先輩、上司、部下の垣根が低く、色々な話をフラットにできる環境があります。何か困ったことがあってもすぐに相談できる体制が取れているのは、私たちの強みだと思っています。

田久保:チームワークが非常に良さそうですね。

井上:それから、通常はジョイントベンチャー(JV)で組むような大規模な工事案件であっても、単独で施工できるノウハウや実績があることも、弊社の特徴の一つです。

創業者の孫として、幼少期からの自覚

中辻:井上さんは創業者の内孫でいらっしゃると伺いました。小さい頃から建設会社で働くという意識はあったのでしょうか。

井上:小学生くらいまでは、正直「後を継がないといけない」という話もありましたし、自分でもそう思っていました。英才教育じゃないですが、周りからもそう言われて育ちましたね。

田久保:中学生や高校生になってもその気持ちは変わりませんでしたか。

井上:中学・高校時代は部活動などに熱中していましたが、心のどこかでは「いつかは建設業界に入るんだろうな」という認識は持っていました。ただ、高校生くらいの時に、一度広い世界を見てみたいという思いが強くなりました。

海外留学で得た多角的な視点

中辻:「広い世界を知りたい」という思いで、海外へも行かれたそうですね。

井上:はい。高校や大学の長期休暇を利用して、オーストラリア、イギリス、アメリカなどに留学させていただきました。ほかにもヨーロッパを回ったりして、日本の良いところや悪いところ、世界の多様な文化を目にすることができたのは非常に大きな経験でした。

田久保:かなりの国を回られたのですね。

井上:英語が苦手だった時期もあったのですが、それが悔しくて大学時代に英会話スクールに通ったりもしました。外の世界を知ることで、改めて日本や地元の価値を再認識できたと思います。

建築学科での学びとゼネコンへの誘い

中辻:大学では何を専攻されていたのですか。

井上:大学は建築学科で学びました。卒業後は光進建設に入る道もありましたが、ちょうど大学4年生の時に東京オリンピックの開催が決まった年で、大手のスーパーゼネコン各社からも採用の募集が非常に多く来ていました。

田久保:そのまま大手ゼネコンに就職される選択肢もあったわけですね。

井上:教授からも勧められましたし、私自身、一度他社で修行してから戻るという道も考えました。そのことを今の会長、当時の社長に相談したんです。

祖父の言葉と、地元への帰還

中辻:他社での修行について相談した際、どのような返答があったのでしょうか。

井上:「いいからうちに帰ってこい」とストレートに言われました(笑)。他社で修行して戻ってくるというパターンは多いですが、私の場合はそのままストレートに戻ることになりました。

田久保:会長のその言葉の真意は、今振り返るとどう感じますか。

井上:大手にいくと、鉄筋、コンクリート、足場といったように専門的な担当に分かれてしまうことが多いんです。でも地元の建設会社なら、最初から最後まで、幅広く何でもこなせるようにならなければなりません。早くから地元の現場に飛び込んで、多角的に学んでほしかったのではないかと思っています。

入社初年度に直面した熊本地震

中辻:大学を卒業して入社されたのが2016年ですね。その年はちょうど大きな出来事がありました。

井上:はい。入社してすぐに熊本地震が発生しました。私は当時、熊本城の近くの現場に携わっていたのですが、石垣が崩れたり長塀が壊れたりするのを目の当たりにしました。

中辻:入社早々、非常に大変な状況だったのですね。

井上:地震直後は夜遅くまで復旧作業が続き、本当に大変な時期でした。しかし、そこで必死に働く先輩たちの姿を見て、心から「すごいな」と感じたんです。

現場で見た先輩たちの背中とリスペクト

田久保:地震の復旧現場で見た先輩たちの姿は、どのようなものでしたか。

井上:どんなに過酷な状況でも、一生懸命に働く姿に圧倒されました。なぜこれほどまでに頑張れるんだろうと思うほどでした。その時、社員の皆さんに対して深い尊敬と感謝の気持ちを抱きました。

中辻:その経験が、今の井上さんの仕事に対する姿勢の原点になっているのですね。

井上:そうですね。あの時に見た先輩たちの背中は、私にとって大きなプラスになっていますし、一生忘れられない経験です。

社長室室長としての現在の役割

中辻:現在は「社長室 室長」というお役職ですが、具体的にどのようなお仕事をされているのですか。

井上:主には営業活動としてお客様のところへ伺ったり、経営的な部分の勉強をさせていただいたりしています。現場にずっと出ていた頃とはまた違う忙しさがありますが、非常に充実しています。

田久保:対外的な折衝も増えてきたわけですね。

井上:はい。今まで経験したことがなかった外部の方々との交流や、お客様との深いお話ができるのはとても新鮮です。毎日が新しい発見の連続で、月日が経つのが非常に早く感じられます。

オンとオフを切り替えるゴルフの習慣

中辻:お忙しい毎日だと思いますが、お休みの日などはどのように過ごされていますか。

井上:私はしっかりとオンとオフを切り替えたいタイプなので、休日は趣味のゴルフを楽しんでいます。親しい友人たちと一緒に回ることで、とても良いリフレッシュになっています。

田久保:経営者の方は、お休みなしで働かれるイメージもありますが。

井上:もちろん仕事も大切ですが、切り替えをしっかりすることで、また次の日から全力で取り組めると考えています。今はゴルフに行くのが一番の楽しみですね。

iPad導入による現場のデジタル化

中辻:ここからは光進建設さんのDX、デジタル化への取り組みについて伺います。具体的に導入されているものはありますか。

井上:まず大きな変化としては、現場での写真管理ですね。以前は黒板を持ってデジカメで撮影していましたが、今はすべてiPadに切り替えました。

田久保:施工管理ソフトなどを活用されているのですか。

井上:はい。「Photoruction」や「SpiderPlus」といったソフトを導入しています。現在はいくつかの現場で使い勝手を比較しながら、どちらがより弊社に適しているかをフィードバックしてもらっている段階です。

事務作業の効率化と1.5時間の時短効果

田久保:iPadやソフトの導入によって、現場監督さんの仕事はどのように変わりましたか。

井上:昔は現場が終わった後に事務所に戻って、何時間もかけて写真を整理したり書類を作ったりしていましたが、今はその場で整理が完結します。

中辻:具体的にどれくらいの時短につながっているのでしょうか。

井上:1日平均で約1.5時間の削減ができています。これまでは残業が多くなりがちでしたが、今はどんなに遅くても18時半くらいには皆帰れるようになっています。この効率化は若手社員からも非常に好評です。

若手社員から広がるDXの輪

中辻:やはりデジタル機器の扱いは、若い方のほうが慣れているのでしょうか。

井上:そうですね。20代の社員はiPadの操作にも慣れていますし、「こんな便利なものがあるんだ」と積極的に活用してくれています。

田久保:ベテランの方々の反応はいかがですか。

井上:最初は抵抗がある方もいましたが、若手が使っているのを見て、少しずつ浸透してきています。会社としても、無理のない範囲で、できるところから進めてもらうようにしています。

経営陣と若手が本音で話す「若手会議」

田久保:DXのツール導入は、井上さんの発案で進められたのですか。

井上:私だけでなく、社内の色々な人の意見を聞きながら進めています。弊社には「若手会議」という場がありまして、そこで現場の若い人たちが感じている課題や要望を吸い上げています。

中辻:「若手会議」とは面白い取り組みですね。

井上:現場から一歩離れて、「どうすればもっと楽に仕事ができるか」を話し合う場です。そこで「このソフトを使いたい」といった意見が出てくれば、経営陣としても前向きに検討し、スピーディーに導入を決定しています。

意見が通りやすいスピーディーな意思決定

田久保:「若手会議」での提案が、実際に会社の仕組みとして採用されるのは、若手にとってもモチベーションになりますね。

井上:はい。トップダウンで決めるのではなく、現場が本当に必要としているものを取り入れるようにしています。総務部などが中心となって取りまとめてくれるのですが、意思決定のスピードはかなり早い方だと思います。

中辻:「とりあえずやってみよう」という雰囲気が、会社全体にあるのですね。

井上:そうです。ダメだったら元に戻せばいいし、別の方法を試せばいい。失敗を恐れずに新しいことにチャレンジできる環境を大切にしています。

「これができたらチャンス」前向きな若手の台頭

田久保:井上さんから見て、最近の光進建設の若手社員の方々はどう映っていますか。

井上:手前味噌になりますが、本当に前向きな子たちが多いなと感じています。普通なら「こんな大変な現場、嫌だな」と思ってしまうような難しい工事でも、「これをやり遂げたらチャンスですよね」「僕たちすごいことできますよね」と言ってくれるんです。

中辻:頼もしいですね。若手がそう思えるのは、会社の雰囲気があるからでしょうね。

井上:昔に比べると、もっとフラットに、みんなで話をしながらやっていこうという空気が強くなってきた気がします。若手たちのその明るい姿勢に、私自身が助けられることも多いです。

若手所長が数億円規模の現場を率いる

田久保:若手が活躍できる環境づくりとして、何か意識されていることはありますか。

井上:弊社では30代で現場所長を任せることもあります。何十億という規模の大きな現場を、若手の所長が堂々と率いている姿は本当にかっこいいですよ。

中辻:年齢に関係なく、実力や意欲があればチャンスを掴めるのですね。

井上:はい。若い人たちでも「現場所長になれるんだ」というモデルケースがあることで、後に続く社員たちも高い目標を持って仕事に取り組めているのだと思います。

「光進建設が良い」と言われるブランドへ

中辻:井上さんがこれから会社として取り組んでいきたい目標を教えてください。

井上:まずは社員の満足度をもっと向上させていきたいです。そしてお客様からも、「光進建設『で』いい」ではなく、「光進建設『が』いい」と言われるような、選ばれる会社になりたいと思っています。

田久保:「が」いいと言われるのは、まさにブランドですね。

井上:はい。社員やそのご家族が「光進建設で働いている」と胸を張れるような、誇りの持てる仕事をし続けたい。それが私の大きな目標です。

建設業の魅力は、地図にピンが増える喜び

中辻:最後に、井上さんが思う建設業の魅力について教えてください。

井上:やはり自分が携わったものが形として残り続けることです。お客様に完成した建物をお引き渡しする時の、あの喜ばれる笑顔は何度見ても感動します。

田久保:地図に残る仕事、と言いますもんね。

井上:最近はGoogleマップの自分の地図に、携わった物件のピンを打っているんです。昔の案件も含めて入れると、地図がだんだん黄色いピンで埋まってきて。これをいつか真っ黄色にしてやろうと思っています(笑)。そんな風に実績が積み重なっていくのを感じられるのが、この仕事の醍醐味ですね。

光進建設株式会社 http://www.kosin-k.co.jp/
熊本シティエフエム https://fm791.jp/

\ こちらからお聴きいただけます /

アーカイブ配信:https://audee.jp/voice/show/100461

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