クラフトバンク総研

大脇建設が次の100年を見据えた経営をスタート

更新日:2025/5/2

110年以上の歴史を持つ大脇建設(岐阜県白川町)の大脇健太郎社長は、「建設を通じて地域の安心・安全・発展に寄与する」という社是に立ち返り、「変化を恐れず、柔軟に対応し、白川町と時代に必要とされる企業を目指す」と宣言する。次の100年を見据え、土木・建築・イベントなどを通じた地域振興の挑戦が始まった。

大脇社長は大学卒業後、新卒で自動車販売店に入社。そこで出会った妻が大脇建設の創業家ということを受け、結婚を機に退職。専門学校で土木をゼロから学んだ後、地場ゼネコンでの修行を経て、婿養子として「義父である前社長から、数々の課題を与えられ経営のいろはを学んだ」と振り返る。

創業から脈々と受け継がれている事業の中で、大脇社長は「国道41号にある当社周辺の維持管理業務を開通以来担っていることが誇りだ」と胸を張る。岐阜県全域を回る中で、地域課題を現場で知り、「建設業は、かけがえのない日常を支える必要不可欠な仕事。発注者や地域住民の方々から感謝の言葉を頂く瞬間は、何物にも代えがたいと再確認ができた」と貴重なきっかけを語る。大脇建設の売り上げの約8割を占めるのが公共工事。地域との繋がりや安全・安心の提供を大前提にしつつ、「当社の存在感を更に確立するには、徐々にでも民間工事の受注量を増やす必要性を感じている」と課題も挙げる。「インフラ整備を通じ本社を置く白川町を振興する」との決意に、新たな武器が加えられるか注目である。

最近では、地域貢献活動にも注力。その一環として開催されているのが、加茂郡内にある7町村の子供たちも参加する「大脇建設杯・学童軟式野球大会」だ。同大会は、町内に掲示されていた工事用看板を見たスポーツ関係者が、大脇建設訪問したことを契機に開始。毎年開催地を変えながら、保護者や教育機関の協力も得ながら運営しており、「地域に賑わいを!」をテーマに今なお盛り上がりを増す状況となっている。想像以上の反響を前に「本当に嬉しい驚きであり、地域の人々がより強固な結びつく機会となるよう、バージョンアップを目指したい」と先を見据える姿も印象的だ。

大脇社長は、「過去に渡辺猛之参議院議員の秘書を務めた経験が、現在の人格に影響を与えている」と率直に話す。「人への依頼の仕方、相手を思いやる言動について再考する時間だった」と定義し、社内では常に笑顔を絶やさず社員を労う「何でも相談できる雰囲気作り」を心掛けている。社長に就任にしてまだ5年。どんな苦難に見舞われても、「掲げた目標を達成するまで、大切な社員・地域と共に邁進する」との思いは誰よりも強い。思い描いた未来が少しずつだが、形になる可能性は高い。建設を通じて、大脇建設が成し遂げていく道のりは貴重な軌跡として残っていくはずだ。

新着記事

  • 2025.07.18

    サンダイ技建がSDGsの理念に基づいた活動を加速

    サンダイ技建(愛知県小牧市)が、今年7月で設立25周年を迎えた。加藤鐘三社長が、「地元が好き。だからこそ皆が安心して住めるまちを創造したい」と強い気持ちを込め立ち上げた同社。「交通安全事業に特化したプロフェッショナル集団 […]
    クラフトバンク総研記者信夫 惇
  • 2025.07.16

    次なるステージに向けた助走を開始 ナレルグループ

     ナレルグループ(東京都千代田区)の小林良社長は、現段階で最も重視する取り組みを「人材の『採用』と『定着』だ」と断言する。同社は、建設企業に技術者の派遣・技能者の紹介事業などを展開する企業。グループ会社・団体には、施工管 […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2025.07.15

    「成和建設があってこその街」を実現する経営に着手

     成和建設(佐賀県唐津市)の水落潤社長は、「父が創業した家業を継ぐ気は全く無かった」と当時の心境を語る。しかし、戸田建設で現場監督を務めていた社会人5年目の時、両親が病に倒れたことで、急遽呼び戻される形で入社。3年後には […]
    クラフトバンク総研記者川村 智子
  • 2025.07.11

    協栄電気工業が「クール・ブルー」で業界改善

     今年4月に協栄電気工業(広島市東区)の石本英成社長が発起人となり、「クール・ブルー(Cool Blue)」を設立した。同団体は、建設現場を始めとした現場仕事をともなうブルーカラー業界で働く価値・尊さなどの周知を目的にし […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦