山脇一夫さん(山脇組・代表取締役)
更新日:2025/12/1
世界文化遺産・姫路城における「昭和の大修理」を中心に、創業から90年以上に渡り、兵庫の地で左官業を担い続けてきた。白く輝く漆喰壁や屋根目地の補修・修理は、城の威容を支える象徴的な仕事であり、「自らが手掛けた建造物が後世に残り続けることこそ、文化財補修の真の醍醐味」と胸を張る。


大学卒業後、23歳で入社を果たし、先代の急逝を受け、若干25歳で社長を継いだ。現在45歳となり、「振り返れば、ただ走り続けた20年だった」と述懐する姿には、家業を背負い続けてきた責任の重大さと誇りが溢れている。就任当初は経験も浅く、日々を滞りなく回すことで精一杯だったが、組合で得た仲間の支えにより歩みを止めることなく今日に辿り着けたという。

喫緊の課題は「人材確保」。求人広告を駆使し、自らSNSで情報発信するなど採用のために心血を注ぐが、「日々、職人の増加は容易ではないと痛感している」と現状を述べる。「若い世代は休暇や私生活を重んじ、旧来の厳しい指導は通用しにくい傾向がある」と分析する一方、給与水準の向上や環境改善も意識し、人材の定着に向け趣向を凝らしている。「人が増えれば受注拡大への対応も可能になる。社内での育成体制も整えつつ、伝統の技法を次世代に繋げるよう最善を尽くしていきたい」と展望を語り、今後に備える姿勢を示している。

山脇組のHP:https://e-yamawaki.jp/
この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 川村 智子
新卒で入社した建設コンサルタントで、農地における経済効果の算定やBCP策定などに従事。
建設業の動向や他社の取り組みなどに興味を持ち、建通新聞社では都庁と23区を担当する。
在籍時は、各行政の特徴や課題に関する情報発信に携わる。2024年よりクラフトバンクに参画。
記者として企画立案や取材執筆などを手掛けている。







