「可能性の追求を止めない」。OPENが利益率に着目した経営を始める
更新日:2025/5/2

首都圏を中心に土木工事などを手掛けるOPEN(東京都大田区)が、来年4月に創業10周年を迎える。これまでの道のりを三浦太郎社長に聞くと、「暗中模索の時期もあったが、ようやく腰を据えて業務を進められるようになった」と現況を話す。

三浦社長は、10代から建設業に入職し、重量鳶や左官などを経験。左官会社では役員として、経理・管理業務やマネジメントを含めた組織運営にも携わるようになっていた。転機となったのが、周囲の友人たちが別々な道を選び始め、「もっと色んな仕事を素早くこなしたい」という探求心が自身の中から湧き出始めた時期。土木に興味を持ち、公共工事の下請けや民間工事に関わる中、「この領域で道を切り開く」と突破口を見出すため、現場で必死に技術と経験の習得に精を出した。


コロナ禍でも、貸コンテナ周辺の造成・舗装工事など安定的な仕事のある状況だった。しかし、「このままの流れで物事が進み続けるはずがない。この時期に何か新たな選択肢を見つけなければ、それが致命傷になる」という危機感から、あらゆる伝手を辿って水道のインフラ工事の体験を積極的に蓄積。「特に開けた道路に水道管を通し、その日に閉じて完成させる、開削工事の全工程を目の当たりにした時、現場作業者の方を心の底から尊敬した」と更なる活路を見つけた衝撃を話す。その後も様々な新しい工事を吸収し、現在は大規模修繕で発生する外構・舗装工事や機械式の駐車場工事、スロープ施工や植栽設備などにも力を入れている。顧客からは「大小の規模を問わず一括で工事を任せられるので、OPENさんを重宝している」などの声も多く上がっているという。このような業務を担えるのは、三浦社長が未体験でも躊躇せず飛び込み、自身の糧にしていった所以である。時代のニーズに合わせて更新するブログも好評だ。



三浦社長は「直近では、大規模修繕周りにある工事の他、工場やプラント、大学、病院などの工事にも注力し、いずれは土木と不動産をまとめて担当できるレベルまで会社を押し上げたい」と見通しを語る。年々の売り上げ倍増が続く中、なぜか利益率の上がらない状況が近年の悩みだったが、経営DXツールの導入により組織としての改善の目処が立ったようだ。「引き続き、常識に捉われ過ぎない運営で組織の活性化を進めていく。当社には年齢・国籍を問わず、様々な専門家が所属しており、独立も積極的に推奨している。先行きの不透明な時代が続くが、『OPENで働く=楽しい』と感じる社員が増える経営を心掛けていきたい」。

この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。