桑路幸一郎さん(桑路建塗・代表取締役)
更新日:2025/10/14
海外の展示会での出会いにより、コンクリート床の研磨仕上げに注目。塗料を使わず床を直接削り出すことで、塗り替えの手間を省き、CO₂や廃棄物の排出を抑えられる特長がある。「環境負荷を軽減しつつ、効率化と標準化を実現できる。人材が減る時代だからこそ必要な技術」と語る。従来工法では乾燥に時間を要し、冬場は深夜作業や熟練技に頼る場面も多かった。しかし、同技術は平滑度や強度を安定して確保し、属人化を解消する。顧客からも「仕上がりが美しい」と好評を博している。

.png)
自身は創業から100年以上も続く、4代目の社長として会社を牽引する。幼少期から祖父に連れられて現場に親しみ、大学卒業後に入社。2012年に社長に就任し、現在49歳となる今も第一線で組織の舵を取る。次世代を担う人材の確保は避けて通れない課題だが、SNSで施工事例の発信を続けるなど、左官の魅力を広く伝える取り組みにも力を入れる。「今の若者はプライベートを重視する世代。だからこそ資格取得支援や福利厚生の充実で、安心して働ける環境を整えたい」と前を向く。
.png)

左官業の魅力は「自分の手掛けたものが後世に残ること」。今年開催した大阪万博のパビリオンや大阪JPタワーといった大規模建築にも参画し、確かな存在感を示してきた。「今後は研磨仕上げの普及を通じて、建設業界の発展と未来に貢献できるよう最善を尽くす」と力強い決意の言葉に、伝統と革新を紡ぐ覚悟を滲ませる。


桑路建塗のHP:https://www.kuwaji.com/
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 記者 川村 智子
新卒で入社した建設コンサルタントで、農地における経済効果の算定やBCP策定などに従事。
建設業の動向や他社の取り組みなどに興味を持ち、建通新聞社では都庁と23区を担当する。
在籍時は、各行政の特徴や課題に関する情報発信に携わる。2024年よりクラフトバンクに参画。
記者として企画立案や取材執筆などを手掛けている。