建設業界をDXメディアでサポート。記者・川村智子が取り組む先にあるもの
更新日:2025/5/2
「業界リーダーに迫る」の連載が200回目を迎えた。2022年9月の運営開始から、様々な企業を取り上げてきたが、第1回目からその内容を読者として熟読し、入社を熱望した人物が当社の記者・川村智子である。編集長・佐藤和彦との初対面は、古巣・建通新聞社の入社日である2022年8月1日。既に佐藤は同月末の退職が決定しており、面識がゼロに近い状態から、クラフトバンク参画を実現させた特異な経歴を持つ。今回は読者からの要望に応え、川村が入社を志したきっかけや業務内容、今後の目標などを聞く。(聞き手・記事作成者=信夫惇・クラフトバンク総研記者)

―クラフトバンクに関心を持つまでの経緯を聞きたい。
「大学院にて、土質力学を専攻した後、新卒で建設コンサルタントに入社し、社会人生活をスタートさせた。勤務時は、農業用排水路の設計や農地における経済効果の算定などを行う中、専門的な情報を配信するメディアに興味を抱き、前職・建通新聞社に転職した経緯がある。憧れの新聞社に入れたのだが、入社日から社内では『これまで活躍を続けた佐藤が今月末で辞める』という話題が大半を占めていた。当初は『私には関係のない話』と割り切り業務を進めていたが、周囲では退職後もあまりに多くの人が話に出す状況を見て、『それほどの存在ならば会話くらいはしたい』と関心を持ったことが大きな契機となった」

―初めて編集長・佐藤と接触した時の状況を教えてほしい。
「共通の知り合いである記者に頼み込む形で、何とか会える機会には辿り着けたが、その日の佐藤は一貫して『仲介者に対して仁義を通しに来た』というスタンスだった。既にクラフトバンク総研では、広告料との引き換えに忖度する記事でなく、建設業界の『人』にフォーカスし、その魅力を際立たせる内容を配信していた。対面の場では『あのような記事を書けるようになりたい』『取材のノウハウを教えてほしい』など、記者として成長のチャンスがほしいと相談した。最初は明らかに難色を示していたが、あまりに執拗だったからか『そこまで言うなら後日、有給取得の上で取材に同行し、そこで得た知見を業務に活かすなら特別に許可する』との合意を取り付け、同席することに成功した。当日は、全てを流れの中で組み立て終結させる、特有の技巧を目の当たりにして、入社意欲が倍増し改めてアピールを試みた。1ヶ月ほど後ろ向きのリアクションばかりで、『実は来年4月から新メンバーを迎える』と聞いた時は諦めかけたが、それでも複数回に渡り論理的かつ琴線に触れるよう『私はクラフトバンクにとって有益な人間になれます』とアプローチを続けたことで入社に繋げられた」

―入社後の取り組みで驚いた点などがあれば聞きたい。
「全てを異次元に感じた。事前に佐藤からは、『社内で実施すべきは、KPI(重要業績評価指標)の達成。社外で把握すべきは、取材対象者の心の動きのみで良い。これに集中できる環境が部署になければ、責任は全て上司にある』とまで断言された。当初は半信半疑の状態だったが、その理由や裏打ちされた経験・エピソードに加え、何かあればSlackなどを通して、即座に応対できる会社の体制には驚きを隠せなかった。特に記事作成の面では、記者としての時間が短かった分、未熟との自覚はあったが、今までの社会人生活で体験したような理不尽ないびりや不毛な拘束が一切ない、合理的な指導を受けられている。佐藤は『現実が正解』『王道に外れなし』を基本姿勢にしており、想定外の事態でも一旦は受け入れ、対外的には抑制した対処を見せる様子は意外な一面だった。このメンタル面の修練はまだ必要と痛感しているので、直ちに習得を目指したい。また信夫の入社以降は、2人の10年近くの良好な関係性もあり、部署内には明るさ・透明性が増し、チーム全体で乗り切る雰囲気が確立された印象が強い」

―クラフトバンクの魅力は?
「メディアチームだけでなく、エンジニアや営業、カスタマーサクセス(CS)など各部署に、桁外れに優秀な人々が集結し、何かあればサポートし合えるよう仕組み化されている点が最大の魅力だ。当社は、元請け企業・協力企業などが一堂に会し、リアルの場で交流を深められる『職人酒場』や、建設業に特化した経営管理システム『クラフトバンクオフィス』を提供する事業も展開している。取材を通じて関係を強化できた各社から、『従来にない関係の企業と知り合いたい』『業務の生産性向上を実現したい』などの相談があれば、媒体でのPRだけでなく、DXを通じた具体策も提案できるメリットは計り知れない。社内には新たな企画立案をすれば、状況次第では次の週からでも開始できる風土もある。難局を迎えることも多いが、柔軟かつ突破力のあるメンバーと共に、引き続き限界に挑戦したい」

―クラフトバンクで実現したい目標は?
「直近では、佐藤が不在でも問題なく回る組織として成り立つよう全力を尽くす。幸いにも社内には結果を出せば正当に評価し、早期でも昇給できる体制が確保されている。生まれて初めて理想通りの職場で働けている現実に感謝し、あらゆる技能を飛躍させることに集中したい。先の目標としては、メディアチームの記者を増員し、後輩を指導できる立ち位置になるまで、私自身の器量を押し上げること。SNSなどを通じて『当社も取材してほしい』との声を多く頂くが、3人体制では全てを網羅できない現実にも直面している。このような課題を克服できるよう、各地の企業の魅力が際立つ情報発信を続け、建設業界の下支えに貢献したい。全国の現場を回ると魅力的な会社・経営者は、まだ多く存在していることが分かる。その実態に光を当てることを使命に、今後も積極的な取材活動を継続していく」
川村記者のX
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 記者 信夫 惇
建通新聞社に10年間勤務。東京支局・浜松支局・岐阜支局にて、県庁などの各自治体や、建設関連団体、地場ゼネコン、専門工事会社などを担当し、数多くのインタビューや工事に関する取材に携わる。
2024年にクラフトバンクに参画。特集の企画立案や編集、執筆などを手掛けている。