スカイシステムが、現場の省人化に向けたICT展開を図る
更新日:2025/5/2

スカイシステム(東京都中央区)の提供するICTシステムが、大手ゼネコンを中心に幅広い浸透を見せている。同社は、土木・建設現場のニーズに合ったITソリューション・コンサルティング提案を手掛ける建設DX企業。累計導入数は、GPS運行管理システム「ぴたあっと」が509現場、コンクリート施工管理システム「eagle plus」は132現場に到達しており(2023年2月末現在)、全国にある建設現場の業務効率化を実現している。車両にスマートフォンを載せるだけで、スムーズな運行管理ができる「ぴたあっと」と、コンクリートの出荷から打設開始・終了時間、打設する場所ごとの打ち重ね時間を総合的に管理する「eagle plus」。両製品は、国土交通省の新技術情報システム(NETIS)に登録されている。

技術部の部長を務める中西英勝氏は、「これまで現場からの声を拾い上げ、当社内で開発して提供する形を取っていたが、最近になり大手ゼネコンの研究所と共同で技術開発を手掛けることが増えてきた。他社と綿密な連携を重ねることで、今までにない気付きを得て、新製品のヒントとして活かせるケースも多い。通常業務を遂行しつつ、今後は共同開発にも力を入れるよう意識したい」と意気込みを語る。営業部の部長である笠島弘毅氏は、「このような変化は、大手ゼネコンが主な営業先だった当社のスタイルにも良い影響を与えており、現在は地場ゼネコンに対して、新たな提案を試みる動きも社内で加速してきた。当社には、気象観測システムや水位計測システムなど、様々な状況に適応した製品を複数取り揃えている。常に現場を最優先にした活動ができるよう取り組みを強化したい」と見立てを語る。既に、完全に無人で対応できる自動計量システムのテスト導入も開始しており、正式リリース後は、同製品の販売にも力を入れていく方針だ。
笠島部長は「今後は、現場で活躍する若手作業者から『スカイシステムの製品を活用すると、早く帰れるようになった』という評判が早く定着するよう事業を展開していきたい。現場を視察すると、Z世代と言われる若者は、当社製品を何の抵抗もなく駆使し、いとも簡単に生産性向上を成し遂げている。時間は掛かりそうだが、全国で同様の状況が作れるよう、今できる最善を尽くしていきたい」と展望を述べた。「一度使えば、負荷が大幅に軽減し手放せなくなる」と定評のあるスカイシステム製品。中西部長も「私の目標は、テクノロジーの活用により、建設現場の省人化を実現すること。少子高齢化・人口減少に拍車が掛かる中、現状では世代交代が更に進まなければ、これらを達成するのは困難かもしれない。しかし、業界全体を少しでも良い方向に改善していくため、この与えられて使命を全うしたい」と先を見据える。土木・建設現場におけるICT化を推し進めるスカイシステム。今年の夏には、コンクリートに特化した機能が「ぴたあっと」に追加される予定だ。
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。