海洋開発が「海に関するエキスパート」を追求
更新日:2025/12/22
海洋開発(山口県下関市)の藤田紫社長は、今年5月に「クール・ブルー」への参画を決めた。同団体は、今年4月に協栄電気工業(広島市東区)の石本英成社長が発起人となり発足。「現場で汗を流す人々の価値を正しく伝え、業界全体で必要な人材確保を目指す」という理念に共鳴し入会に至った。10月7日には、広島市内で設立総会を開催。当日は、加盟した7社の企業と共に、これまでの経緯や今後の方針などを確認し合い、現場で働く人々を最優先にする活動を誓った。


藤田社長が海洋開発の代表に就任したのが2年前。創業者である父の後を継ぎ、「海洋土木工事」と「潜水専門工事」を事業の柱に会社の舵取りを担うことになった。社長に就いた直後、胸に去来した思いは「私は自分の能力でトップに選ばれた訳ではない」という現実。思い悩む時期もあったが、自らが専念すべきは全社員が働きやすい環境を整えること。現場・営業面は全て信頼する社員に任せ、「何かあれば責任は取るので、皆は業務に全力を尽くしてほしい」という体制を確立後は、バランスの良い組織運営を実現できているという。現在、重点を置く分野は「人材の採用と育成」。9月・10月には、3人の新入社員を迎え入れたが、藤田社長は「現場からの需要に対して、まだ人手が足りない状況にある」と見立てており、社内教育体制の更なる強化を進めている。


海洋開発は近年、会社としての使命を「海を守るヒーローになること」に設定した。「当社の主軸はインフラ整備。日本の国土を守れることを誇りに、引き続き岸壁や港湾施設の設備に注力する」と明確な意欲を示す。社内には20年以上も在籍するベテランの社員も多く、徐々にだが若手に対して技術の継承も始まっている。先代の頃から週休2日制に取り組んできた長所も活かすことで、組織拡大を念頭に置いた経営ができている点も特徴である。「日本は海洋国家という前提に立ち、今後は『海に関するエキスパート』として、当社が工事以外でも何か役割を果たせないか模索したい」との意向も見せる。海洋における建設工事は、水産業・貿易・陸上施設設置など、様々な部門と密接に関わりを持っており、それだからこそ奥が深いものがある。「当社の仕事は他では体験できない内容が多い。この特有な価値の向上を建設業界の発展に繋げるため、あらゆる可能性を追求していきたい」と展望を述べた。


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この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 川村 智子
新卒で入社した建設コンサルタントで、農地における経済効果の算定やBCP策定などに従事。
建設業の動向や他社の取り組みなどに興味を持ち、建通新聞社では都庁と23区を担当する。
在籍時は、各行政の特徴や課題に関する情報発信に携わる。2024年よりクラフトバンクに参画。
記者として企画立案や取材執筆などを手掛けている。









