中部建設青年会議が全国大会での集大成を目指す
更新日:2025/5/2
今年6月に開かれた中部建設青年会議(中建青)の第35回定時総会にて、岡田司氏(岡田建設)が新会長に就任した。中建青は、中部5県で国交省直轄工事などを受注する企業の若手経営者を中心に構成する団体。新たな舵取りを担うことになった現実を受け、岡田会長は、「当面は、来年度に中建青が主管となり開催する、全国大会の成功に向けた準備期間として、最善を尽くしていきたい」と意欲を見せる。

7月からは実行委員会が立ち上がり、テーマ選定や課題の抽出を開始した。過去の大会では、人材不足やDXについて議論してきたが、「建設業が抱える構造的な問題は変わらない」と判断。慢性的な人手不足や長時間労働など、「改めて皆で熟考する機会」と捉えている。全国9ブロックの経営者が集うことで、全国津々浦々、地域が抱える課題とその解決策を集約し、新たな突破口の発見を試みている。
岡田会長は、大学卒業後に岡田建設に入社し、33歳で社長就任。中建青には、それ以前の25歳から所属しており、約20年に渡り携わっている。2008年に発生したリーマンショック時には、林業など異業種への参入をテーマに設定。その後、建設投資が回復するにつれて人手不足が顕在化し議題も変化するなど、「時代の潮流を中建青の一員として、身をもって学んできた」と振り返る。
担い手確保の面では、愛知県支部長を務める2020年に、高校生を招きフォトコンテストを開催した。これは普段では入れない工事現場内で撮影会を開くことで、土木の魅力を発見してもらう企画。1回目は4校から30人程度の参加者だったが、徐々に活動の輪が広がりを見せ、4回目の開催時は30校・約260人を受け入れられるまでに発展し、着実に手応えが増しているという。参加した高校生からは「建物を含めたインフラが人の手で作られていると再認識できた」との感想も上がっており、今後はこのような声を入職に繋げられるかがポイントになりそうだ。


現在、工事を進める国道23号蒲郡バイパスは、完成すれば愛知県豊橋市から豊明市に至る「名豊道路」が全線開通することになる。岡田会長は、地元悲願の道路が開通することを見越し、発注者・関係自治体とも協力して、PR動画制作や現場監督体験塾などのイベントを積極的に開いている。実際に現場で紹介を受けた高校生は、目を輝かせながら説明を聞くケースが多い。岡田会長が「『建設業って何だか面白そうな仕事だな』と思って貰うことがスタート」と目論む通り、少しずつだが草の根活動を広げ浸透させている。


岡田会長は、建設業界が発展するには「若手が旗手を振って業界の役割、魅力を発信することが大事」と自身の体験を基に思いを語る。全国建設青年会議の発祥の地は中部とされていることもあり、「その名に恥じぬよう全国の会員らと課題を共有し最適解を模索したい」という気持ちは誰よりも強い。全国大会は、2025年12月に開催する。岡田会長が専念する一大イベントが成功裏に終わり、業界に立ちはだかる障壁を切り崩す一手になると期待したい。
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 記者 信夫 惇
建通新聞社に10年間勤務。東京支局・浜松支局・岐阜支局にて、県庁などの各自治体や、建設関連団体、地場ゼネコン、専門工事会社などを担当し、数多くのインタビューや工事に関する取材に携わる。
2024年にクラフトバンクに参画。特集の企画立案や編集、執筆などを手掛けている。