大分県鉄筋工事業協同組合
更新日:2026/5/20
【定例会の開催で団結を推進】
大分県鉄筋工事業協同組合では、毎月1回の頻度で組合員を集めた定例会を実施している。これは今後のスケジュールや応援単価の調整などを確認するために開催。毎回、ほぼ全ての企業が積極的に情報を共有することで、団体としての団結を強めている。4月27日には4月度の定例会を開き、2026年度に予定している「第6回全国鉄筋技能大会」に参加する選手や、標準見積書の浸透具合などの現状把握を行った。伊藤敏宏理事長(伊藤鉄筋工業・代表取締役)は、「組合員同士が定期的に対面で会う機会を作ることで、些細な変化から新たな糸口を見つけられることが多い。建設業界が過渡期にある今、このような地道な活動を継続することで、少しでも改善に向けた動きを増やしたい」と意欲を見せる。


【県民に鉄筋業を知ってほしい】
伊藤理事長は、「大分県に住む方々に、もっと鉄筋業を知ってほしい」と本音を吐露する。年々その思いは強く膨れ上がり、近年では小中学校が開催するイベントや他業種が開く技能祭などにも、多く出席するように変化した。「建設業界の現在地は、慢性的な人手不足に陥っている。このような状況下だからこそ、まずは他産業との連携も綿密にすることで、これまでにない可能性を模索したい」と覚悟を示す。特に工業高校を対象にした数日間の出前授業では、生徒が日に日に上達する様子が見て取れ、参加した組合員からも「新人時代を思い出すことができ、大変刺激になった」との声が上がった。このような小さな一歩だが、着実な前進に繋がる動きを組合は続けており、伊藤理事長は「いつか何らかの形に実を結べるよう、業界を超えた連動を心掛けている」と先を見据えている。

【標準見積書の活用を徹底する】
昨年12月には改正建設業法が完全施行され、専門工事業者に対する処遇改善や工期ダンピング対策の強化もルール化された。伊藤理事長は「この機会に、人工から単価を算出しその合計を頭数で割る形で単価を積算できる『鉄筋工事標準見積書』の活用を徹底し、専門工事業者に正当な賃金が支払われる枠組みを作りたい」と意志を示す。定例会では組合員から、「実際に標準見積書を出すと、ゼネコン側から怪訝な顔で『それで実際はいくらになるの?』と聞かれ、大変気まずい思いをした」という声も上がった。まだ地場ゼネコンの中には、標準見積書の存在すらも知らない人々も多い。このような現実に対して、伊藤理事長は「国として法律を改定したのだから、国土交通省からゼネコンへの指導を強めてほしい」と要望を述べる。今回のルール是正は、専門工事業者の生き残りを図るために、職人の給与を上げることから始めるという設定だったはず。この原理原則に立ち戻り、露骨な拒否・圧力をかける企業が現れた場合は、国土交通省の職員で構成される、不適切な取引・低賃金ダンピングを指導する専門チーム「建設Gメン」への通報を検討する段階まで状況は差し迫っている。

【持続可能な鉄筋工事業を目指す】
組合の役割として、伊藤理事長は「鉄筋工事業を持続可能な状態にするために活動を活発化している」と明確なスタンスを堅持する。現状は、現場で汗を流す職人が正当な単価を得られなければ、業界全体の底が抜ける直前まで逼迫している。この現実を加味し、10~20年後も専門工事会社が、どのような形を踏めば生き残れるのか。近年では、自社の会社を経営しながらも、この1点のみを考える時間が増えており、「実現するには、過酷な環境下で働いたからこそ、納得できる給与を支払える業界に変わるべき」との結論に行き着くという。これら全てを具現化するための突破口は、「当たり前に標準見積書が利用できる世界を作ることが鍵になる」。目標まで到達するには、国交省・ゼネコン双方の更なる協力が不可欠である。九州の鉄筋業界では、県を超えて団体同士がサポートし合える体制が整っている。課題は山積みだ。しかし、「手遅れになる前に私たちで何とかして見せる」と自身に言い聞かせながら、伊藤理事長は今日も全力で団体運営を手掛けている。

この記事を書いた人
クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。







