社内学校を創設したアイコーが、新たなステージに向けた躍進を開始
更新日:2025/12/17
鉄筋工事のエキスパートとして事業を展開するアイコー(東京都中央区)が、今年4月に若手育成を目的にした学校を社内に創設した。これまでもOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を含め、様々な教育に関する挑戦を続けてきた。しかし、相場康雄社長は「新入社員に関しては約1年間、現場のノウハウを集中的に伝授した方が、結果的に近道に繋がると考えて開校を決意した」と振り返る。入社直後から業務に当てる時間を外してでも、現場における知見を見える化し、早期に成長できる体制を構築する必要がある。建設業の魅力を体感できるよう、当面は「どのような質問をすべきか理解できるレベルまで押し上げたい」と見立てを述べる。来年度に入社予定の新卒社員数は8人に達するなど、既に好調な滑り出しを見せている。


相場社長が代表取締役社長に就任したのは2006年。会社のトップを担うに当たり、躊躇が無かったと言えば嘘になるが、「取引のある大手商社の方から『アイコーを伸ばしたい!』と多大な期待をかけられたことで覚悟を決めた」と当時を語る。旧佐藤工務店の倒産により、腕の良い職人の多くが移籍後に活躍できていた基盤もある。翌年には、関係会社として「デーバーインフォメーションネットワークス」を設立。鉄筋業界(ゼネコン・メーカー・加工運送・組立て)に関わるシステムの開発・販売を始めたことで、一連の生産性を飛躍的に向上させることに成功した。「幸運にも当社には長年現場で培ってきた技術・知識と経験があった。これらを鉄筋業界の業務効率化に活かそうと考え抜いた結果が、IT化の遅れる建設現場のテコ入れに繋がった」と経緯を述べる。会社を経営する上で最も重視すべきは「安全と品質」。この絶対に譲れないラインを死守するため、あらゆる想定を繰り返した上で、堅実に会社の舵取りを担うスタンスも特徴的である。



会社設立から40年以上が経過し、相場社長は会社として目指すべき姿を「1人でも多くの社員から『アイコーに入って良かった!』という声が本音として上がることだ」と明言する。それを真の意味で実現するには、「社員自身で給与が上昇する仕組みを率先して作る必要がある。経営者としては漠然とした期待になるが、会社がこの領域に達するまで全力を尽くしたい」と展望を述べる。社員の充実化を進めることは、結果的に会社の強化に直結する。鉄筋に関する様々な提案が可能な総合鉄筋企業・アイコーは、今後も新たなステージに進むことを前提にした躍進を貫いていく。



この記事を書いた人
クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。








