東京都電気工事工業組合
更新日:2026/3/24
【設立60周年を迎えて】
東京都電気工事工業組合が、昨年6月に設立60周年を迎えた。理事長を務めるのは、天野春夫氏(株式会社セイショウ・代表取締役会長)。2017年から団体のトップに就任し組織を牽引している。真っ先に手掛けたのは、年功序列の傾向が強かった組織文化の刷新。副理事長に年次の若い2人を抜擢するなど、異例の人事と教育制度の確立を早期に進めた。「改革をスタートさせた1期目は、厳しい状況が続いた。しかし、2期目からは順調な団体運営を実施し、財務状況が改善したことで余裕・余力を生み出せた」と経緯を述べる。昨年からは、全関東電気工事協会の会長にも就いており、文字通り関東全体の電気工事業界の舵取りを担っている。


【組合加入のメリットを提示】
天野理事長は、常日頃から「組合の組織率を50%に維持すること」を念頭に置いた体制を目指している。電気工事工業組合は全国47都道府県に存在しており、工事の品質向上を果たすため、他県の団体とも研修を開くなど様々な活動を行っている。「現段階では、組合に参加するメリットが世間に浸透していないので、この点を未加入事業者に周知することから始めたい」と課題を挙げる。特に創業から5年程度の企業にとっては、保険加入や安値での資材購入など、参画を大幅な業績アップに繋げられる要素は多い。実際に組合員にならなければ、これらを体感できない現状が歯がゆいが、「この現実を受け入れ、引き続きPRを強化することで改善していきたい」と前だけを見つめる。3年前には、「組織増強特別委員会」を設置し、東京電力とも連携して組合加入の促進を模索するなど、新たな動きも加速している。難題が積み上げる中、現状打破の道筋を付けられるかが注目である。


【女性部の設立を起爆剤に】
東京都電気工事工業組合では2023年11月、通称「T Ladies United(ティー・レディース・ユナイテッド)」となる「女性部会」を設立した。部会には現在、事務職・現業職など組合員事業所に携わる女性社員が40人ほど参加している。天野理事長が「親会の関係者は極力関わらないよう気を付けている」と話す通り、独自の発想で動けるチーム作りを心掛ける。昨年11月には、「お友達からはじめましょう~電気でつなぐ縁結び~」と銘打った、恋活パーティーを実施。電気工事業に従事する15人の男性と異業種の女性16人が集まり、当日は5組のカップルが誕生するなど、自由な考えを軸にした活動を継続している。最近では、青年部との交流に留まらず、東京都管工事工業協同組合や東京電設資材卸業協同組合など、団体を超えた交流を果たすことで、今までにない流れを生み出せているという。「まずは『人が集まることは楽しい』という雰囲気を作ることが重要。なるべく制約の少ない環境で各々の関係性を強化し、いずれは100人が所属する部として、業界の活発化に貢献したい」と願う眼差しには特有の優しさが含まれている。

【組織を結集したサポートを】
東京都電気工事工業組合は、電気工事業で都内に唯一設立を認可された団体である。天野理事長は、「現状の組合企業数は2000社強を保っているが、この数字を保ち続けられるよう、あらゆる施策を考慮する必要がある」と本音を述べる。組合に加入すれば、各企業は社員の技術向上や技術者の養成、経営の安定化などを図れる。世間にこの評価が定着するまで、天野理事長は「私にできることは何でもやる」と並々ならぬ覚悟を見せている。2011年の東日本大震災から、国内のエネルギー政策は大きく変わった。「中小企業が競争力を維持し、その発展基盤を強化するには、組織を結集した団体の役割が重要」という信念は不動である。「時代の流れを的確に捉え、新たな分野にも挑戦できるよう、そのサポート体制を作り上げる」。組合が掲げる使命は意義深く、今後も建設業を下支えする団体として一翼を担い続けていくはずだ。


この記事を書いた人
クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。







