盤石な布陣を武器に大同工業が可能性を拡張へ
更新日:2026/2/20
大同工業(静岡県伊東市)の堀口岳士社長は、新卒で本田技術研究所に入社し、自動車の設計者としてキャリアを歩んでいた。ホンダでの現状に不満は一切なかった。しかし、31歳で義父が経営する大同工業の承継を決意。夜間専門学校で建築を学びながら、日中は施工会社や設計事務所での修行を経て、同社に参画を果たした。社長に就任した2020年以降は、これまでの歴史と伝統を重んじながら「現場の声を吸い上げるボトムアップ型」に組織変革を進めるなど、特異な経歴を武器に新たな道を切り拓いている。


同社が最も得意とするのは、建築家とタッグを組んだ「高難度なデザイナーズ建築」である。これまで40年以上1000人を超える建築家と協働することで、独自のネットワークを構築し、現在は受注の100%が紹介という揺るぎない体制を確立している。堀口社長は「マニュアルが通用しない世界だからこそ、磨かれる技術がある」と分析。一棟ごとに異なる複雑なディテールを形にするため、現場対応力の向上を徹底してきた。昨今では、一般住宅が冷え込んでいる状況を考慮し、資産としての価値に直結する「高級貸別荘」や「ホテル建設」分野にも取り組むなど、常に市場の変化に応対した戦略を採る。難解な設計を具現化し続けてきた功績が、顧客からの「替えの利かないパートナー」としての強固な関係性に繋がった。


深刻な人手不足が続く中、大同工業は独自の採用戦略で「技術者の確保」という難題に挑んでいる。狙いを定めるのは、「図面を引くだけでなく、自分の手で建物を完成させたい」と熱量を持つ学生だ。堀口社長は自ら、建築学生のコミュニティ「TONKAN(トンカン)」や、全国の卒業設計展などに足を運ぶ。「学生が情熱を注いだ作品や、建築に対する思いに耳を傾け対話する。このプロセスを重視できたことで、『建築家との家づくり』に魂を込められるメンバーが集まるようになった」と確かな手応えを口にする。深い相互理解が入社後のミスマッチを解消させ、過去5年の新卒定着率は極めて高い水準を維持している。


堀口社長が目指す企業像は、「売り上げを追うのではなく、社内の精鋭たちが誇りを持って働くプロフェッショナル集団」である。その構想の一環として、既にエリアの枠を超えた新たな仲間づくりも開始。同じ志を共有できる各地の施工会社や建築家とのネットワークを強化し、どこにいても「大同品質」の建築が届けられる体制を目指している。105年の歴史を礎に、建設業界の未来を描く大同工業。この理念を伊豆の地から全国に拡張させるため、堀口社長は今日も全身全霊で会社経営に取り組む。
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Instagram:https://www.instagram.com/daidokogyo/
この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 松本雄一
新卒で建通新聞社に入社し、沼津支局に7年間勤務。
在籍時は各自治体や建設関連団体、地場ゼネコンなどを担当し、多くのインタビュー取材を実施。
その後、教育ベンチャーや自動車業界のメディアで広告営業・記者を経験。
2025年にクラフトバンクに参画し、記者として全国の建設会社を取材する。








