100年企業を目指す福相建設が、更なる地域活性化に着手
更新日:2025/4/30
昨年9月、福相建設(福島県南相馬市)の佐藤洋氏が3代目社長に就任した。前社長の退任により回ってきた社長という重責。決して楽ではなかった修業時代でも、持ち前のポジティブさとストイックさを活かし、技術の上達を喜びに変え、更なる修練を積み続けたことが就任に繋がったようだ。

佐藤社長は、製造工場に勤務時、同じ作業を繰り返す毎日が退屈と感じ、転職活動を開始した。重機オペレーターの求人を見て、「一体どんな仕事なのか、建設業とはどのような世界なのか」と今まで縁のなかった建設業界に惹かれ入職した経緯を持つ。入社後は、現場作業や監督業務にも従事。「当社の使命は、何よりも地域貢献。地方でも若い人が入社を希望するような魅力ある会社を作る」と並々ならぬ意欲を見せている。


就任後、真っ先に取り組んだのは、会社で初めての試みとなる「経営計画書」の作成と配布。全社員が1冊を持参し、常に会社のミッション・ビジョン・バリュー、売り上げ目標などを確認できる環境を整えた。きっかけは、「現場監督を担う社員の相次ぐ退職だった」と物悲しそうに振り返る。「退職者の多くが勤続10年を過ぎた中核を担う社員だった。当時は現場で発生した問題に対する明瞭なルールが皆無だったので、全てを監督の現場判断に任せることが多く、関係者との板挟みになるなど負担が重なっていたと聞いた。その場しのぎで対応し続けたツケが回ってきたと捉えている」と後悔を前面に出す。監督不在のため、元請けとしての工事が受注できなくなるという悪夢。社員の生活を守るために一念発起し、明確な目標設定や公平・中立なルールを策定したことで、細かなルール確認に取られていた手間が解消し、生産性向上も実現し始めているという。経営計画書は、社員の意見も反映し随時アップデートを繰り返していく方針だ。


佐藤社長は、当面の目標を採用強化と社員育成に設定。「当社では、若者から魅力的な企業に映るよう、給与や休暇制度、資格取得のサポートなど体制の整備を進めている」と改善中のポイントを強調する。「とにかく人材確保」という強い思いが実り、現在の監督職員は3名にまで増加。社員の大半が施工管理技士などの資格を保有しており、地元からの「緊急時には福相建設さんが頼り」と評判を得ていることも、社員のモチベーションアップになっているようだ。


「今後も地域で住む方々が安全・安心に暮らせる環境整備に全力を尽くす」と佐藤社長は展望を語る。「少しでも福相建設を若年層に注目してほしい」との思いから、SNSを定期更新するなど、これまでにない取り組みで結果を出せている。「建設業は、災害時の応急対策や復旧・復興に重要な役割を果たす欠かせない産業。地元に貢献し、お客様に信用と信頼を与えられるよう精進していきたい」と思いを述べた。
佐藤社長の究極的な目標は、「福相建設を100年企業にすること」。現在は、社長就任によりその扉は開かれた段階だが、あらゆる継続が目標到達に関連付いていくはずだ。
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この記事を書いた人

クラフトバンク総研 記者 川村 智子
新卒で入社した建設コンサルタントで、農地における経済効果の算定やBCP策定などに従事。
建設業の動向や他社の取り組みなどに興味を持ち、建通新聞社では都庁と23区を担当する。
在籍時は、各行政の特徴や課題に関する情報発信に携わる。2024年よりクラフトバンクに参画。
記者として企画立案や取材執筆などを手掛けている。