菅原浩二さん(三星産業・常務取締役)
更新日:2025/4/28
菅原浩二さん(三星産業・常務取締役)
会社のホームページ:http://www.mitubosisangyo.co.jp/

「現場作業者の年収を500~600万程度に引き上げなければならない」。
三星産業(東京都足立区)の菅原浩二常務が示す理念である。現場では慢性的な人手不足や高齢化が表面化しており、猛暑でアスファルトを取り扱う仕事は過酷を極める現実がある。「とにかく人員を集めるように!」との号令が出されから長い月日が経過した。「赤字に陥らない限り、新築工事を請け負うことで現場作業者を確保し、収益の主軸を改修工事に移行する」という顕著な変化を見せ始めている。

「防水工事の機械化は難しく、今もアナログな要素が多い。そのため、現場の職人はハードワークを強いられ、身体・精神に過度な負荷が掛かっている。このような状況下で何の対策も取らないままでいれば、当社だけでなく業界全体が沈む危険性が高い」と警鐘を鳴らす。特に若手の入職者が極端に少ない現実も憂慮し、「最優先事項は、労務単価を上げること。材料費の高騰などで厳しい状況ではあるが、元請けにも現況を理解して頂けるよう最善を尽くさなければならない」と信念を述べる。問題の根源にあるのは、過剰を極める単価の値下げ合戦。最前線が限界まで逼迫していると分かる、菅原常務の魂の叫びである。

現状が苦しいことに変わりはない。しかし、菅原常務は「決して諦めることなく、自分の与えられた使命を全うする」と並々ならぬ覚悟を見せる。現場で働く人々を守るため、とにかく儲けを作って公平に分配すること。この長く険しい道に打開策を示すための、三星産業の挑戦は続いていく。
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。