奥清人さん(建部電気工事株式会社・取締役)
更新日:2025/9/12
2024年に創業50周年を迎えた。幼い頃から家業が身近にあり、祖父が創業した同社に対して「将来は自分が継ぐのだろうと自然に考えていた」と学生時代からの思いを述べる。現在は「3代目としての歩みを引き継ぐ」と強い意志を持ち業務に取り掛かる。

事業承継を本格的に意識したのは入社3年目の時。担当現場の責任者が急遽退職し、未経験の大規模案件を1人で任された。「材料の手配から人員の調整まで、自分の判断で動くしかなかった。あの現場で初めて、現場をまとめる重みと経営の本質を実感した」と今なお当時のリアルな感覚が蘇るという。

直近では、現社長である父と共に現場に足を運びながら、社長就任に向けた準備を進めている。同社は専任の営業担当を置かず、長い歴史の中での信頼関係を強みにするスタイルを採用する。今なお依頼は絶えず、やむなく断るケースもある現状には、「技術者が数名でも増やせれば、全ての需要に応対できるのに…」と悔しさを滲ませる。目下、注力すべきは採用と育成の強化。今後、スムーズな事業展開を図っていくためにも、この課題解決は急務である。

「電気が存在するからこそ人々の生活は成り立つ。その一端を担っているという誇りを大切にしたい」と基本スタンスを述べる。地元の学校・施設などを手掛けた際に、目を輝かせた子供たちから伝えられる感謝の言葉は「何物にも代えがたい」と醍醐味を述べる。蓄積した知見と信用は何よりの武器だ。「お声掛けを頂ける限り、全ての仕事に最善を尽くすことが責務」と明確な覚悟の下、今日も現場を最優先にした業務に取り組んでいる。

この記事を書いた人

クラフトバンク総研 記者 川村 智子
新卒で入社した建設コンサルタントで、農地における経済効果の算定やBCP策定などに従事。
建設業の動向や他社の取り組みなどに興味を持ち、建通新聞社では都庁と23区を担当する。
在籍時は、各行政の特徴や課題に関する情報発信に携わる。2024年よりクラフトバンクに参画。
記者として企画立案や取材執筆などを手掛けている。