クラフトバンク総研

建設業の未来に向けた挑戦を継続 大雄工業

更新日:2025/12/3

大雄工業(大阪府堺市)の中西雄一社長は、今年1月に日本青年会議所建設部会の第59代・部会長に就任した。掲げたスローガンは、「土台〜建設部会を通じて一生忘れられない感動を生み出す〜」。京都会議を皮切りに、全国各地で開催される定例会や意見交換会へと積極的に出向き、全国規模での活動を推進している。任期は今年12月末までになるが、「来年は設立60周年を迎える節目の年。先代から引き継いだバトンを堅実に繋ぎたい」と強い気持ちを全面に出している。

中西雄一社長は、年間12回開かれる正副部長会議や、各地区の定例会に20回以上参加し、着実に人脈を広げてきた。「北は秋田、南は鹿児島まで。会員との対話を通じ得た知見は何物にも代えがたく、同じ建設業でも業態が多様だと改めて知ることができた」と振り返る。全国に会員が分散し権限移譲なされている体制下でも、問題なく運用できる建設部会の組織は、「自社の経営にも生かせるヒントが多かった」と新たな気付きも得られた。幾度も現地に足を運び、建設部会の全国的な繋がりを体感したことは「災害大国である日本においては、この強固なネットワークを救援体制として活かせるのでは?」とぼんやりとだが、今までにない可能性も見え始めたという。

部会長としての役割を担いながら、本業である大雄工業の経営面でも手腕を発揮している。今年は創業10期目を迎えた成長軌道に突入しており、売り上げ10億円を目指した組織基盤の強化に尽力。自身の原体験である「ユンボに乗った時の感動、大型重機を操れるようになった達成感」をベースに、「できないことができるようになる」というシンプルな喜びを伝播するため、社内敷地に「資格の受付・堺建設機械教習所」を開校した。教習所では「操縦席からあなたの物語が始まる」を校訓に掲示。「どのような挑戦においても、最初は誰もが初心者。関心を抱けた人や成長意欲のある人の背中を押す場所として確立させたい」と具体的な展望を語る。11月11日に初開催した玉掛け技能講習には、6名が参加を果たしており、今後は小型移動式クレーンなど合計5種の資格が取れる体制に拡張する方針である。

現在、建設部会は全国28クラブ、約2000人の会員を抱えている。「いずれ47都道府県すべてに建設部会を設置したい」という言葉には熱を帯びており、取材中に「部会長の重責は自分1人では成し遂げられなかった。会員の協力があってこそ」と何度も感謝の言葉を口にする眼差しは真剣そのものであった。現在37歳という若さだが、既に「習得した学びや経験は次世代に還元していく」と確固たる責任感を示す姿は使命感に満ちている。常に建設業の未来を最優先に挑戦を続ける中西社長の歩み。これの全ては、近い将来に大阪から全国へと広がりを見せ、より豊かに変容する未来へと繋がっていくはずだ。

新着記事

  • 2025.12.05

    門屋組が「200年企業」に向けた基盤強化をスタート

    門屋組(愛媛県松山市)が今年1月、創業115周年の節目を迎えた。これまでは民間工事を主軸に、住宅から商業施設まで幅広く新築を手掛けてきたが、門屋光彦社長の就任以降は、マンション建設への参入やメンテナンス事業などを強化し業 […]
    クラフトバンク総研記者松本雄一
  • 2025.12.02

    伊田テクノカレッジを基軸に、盤石な体制の構築を志向

    「建設業を何も理解できていない状態で入社したんだ」 埼玉県に本社を置く伊田テクノス(埼玉県東松山市)の楢﨑亘社長が、少し照れながら打ち明ける。大学時代まで剣道に打ち込む毎日を送っていた。「全日本実業団大会で優勝を目指そう […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2025.11.28

    宮村鉄筋工業が「ものづくりは人づくり」を追求へ

    昨年4月、宮村鉄筋工業(福岡県大牟田市)の代表取締役社長に宮村良太氏が就任した。5年間の正栄工業(大阪府枚方市)での修行後に参画した家業。創業者かつ父でもある宮村博良会長の経営理念である「職人ファースト」を踏襲する形で就 […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2025.11.27

    渡辺建設が「建設業一筋」で未来を築く

    「会社にとってプラスになる仕事は積極的に引き受けている」 渡辺建設(静岡県裾野市)の渡辺正高社長が、2020年に代表に就任して以来、重要視してきた信念である。昨年11月には、常磐大学で一日講師を担当し、企業経営をテーマに […]
    クラフトバンク総研記者松本雄一