渡辺建設が「建設業一筋」で未来を築く
更新日:2025/11/27
「会社にとってプラスになる仕事は積極的に引き受けている」

渡辺建設(静岡県裾野市)の渡辺正高社長が、2020年に代表に就任して以来、重要視してきた信念である。昨年11月には、常磐大学で一日講師を担当し、企業経営をテーマに講演。顧客先だけでなく、行政など様々なジャンルの関係者とも連携を強化することで、会社の可能性を追求する。「社長になってから、とにかく表に立つ機会が増えた。先行きが不透明な時代に突入し、横の繋がりを持つ重要性を感じている」と語る言葉には、確かな自信が溢れている。

渡辺社長は、家業である渡辺建設に入社後、間もなく中小企業基盤整備機構が運営する中小企業大学校の「経営後継者研修」を受講した。約1年に渡る全寮制のプログラムで、財務会計や労務管理、マーケティング戦略、組織論など、経営に必要な知識を徹底的に学ぶことができた。この期間に習得した知見の中で、1番の財産は「多くの後継ぎ経営者と出会えたこと」。業種が違っていても、資金繰りや事業承継など、後継者として抱える悩みは驚くほど共通しており、「寮で夜な夜な語り合った時間は何物にも代えがたい」と感慨深げに振り返る。研修で培われた経営の基礎知識と多角的な視点は、現在の経営スタイルの礎として、今なお生き続けている。
会社経営において最も重視することを、渡辺社長は「組織力」と即答する。その組織力を飛躍的に高めるきっかけとなったのが、2017年の本社移転と拠点集約である。それまで市内に分散していた拠点を1つに統一できたことで、社員間の物理的・心理的な隔たりはなくなり、部門間のコミュニケーションは劇的に改善したという。この変化は、平時における業務効率の向上だけでなく、有事の危機対応力としても真価を発揮。コロナ禍での迅速な情報共有や、昨今の資材高騰に対する部署を横断した対策など、スムーズな連携を実現でき、「新たなステージに立てたと自負している」と胸を張る。
渡辺建設は、2年後に創業120周年の節目を迎える。建設業を取り巻く環境が劇的な変化を迎えているが、「当社が建設業一筋で邁進し、裾野市に拠点を置き続けることは変わらない」と明確な意志を示す。もちろん、建物を建てるという「ハード」面だけでなく、地域社会に深く関わる「ソフト」面でも貢献する意欲も高い。「当社がこの街に存在し続けることで、住民の方々に安心・誇りを提供できるような企業でありたい」。その言葉からは、地元への深い愛着と会社を牽引する経営者の強い覚悟が伝わる。常に謙虚に、そして誠実に地域と向き合う渡辺社長の姿勢こそが、渡辺建設の未来を築く推進力になるはずだ。
X: https://x.com/susono_wataken
Instagram:https://www.instagram.com/watanabekensetsu_housing_/
この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 松本雄一
新卒で建通新聞社に入社し、沼津支局に7年間勤務。
在籍時は各自治体や建設関連団体、地場ゼネコンなどを担当し、多くのインタビュー取材を実施。
その後、教育ベンチャーや自動車業界のメディアで広告営業・記者を経験。
2025年にクラフトバンクに参画し、記者として全国の建設会社を取材する。








