職人重視のBKalphaが、自社ブランド定着に向けた活動をスタート
更新日:2025/4/25
BKalpha(愛知県あま市)は、古川政央社長が入職時に歯がゆい思いをした経験を基に、一念発起し起業した会社である。創業後は、職人の自社採用を進めながら、足場の魅力・地位向上に取り組んでおり、古川社長は「社員が安定して働ける環境の確保と、自社のイメージアップが肝になると捉えた」とポイントを語る。

起業時に掲げた命題は、「自社職人による施工の徹底」。社員には「会社から守られている安心感の中で働いてほしかった。特に最初の2年、がむしゃらに仕事をこなしたことで、終身雇用や保証給、社会保険の加入など、当たり前と言われる社内体制を整えることに努めた」と経緯を語る。文字通り身を粉にして働いた甲斐もあり、現在の社員は約15人になるほど成長。若い社員が多く在籍する現状を読み解くと、時代に適合するようアップデートし続けた効果が出ていると見て取れる。今年度は、経済産業省の「健康経営優良法人2024」認定や「SDGs宣言」に取り組むなど、企業価値の向上には余念がない点も、若手社員の定着に繋がっているようだ。

古川社長は、「ニッカポッカは嫌い」と断言する。その上で「目指すのは大手企業のようなブランディング。名の知れている企業はユニフォームを見れば、即座に把握できる。私たちも一目で『BKalpha』と気付いて頂けるよう、自社ブランドの定着に向けた活動を目指したい」と意気込みを語る。統一された服装での作業は、社員のプロ意識を高め、会社としての一体感も生まれる。「いずれは、足場という業種が今以上に広く認知され、その価値を認められるよう発展していきたい」と先を見据える。新卒で大手足場メーカーに職人として入社後、30歳で営業の管理職に就き、センター長まで登り詰めた。しかし、「多くの事柄を学んできたが、経営層と現場の職人の間に大きな乖離があった。『職人なくして、会社なし』という思いが強くなり、36歳の時に起業の道を選んだ」と起業までの道のりに辿り着いた、並々ならぬ思いに力を込める。

BKalphaが携わる案件の9割以上が住宅となり、大部分が新築物件になるという。古川社長は、入職直後より住宅での施工にやりがいを感じており、その理由を「一度たりとも同じ条件が揃うことがないパズルを解く感覚になれるから」と率直に語る。「数多くの案件をこなす労力は必要になるが、施主や所有者とも密にコミュニケーションが取れ、『ありがとう』の言葉を直接聞ける喜びは何物にも替えられない」と醍醐味を述懐する姿も印象的である。「足場あってこそ私の人生。足場が好きだし、仕事も大好きだ」と惚れ込む古川社長の具体的な目標は、「3年後までに社員を倍増すること」。堅実な改革体制が実を結ぶ日は、そこまで遠い未来ではないはずだ。
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 記者 信夫 惇
建通新聞社に10年間勤務。東京支局・浜松支局・岐阜支局にて、県庁などの各自治体や、建設関連団体、地場ゼネコン、専門工事会社などを担当し、数多くのインタビューや工事に関する取材に携わる。
2024年にクラフトバンクに参画。特集の企画立案や編集、執筆などを手掛けている。