望月 正和さん(株式会社マルマサ工業・代表取締役)
更新日:2025/4/3
友人の誘いを受け業界に飛び込み、左官に魅せられ約30年。「左官の仕事は、人を思いやること」という真髄を胸に、日々現場を奔走する。「多くの人の助けがあり続けられている」と感謝の言葉を口にし、バトンを次世代に繋げるため、魅力発信にも精力的に取り組む。


2013年8月にマルマサ工業を設立し、「頂いた仕事の依頼は断らない」を信条とする。継続的に受注を増やし静岡市のみならず県内各地から仕事が舞い込むようになった。現在は、売り上げの9割を住宅が占めており「私の塗りが、『住人の生活の一部になる』という真実を忘れず、懇切丁寧に施工している」と語る姿からは妥協のない職人としての誇りが見て取れる。同社の公式インスタグラムでは過去に携わった工事の一部を掲載。その数は450件に上り、約900人のフォロワーを獲得し存在感を高めている。現場では、要望があれば子どもたちにコテを握ってもらう。「触れ合い機会が多いほど左官業の啓蒙になる」と笑いながら語る。


「1枚でも多くの壁を塗る」という目標を掲げつつ、左官や塗り壁業界の未来を案じており、「残念ながら周囲には『自分の代で店をたたむ同業者』が多い。左官業の存続を懸け、次世代に技術を継承する環境を整備していく」と意気込みを語る。

この記事を書いた人

クラフトバンク総研 記者 信夫 惇
建通新聞社に10年間勤務。東京支局・浜松支局・岐阜支局にて、県庁などの各自治体や、建設関連団体、地場ゼネコン、専門工事会社などを担当し、数多くのインタビューや工事に関する取材に携わる。
2024年にクラフトバンクに参画。特集の企画立案や編集、執筆などを手掛けている。