SNS駆使のあすか工業が、業界のイメージアップを目指す
更新日:2025/4/25
あすか工業(静岡県焼津市)が、今年3月に会社設立3周年を迎えた。高野裕太社長は「4期目に入ったが、ここに来てようやく会社としてスタートラインに立てたと感じる。昨年度は社員も増え、受注も安定し軌道に乗ってきた」と安堵の表情を見せる。社員の平均年齢は32歳。社員14人のうち30代が大半を占める。若手社員を確保する秘訣を問うと、「特別なことは何もしていない」と謙遜気味に答える様子が印象的である。

独立のきっかけは、当時在籍していた建設会社の倒産だった。「15歳で友人と共に入社した企業だった。倒産後も“何とかなるだろう”と前向きな気持ちで、24歳の時に個人事業主として独立する道を選んだ」と当時を振り返る。当初は古巣からの紹介もあり、細々と仕事ができていたものの、徐々に先行きが不透明になり始めていた。2人居た仲間もそれぞれ独立するなど苦境が続き、配送業・清掃業などのアルバイトで生計を立てたこともあった。しかし、獲得した全ての工事を真摯に取り組み続けると、徐々に仲間が集まり始め経営状態も回復し、2021年に法人化を実現した経緯がある。モットーは、「やれることは何でもやる」。SNSの投稿など、若者へのアピールにも積極的に取り組み、創業時に4人だった社員は、23年度には14人にまで増加。Instagramから採用実績を作るなど、「目の前の仕事に真剣に取り組むこと」を徹底し続けた結果、会社を好転できたという体験を積んでいる。


高野社長は、「長年続いてきた『建設業は過酷で汚い』というイメージの定着が、業界全体の人手不足に結び付いてしまった」と問題点を語る。「建設業は本来やりがいのある楽しい仕事。資格の取得や技術向上に努めれば、高収入も目指せるなどメリットも多い」。近年では、様々な現場で働き方改革も進み、休日の確保もできるよう変化している。「当社では、引き続きSNSなどを駆使して、現場のポジティブな『今』を発信することを心掛けたい」とイメージアップの具体策を話す。

直近の目標は、会社のランドマークとなる工事を担当すること。「実現までの道のりは険しいが、仕事の成果が地図に残ることが建設業の醍醐味。造成工事がメインの現状を少しずつでもシフトし、いずれは『あの建物は自分が作った』と誇らしげに宣言できるよう全力を尽くしていく」と先を見据える。現在、SNSからの問い合わせも増え、社員が最新技術に関心を示すなど、会社としてプラスの兆候が続いている。あすか工業がこの追い風をどのように活かし、変貌を見せていくかを注視していきたい。
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この記事を書いた人

クラフトバンク総研 記者 川村 智子
新卒で入社した建設コンサルタントで、農地における経済効果の算定やBCP策定などに従事。
建設業の動向や他社の取り組みなどに興味を持ち、建通新聞社では都庁と23区を担当する。
在籍時は、各行政の特徴や課題に関する情報発信に携わる。2024年よりクラフトバンクに参画。
記者として企画立案や取材執筆などを手掛けている。