クラフトバンク総研

一夜で十年付き合える元請・協力会社が見つかる「職人酒場」とは?

更新日:2026/1/10

2025年3月2日(日)15:00~15:55

ゲスト:内藤建設株式会社 水野勇さん・株式会社ART RAISE 小室直子さん

良きビジネスパートナーとの出会いはビジネスを発展させるための大きなポイントになりますが、その出会いを探すのも一苦労…。そんな悩みを抱えた建設業の方々が集うのが、クラフトバンクが全国で開催している「職人酒場」。元請企業と協力企業が一堂に会し、リアルの場で交流を深めています。
今回は、”女将”として回を仕切っているクラフトバンク・八木橋が「職人酒場」の目的や楽しさを紹介。回に参加して見事マッチングしたという、内藤建設株式会社 水野勇さんと株式会社ART RAISE小室直子さんにもお話を伺います。

2022年の職人酒場で出会った二社をゲストに

クラフトバンク八木橋(以下、八木橋):今週はクラフトバンクが開催している建設業特化型リアル交流会「職人酒場」によって、新たな取引先開拓に成功した二社の会社様にお越しいただきました。元請け、協力会社探しの苦労とポイントに焦点を当ててお届けします。なんとこの二社、2022年11月の東京・池袋で開催した職人酒場で出会っております。

岐阜県で創業78年、幅広く手掛ける内藤建設

八木橋:本日のゲストは元請け会社代表として、岐阜県岐阜市の内藤建設株式会社、建設部積算購買課、課長補佐の水野勇さんです。まずは内藤建設さんから簡単に会社の紹介をお願いします。
水野勇さん(以下、水野):創業78年の中部地区で、岐阜市を中心とした建設業を営んでおります。学校建設などの公共事業から、倉庫、工場、老人ホーム、事務所、店舗、住宅、不動産まで、幅広く建設に携わっております。従業員は今100人になっております。

横浜市で左官工事業を営むART RAISE

八木橋:続いて、協力会社代表として神奈川県横浜市の株式会社ART RAISE、専務取締役の小室直子さんです。ART RAISE様もお願いします。
小室直子さん(以下、小室):神奈川県横浜市で、左官工事業一式を請け負っております。弊社は創業ちょうど10年経ちまして、11年目になっております。もともとは施工会社なので二次請けで、元請け様が内藤建設様、一次請けに一社大きい左官屋さんが入って、その下に我々の会社が入っていたのですが、今ちょうどその二次請けから一次請けにステップアップする「一次なり」を目標として営業活動をしていました。

2022年11月の職人酒場での運命的な出会い

八木橋:実はこの三名、2022年11月から出会っておりまして、当時の職人酒場の集合写真の中央に小室さんがいらっしゃって、ここに水野さんがいらっしゃいます。お二人も初対面ということで、この時からお取引が始まったということですね。本日は職人酒場で出会ってから、どのようにお取引を進められたのか、根掘り葉掘り聞きたいと思っております。

職人酒場以前の協力会社探しの実態

八木橋:そもそも職人酒場がなかった時というのは、協力会社さん探しや元請けさん探しはどうされていたのかを伺いたいのですが、水野さんはどのように探されていましたか。
水野:弊社は今78年続いているということがありますので、もともと既存の協力業者さんが常に業種ごとに三社ぐらい常にいるような形でした。その中で基本的にはお仕事を依頼しているような形なのですが、やはり年を重ねていく中で廃業してしまう会社がちょっと続きまして。そこから知っている業者がいないかとか、あとは社員の中で知り合いがいないかぐらいしか動いていませんでした。

クラフトバンクの担当者による手厚いサポート

水野:新しい会社を見つけなければいけないけれどどうしようかという時に出会ったのがクラフトバンクさんでした。職人酒場ではなく、その前にマッチングサイトで登録してみたのが一番最初です。マッチングサイトで探して、繋がった会社はゼロだったのですが、その時に対応していただいたクラフトバンクの担当の方がものすごく親切丁寧で。こうやったら協力業者さんと繋がりやすいですよとか、一時間以上電話でやり取りしながらサイトを作り上げるのに協力してくれたので、それがすごく気に入ってクラフトバンクに惚れてしまったというのがポイントです。

東京支店立ち上げと協力会社探しの苦労

水野:もしそれがなかったら、インターネットで業種ごとに調べたりタウンページで調べたりすることになっていたと思います。今回、うちが東京支店を作ることになったので、クラフトバンクさんと密に繋げてやっていこうと思ったきっかけはそれです。東京支店でクラフトバンクさんと出会えなければ、僕が埼玉県出身だったのでそこの知り合いを伝手に広げていく予定ではいたのですが、なかなか広がらなかったというのもあったので、出会えていなければだいぶ苦労していただろうなと思っています。

下請け会社が抱いていた「技術があれば引き上げてもらえる」という幻想

八木橋:協力会社、施工会社代表として小室さんはいかがでしたか。
小室:下請けと言われる、工事を直接する会社が私たちになります。営業活動ができるほど大きな会社はあまりありません。うちもクラフトバンクさんと出会う前は全く営業活動をしていませんでした。私は会計処理しかしていなかったので、営業活動は全くやっていなかったんです。職人さんってやっぱり技をなりわいにしているので、技術が他人に認められたいんですよね。いい仕事をしていれば、元請け様に引き上げてもらえる、一次や二次の段階が一個上に引き上げてもらえると信じてやまない人が多いんです。

「知られなければ存在しないのと同じ」という現実

小室:技術を磨いていい仕事をしていれば、「この会社いいな、うちと直接取引しない?」と言ってもらえると信じてやまないのですが、それは間違いだと思います。結局、知らなかったらその技のことを知らなければ、引き上げられないのももちろんあります。一生懸命工事をしていても、岐阜の会社さんとか北海道の会社さんは私たちの存在すら知らないんです。見る機会すらないので、それでは声をかけてくれる人の分母がまず少なくて無理なんです。限界があるんです。

SNSから始まった新たな営業への挑戦

小室:なので、私は前のサラリーマンの会社を辞めて、まずSNSから始めたんです。Xを始めていろいろな方と繋がりができて、その中でリアルに会ってくれる方が何名かいらっしゃって、元クラフトバンクの社員さんだった方と出会ったんです。SNSのメッセージのやり取りから、実はこういうところに過去勤めていましたというお話を聞いて、もし小室さんだったらこれを使ってもらえれば営業とかそっちにも時間を割ける、ポイントを絞れるんじゃないかと提案をいただいたのが「クラフトバンクオフィス」でした。

業務管理システム導入で生まれた「営業の時間」

小室:業務管理システムを扱うことによって、私の事務作業の手間が省けて時間ができる。時間ができたらそれを営業の時間に充てるというのをしてみたらどうなんだと言われて、クラフトバンクオフィスを導入しました。そうしたらちょうど「職人酒場をやるよ」とクラフトバンクの営業の方に言われて、じゃあ行ってみようかとなったんです。マッチングから出会った水野さんと、事務の効率化から出会った私が職人酒場で出会うという面白い出会いをしています。

職人酒場での「名刺交換20社」という目標

八木橋:職人酒場に出会った後、お二人の中で協力会社さん探しや元請けさんの探し方はどう変わりましたか。
水野:職人酒場が二ヶ月に一回くらい東京で開催されていたと思うのですが、基本的に全てに参加させていただいて、名刺交換20社以上を目標にして繋がりをどんどん深めようと十回以上参加しました。その中で繋がりそうだなという会社が30社ぐらいあって、見積もりをいただいたり付き合いを始めたりしました。その中から実際に工事をやってもらったのが八社です。

練馬区のマンション改修工事での協業

水野:練馬区でマンションの改修工事、全面をスケルトンにしたリファイニング建築をやったのですが、その中で職人酒場で繋がった業者さんにやってもらったというのが現実的にありまして、無事に引き渡しも完了したところです。そこをART RAISEの小室さんにもご協力いただきました。職人酒場一回にだいたい40から50社ぐらい参加されていて、その半分ぐらいと名刺交換をして、そこから八社実際に取引になっています。今でも繋がっている会社は十社以上います。

取引先が2社から20社へ急拡大

八木橋:小室さんはいかがですか。
小室:職人酒場に参加する前は、取引してくれる会社は実は二社だけだったんです。それが職人酒場でありがたいことに、色々な方から私から行かなくても声をかけられるんです。左官屋さんが不足しているので、皆さん繋がりたいみたいで、「お願いします、いいですか?」という感じで、私自身は営業努力というのはあまりしていません。状況的に人手不足で、仕事をやってくれる人を探している会社様が多いなという印象ですね。

下請け会社にとっての「ボーナスステージ」

小室:ゼネコンと言われる元請け様の方たちが一生懸命声をかけてきてくれるので、私的にはボーナスステージなんです。昔はゼネコンさんからすると「やってくれる会社はいくらでもあるんだぞ」という雰囲気を出されていたのですが、今は逆ですね。「お願いします、やってください」という感じに立場が降りてきてくださったので、職人酒場で待っていれば聞いてくれるんです。おかげさまで二社のところが数年で20社ぐらいまで取引会社が増えまして、戸建てから大きなビル、マンション、商業施設を扱うゼネコンさんまで幅広く繋がれました。

ネット上のマッチングと「対面の交流」の違い

八木橋:ネット上のマッチングでは繋がれなかったものが、職人酒場ではなぜ繋がれたのか、コミュニケーションの違いを教えていただけますか。
水野:マッチングアプリでは、こちらからどんな業種と繋がりたいかあまりやっていなかったのもあるのですが、顔を合わせないで突然来るメールが何百件来ても、何がどのくらいできるのかなとか、デジタルの文字だけではあまり詳しいことが載っていないんです。職人酒場では、参加する前に業種ごとの名簿をいただけるので、自分が繋がりたい人をまず選んでから直接会って話してみて、会社規模とかどこまでできるのとかを顔を見てお話しすることによって、ハードルが下がるんです。

膝を突き合わせて会話することで見える「人となり」

水野:一歩踏み出すタイミングが早くなるというか、リアルで膝を突き合わせて会話することによって、その人の考え方が見えてきますし、企業に対しても惚れてしまうところが出てくるので、会うというのはすごく重要だなと思いました。顔を合わせてその人の人となりから、なんとなく会社のことも見えてくるし、会話をして具体的にどんなことができるのかが話せるのが利点だと思います。

左官業における「タイプの見極め」の重要性

小室:左官と言っても色々タイプがあります。どこを塗るのか、個人の住宅なのか、大きい建物なのか、土木なのか、アートなのか。カテゴリーが全然違います。マッチングサイトには左官屋ですと書くのですが、そこまではいっぱい書けません。元請け様からすると「この左官はどのタイプ?」というのが分からないから、メールでのやり取りのハードルが高いんだと思います。職人酒場の場合は、名刺交換をする時にどれくらい職人さんいますか、どういうの得意としていますかというのをフランクにお話しできるので、ミスマッチが非常に少なくなります。

一度会った安心感と「即レス」による信頼構築

小室:一度会った方からメールが来たら不審に思わないですし、顔が浮かびます。「あそこのこないだ会ったあの人だ、話した話した」となって会話も繋がっていくし、直接お電話をくれる方もいらっしゃいます。職人酒場で出会ってから取引が成立するまでは、私がお礼メールを速攻で出すようにしています。水野さんよりも早かったみたいですね。
水野:僕は帰ったらすぐにやるパターンなのですが、その日のうちに送られてきて、やられたなと思いました。その速度感は嬉しいですし、やはりそういう会社は繋がりやすいです。

内藤建設の展望:100周年に向けて東京での成長を

八木橋:今後の会社の展望についてお聞かせいただけますか。
水野:弊社は岐阜に会社を構えてからおかげさまで78周年となりました。100周年を迎えるために現在本社ビルの建て替えを進めており、色々な取り組みをしています。そんな中で東京営業所としては、古い建物を壊して建て替えるのではなく、構造を生かしたリファイニング建築を専門として進め、年商10億円を目指しております。そのためには多くの企業様と繋がる必要がありますので、今後ともクラフトバンクさんと深いお付き合いを続けていければと考えております。

ART RAISEの展望:左官職人の育成と一次請けへの拡大

小室:弊社は施工会社として、二次請けから一次請けへのステップアップ、事業拡大をしている最中です。左官一式を最初から最後まで全て請け負わせていただくのですが、左官職人がとても少ないので増やしていきたいと考えています。それと同時に、人材育成にはお金がかかりますので、お仕事もたくさんこなしていかなければいけません。そのために一次請けとしての業態を大きくしていきたいと思っております。CCUSやグリーンサイトなどのバックヤード業務にも対応しておりますので、ぜひ大きな会社様と繋がっていきたいです。

ワークショップを通じた左官の魅力発信

小室:職人さんは、ほとんどの方が未経験で入られます。経験者の方も随時募集しておりますが、左官職人を増やすために昨年からワークショップ、左官体験会もやり始めました。DIYで自分の家に珪藻土を塗ってみたいという方がいらっしゃったら、ぜひワークショップで一度左官を体験していただきたいです。左官というものを広く広めていきたいと思っております。

職人酒場ホームページ https://corp.craft-bank.com/shokusaka
内藤建設株式会社 https://naito-csc.jp/
株式会社ART RAISE https://art-raise.com/

\ こちらからお聴きいただけます /

アーカイブ配信:https://audee.jp/voice/show/100024

新着記事