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働き方改革の対応に全力を尽くす。都中建が掲げる新たな戦略とは  

更新日:2025/4/25

 東京都中小建設業協会(都中建)は昨年5月、創立50周年を迎えた。渡邊裕之会長は、「創立から東京都の中小建設業で組成する代表的な協会として存続してきたが、働き方改革の推進や法改正に伴い、労働環境の変化に対応すべき点が残るなど、課題は山積している状況だ。引き続き、協会内で一致団結を図り、現場を重視した業界に近づくよう活動したい」と意気込みを述べる。これまで協会では、国政と連携した街づくりや、地域の安全を守る防災活動、未来を担う人材の確保・育成などに注力しており、今後は新たなアイデアも積極的に取り入れる方針だという。

 渡邊会長は、「当協会は、既に東京都と災害協定を結んでいたが、今年1月に起きた能登半島地震を受け、更なる連携の強化を行うことを都と確認した。天変地異は、今どの地域で発生しても不思議でない状況。この点を忘れることなく、協会としても様々な団体と日常的な意思疎通を図り、災害の事前予防を実施していく」と見通しを語る。具体策として、渡邊会長は会員数の少ない品川区・大田区・渋谷区などの建設業協会との関係強化を挙げる。23区で震災が起こった場合、重機を所有する企業があまりに少ない現実を考慮した判断であり、今年に入ってから自身の中では、「常にあらゆるシミュレーションを繰り返し、建設業界が良き方向に転ずることばかり考えている」と現況を語る。

 都中建としての喫緊の課題を、「働き方改革の推進と定着」と渡邊会長は断言する。理由は、以前は6時間45分ほど施工に割けた時間が、最近では移動や事務作業などの増加により、4時間程度しか確保できていないと独自調査で判明したため。工期の延長や資材高騰など外的要因による要素もある。しかし、「特に公共工事は紙での資料提出が多過ぎる現実が大きい。この分野をDXに転換し業務効率化を促進しなければ、業界全体が先細りしていくのは明白」と危機感を持つ。土木・建築・民間・公共など関わる工事により、会員同士の立ち位置に温度差はあるが、「現状のままで、何も手を打たなければ先行きは悲惨なものになる」という認識は一致。渡邊会長は、「今後も都とは綿密な打ち合わせをして、状況を少しでも好転させていきたい」と強い意志を示す。会員の中には、建設ディレクター制度を導入するなど工夫を凝らす企業も現れ始めたが、業界全体の浮揚には程遠い現実がある。この過渡期に、団体として最適な要望を提言し、行政側はその内容を反映できるのか。現在地が首都圏の中小建設企業にとって、正念場を迎えていることは間違いなさそうだ。

 これまで定期的に開催してきた、新人研修やインターンシップの効果もあり、「近年、会員企業では女性技術者や若手社員が増え、離職者も減るという顕著な事例も出せてきた」と話す。イメージアップ戦略を具現化したSNSや、刷新したホームページを見て、「設計志望だったが、物作りに関わりたくなった」と異業種からの転身を図り、これまでにない活躍を見せる若手も増えてきたようだ。「4月に迫る残業時間・上限規制罰則化の対応を含め、働き方改革に順応していくことが、中小建設企業にとっての至上命題。今後も地域社会に根差した建設業者が集まる団体としての特色を活かし、柔軟かつ大胆な施策を打ち出せるよう最善を尽くしていく」と決意を述べる。建設業界にとっては今が分岐点。「地元に健全な発展と安全・安心を提供する」という使命を全うするため、都中建は今日も現場を最優先に考えた活動を続けていく。

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