松井泰二さん(神石郡建設業協会・会長)
更新日:2025/4/28
松井泰二さん(神石郡建設業協会・会長)

神石郡建設業協会の松井泰二会長(広瀬建設・代表取締役)は、会長に就任以降、「協会を通した会員個々の統一した意見・要望を、発注者に届けることを心掛けている」と力を込める。それらを進める上で重要事項は、「会員同士の協調と共助、協議すること」。常に会員が抱える課題を汲み取ることで、存在意義を高めている。
松井会長は、「当協会の地域は、広島県東部の中山間部にあり、県内の他地域と同様に仕事量・人口の減少に伴う従業員・技術者不足が深刻化の一途を辿っている」と本音を話す。年々、拍車の掛かる廃業社数の増加も止まらず、各会員数の低減も続いている。昨年9月には、広島県が低入札価格調査制度「変動型調査基準価格」を導入したが、これにより現場からの悲鳴が止まる気配はない。この難局をどのようにして乗り越えていくか、松井会長にのしかかる重圧は従来にないほど重いはずだが、「加盟する広島県建設業協会連合会や全国中小建設業協会の同志とも、綿密な連携が取って乗り切って見せる」と強い意志を示す。
「建設業の魅力は、自らが作り上げた物を様々な方に見て頂ける上に、人々の記憶にも残せること」と松井会長は醍醐味を語る。後に自身が作った過去の構造物を見ると、当時の一喜一憂の思いが蘇り、魂が震えるような何とも言えない気持ちを持ち直せるようだ。「当協会の使命は、生活の場である地域・産業を守ること。限られた地域の中で、零細企業である会員が生き延びる手立ては、競争意識だけでは当然だが限界がある。今後も協会として共助、新事業開拓、併合なども視野に入れた、地域との共生を続けていきたい」と当面の目標を語る。会員の一致団結を重視した上で、次なる一手も模索する。冷静沈着な松井会長がトップを務める神石郡建設業協会の活動に興味が尽きない。
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。