花田正樹さん(中電工業株式会社・工事本部課長代理・写真左)、松木雄二さん(同部署・グループ長・写真右)
更新日:2025/4/28
花田正樹さん(中電工業株式会社・工事本部課長代理・写真左)
松木雄二さん(同部署・グループ長・写真右)
会社ホームページ=https://www.chuden-kogyo.co.jp/

送電鉄塔の保守管理を手掛ける中電工業(広島市南区)が、2023年度から協力会社の活用する資材をドローンで現場に運搬する事業を開始した。同事業は、協力会社が山間部の現場で使う塗料の一斗缶などを、平地から山間部にある現場までドローンで届けるサービス。これまで人が背負いながら運んでいた約500~600キロの荷物を、作業前に現場に揃える環境を提供することで、作業者の負担を大幅に軽減している。
花田正樹氏は、「年間800棟のメンテナンス塗装を実施する中、7割もの現場が車も通れない山岳部に位置していた。当社専属で担当して頂いている塗装会社に対し、何か出来ることはないかと考え抜いた結果、このサービスに行き着いた」と経緯を語る。電栄会と呼ばれる中電工業の協力会社会に所属する塗装企業は、中国地方を中心に10社存在しており、昨年度だけで20基分の送電鉄塔に対して、約1000フライトを実施。今年度は、40基分・2000フライトの実施を予定しており、更なる発展が期待される。

松木雄二氏は、「21年度の構想開始から、とにかく儲け度外視で作業者の負荷を減らすことを考え続けてきた。25年度は、100基以上に対応することを目標に可能性を拡張していきたい」と意気込みを話す。当初、運用に懐疑的だった業者からも「ドローンのおかげで塗装業のみに集中できるようになったよ」と感謝されることが何よりのモチベーションになっており、現在も更なる改善・改良を試みているようだ。
花田氏は、「当面は電栄会に所属する協力会社へのサービス強化を進めていくが、近い将来は当社の工事に関与していない、全国の建設企業に提供することも視野に事業展開したい。既にドローン運搬の自動飛行などの検討にも入っている。今後もDXを駆使した活動の継続により、建設業界の発展に貢献していきたい」と展望を述べ、先に備えている。
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。