伊藤昌明さん(株式会社オリエンタルコンサルタンツ・統括本部 人事企画室 副室長)
更新日:2025/6/5
伊藤昌明さん(株式会社オリエンタルコンサルタンツ・統括本部 人事企画室 副室長)
会社のホームページ= https://www.oriconsul.com/
伊藤さんのX= https://x.com/kencon_ito

「建コン業界の将来について議論するのは、経営層でなく未来を担う若者世代だ」。
オリエンタルコンサルタンツの伊藤昌明氏は、確固たる信念を胸に、約1年間をかけて建設コンサルタンツ協会内に若手組織である「若手の会」を設立した。当初は、内外から否定的な意見が大半だった。しかし、全国の若手社員を対象に実施したアンケートで、長時間労働や将来像の不透明さなどがメンタル不調や短期離職に直結していたこと。また、このまま何も手を打たない状況が続くと、ゆっくりと業界全体が衰退する危険性があると丁寧に伝えると、会社の枠を超えた賛同者が集まり、「前例のない組織を作り上げることができた」と胸を張る。
立ち上げ以降は、業界内での交流に加え、ITや人材関連企業など異業界の講師を招いた勉強会なども開催。定期的に開く会は各所で反響を呼び、「当社でも若手の力で変革しよう」という動きが普及し、業界内に新たな風を吹かすことができたという。伊藤氏自身は、発起人として若手の会・会長を5期務めた後、更なる学びを求めて2021年に退任。現在は、建設コンサルタンツを含む土木業界の抱える課題に、経営学視点からのアプローチを模索する毎日を送っている。

伊藤氏は、「人事や経営戦略の観点から、業界に貢献していきたい」と思いを話す。本質的な経営を学びたいとビジネススクールに通い、2024年にMBAも取得した。業界内では、近年働き方改革が進む一方で、更なる就業環境改善の課題は道半ばだ。「これまで皆さまから多くの学ぶ機会を頂いてきた。今後は私が蓄積した知見を会社や業界、社会に広く還元していく番」という気持ちは誰よりも強い。「経営層ではなく、未来を担う若者世代に」。伊藤氏の一貫した思いは、建設業界の変革に繋がっている。
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 記者 川村 智子
新卒で入社した建設コンサルタントで、農地における経済効果の算定やBCP策定などに従事。
建設業の動向や他社の取り組みなどに興味を持ち、建通新聞社では都庁と23区を担当する。
在籍時は、各行政の特徴や課題に関する情報発信に携わる。2024年よりクラフトバンクに参画。
記者として企画立案や取材執筆などを手掛けている。