建設業許可申請のポイント解説① そもそも誰に相談すればいい?【行政書士監修記事】
更新日:2025/4/17
▼目次
- そもそも許可申請のことを誰に相談すればいいのか?
- この仕事は建設業許可が必要か?
- 知事許可でどこまで工事を請けて大丈夫? 一般と特定の違いは?
- 当社は建設業許可が取得できるか? どの許可なら取得できるか?
建設業に関わる方でこういった疑問をお持ちの方向けに、2回に分けて建設業許可申請について記事を配信します。
なお、本記事は行政書士法人みそら(静岡県)の代表・塩崎宏晃先生に内容を監修いただいています。
https://www.misora.or.jp/kensetsugyo/kensetsukyoka
許可申請のことを誰に相談すればいいのか?
行政書士の先生に相談するのが早いです。
今回監修いただいた塩崎先生のように、クラフトバンクでは建設業に強い行政書士法人と提携していますので、まずはお問い合わせください。
建設業許可は行政書士に頼まずに自社でも申請できますが、申請には様々な手続き書類が必要で、慣れた行政書士の先生にお任せする方が早く済みます。
経営者の方は、許可行政庁の「建設業許可の手引き」等を読み込んで、書類を整えることに時間を割くよりも、事業に専念した方が良いでしょう。
費用は例えば、行政書士法人みそらの場合、建設業の新規許可取得でサービス料20万円+印紙代などの実費9万円が目安となっています。所要日数目安は60日です。
「東京都 行政書士」たとえば、こう検索して上位に表示された行政書士の先生が「建設業許可」に対応しているとは限りません。行政書士の役割は多岐にわたり、自動車のナンバー変更など建設業以外の業務を取り扱う行政書士の方が多いのです。なので、ホームページ等で建設業許可を取り扱っているかをよく確認する必要があります。
「東京都 建設業許可」この場合は行政機関のページが上に表示され、「こういう受注は請けて大丈夫?」など事業や経営に関連する内容は、かなり探さないとわかりません。
その点からも建設業に慣れた行政書士の先生に相談することをおすすめします。
この仕事は建設業許可が必要か?
500万円未満の専門工事か1,500万円未満の一式工事等は建設業許可不要
建設業法では以下3点が「軽微な建設工事」に該当し、建設業許可が不要とされています。
これは元請、下請は関係なく、さらに公共工事であるか民間工事であるかを問いません。
・専門工事:工事1件の請負代金の額が500万円未満
・建築一式工事:工事1件の請負代金の額が1,500万円未満もしくは延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
(建設業法施行令等の一部改正等について 建設省経建発第93号 平成9年3月26日)
ただし、基準となる金額は材料費、運送費込み、消費税込みで計算し、契約を強引に分割することはできません。(令第1条の2第3項)
・材料費:元請が材料費を負担する「材支給」の場合でも、元請支給材価格込みで計算が必要(この場合の資材価格は市場価格)
・運送費:資材の運送費が発生した場合はその価格も請負金額に合算
・消費税:請負金額や材料費等は消費税込みの金額で判断
・分割:800万円の工事の契約を分割し、400万円2つにしても、「建設業法の許可を免れるためではない」ことを十分に証明できなければ合算で判断
例:専門工事の場合
請負契約代金(税抜) 400万円
材料費(元請支給)(税抜) 80万円
上記の消費税48万円
税込み工事費合計金額 528万円
請負契約は税抜で500万円未満ですが、材支給分と消費税を加味すると500万円を超えており、許可が必要な建設工事になります
建設業許可が無いのに、この「軽微な建設工事」の範囲を超えた請負契約を締結すると
「許可を得ずに建設業を営業した」として建設業法違反になり、罰則の対象になります。(法47条1号)
タイミング
建設業法では「建設工事の請負契約を締結するタイミング」で許可が必要とされていますので、「受注してから慌てて許可を取得する」のは違法になる恐れがあります。
建設業許可の新規取得には目安として60日程度(書類の準備と行政機関に提出した書類の審査期間)が必要とされており、「顧客への営業前に許可を取得する」必要があります。
ここまで読んでいただいてお気づきの通り、建設業許可が不要な「軽微な建設工事」はかなり限定されます。独立を検討されている方や建設工事の受注を検討されている方などは早めの対応が重要です。
知事許可でどこまで工事を請けて大丈夫? 一般と特定の違いは?
建設業許可には国土交通大臣許可(大臣許可)と都道府県知事許可(知事許可)の2種類があります。
営業所が2つ以上の都道府県にあれば大臣許可、営業所が1つの都道府県にしかない場合は知事許可です。
例えば千葉県知事許可の会社が東京都内の工事を請けることは可能です。この場合、営業所は千葉にしかないので、千葉の本社で請負契約を締結し、東京都内で施工を行うことになります。
まず知事許可の取得を優先されることをおすすめします。
また、建設業許可には「一般建設業」と「特定建設業」の2種類があります。
一般建設業
建設工事の発注者から直接工事を請け負う元請けとして営業する場合で、発注者から請け負った一件の工事の全部又は一部を下請けに出す際の下請代金が4,500万円(建築一式工事の場合は 7,000万円)未満の場合や下請けとしてだけ営業する場合は一般建設業許可です。
特定建設業
建設工事の発注者から直接工事を請け負う元請けとして営業する場合で、発注者から請け負った一件の工事の全部又は一部を下請けに出す際の下請代金が4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上の場合は、特定建設業許可が必要です。
細かな判定は行政書士などの専門家に相談されるのが良いでしょう。
当社は建設業許可が取得できるか? どの許可を取得すべきか?
具体的に自社が建設業許可を取得できるか(管理責任者、専任技術者、財産基礎、社会保険加入など)、29種類の許可の中から、どの許可を取得すべきかについては次回9月20日配信予定の記事でまとめます。
https://corp.craft-bank.com/cb-souken/kyokashinsei2
監修:行政書士法人みそら(静岡県)代表・塩崎宏晃先生
https://www.misora.or.jp/kensetsugyo/kensetsukyoka

日本行政書士会連合会 03171958
静岡県産業振興財団 登録専門家
建設キャリアアップシステム認定アドバイザー
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 所長 / 認定事業再生士(CTP) 髙木 健次
京都大学在学中に塗装業の家業の倒産を経験。その後、事業再生ファンドのファンドマネージャーとして計12年、建設・製造業、東日本大震災の被害を受けた企業などの再生に従事。その後、内装工事会社に端を発するスタートアップ・クラフトバンク株式会社に入社。
2019年、建設会社の経営者向けに経営に役立つデータ、事例などをわかりやすく発信する民間研究所兼オウンドメディア「クラフトバンク総研」を立ち上げ、所長に就任。
テレビの報道番組の監修・解説、メディアへの寄稿、ゼネコン安全大会、業界団体等での講演、建設会社のコンサルティングなどに従事。
・YouTube出演
「石男くんの建設チャンネル(@construction-Youtuber)」にて多数出演