2度目の上場を果たしたハンワホームズが、企業永続に向けた経営に舵を切る
更新日:2025/12/24
ハンワホームズ(大阪府泉南市)は11月17日、名古屋証券取引所ネクスト市場に上場を果たした。同社は、住宅や商業施設、公共スペースなどの屋外空間の設計施工から家具販売までを一気通貫で手掛けている。近年では、大阪府のPark-PFI事業「りんくう公園(中地区)整備運営事業」など大口案件の受注に成功。昨年の東京証券取引所プロマーケット上場に続き、2度目のIPOを実現した。鶴厚志社長は「業界トップの企業として確立できるよう、事業スピードを更に加速させたい」と意気込みを述べる。


今回の上場に関して、鶴社長は「中長期事業戦略に最も合致する市場で、昨年の段階から構想はしていた」と明らかにする。認知度と競争優位性を高められたことで、来年は過去最高の売り上げを見込む。次の戦略として見定めるのは「戸建住宅の分野で中部東海地域に参入すること」。国内市場における「一丁目一番地」とも言われるエリアで目標を達成した後は、アジア進出も視野に入れており、「自然と共生できる日本のエクステリアの技術・ノウハウは、『輸出産業』になるポテンシャルを秘めている」と綿密な戦略も覗かせる。既に社内では海外の大学を卒業したグローバル人材の採用・育成を進めており、その飽くなき向上心に陰りが見える気配はない。


鶴社長が組織運営をする上での原動力は、「次の事業承継の目処を付けること。上場はその手段に過ぎない」と明言する。新卒で同社に入社後、家族と2人3脚で家業を下支えしてきた。2020年に2代目社長に就任するも、経営方針の違いから創業者である父とは衝突を繰り返した。このような経験から、自身では世代の継承に関しては入念な取り組みを実施。「次の経営者を見据えて、現段階からクリーンな体制と継続的な成長を遂げられる会社を目指してきた」と経緯を話す。現在は積極的にDXを推進してきた効果もあり、社員の平均年齢も34歳と大幅な若返りを実現。最新技術の駆使と若手が活躍できる職場の提供という、バランスの取れた経営が手掛けられている点も特徴的である。


先行きの不透明な時代に突入してから長い時間が経過し、この流れが終わりを見せる気配は意向にない。しかし、このような状況下でも鶴社長は「シェアの奪い合いではなくマーケットそのものを創造することで、新たな未来を切り拓きたい」と強い意欲を改めて示す。直近での挑戦を「空間創造事業を軸に、造園業や外構業の社会的認知を上げ、産業全体の発展に貢献すること」に設定した。ハンワホームズが作る「感動に出会う空間」が、世界全体に広がる日はいつになるのか。その日が1日も早まることを夢見て、鶴社長は今日も全身全霊を賭けて会社の舵取りを担っている。

Instagram:https://www.instagram.com/hanwahomes/
公式オウンドメディア「The SCENERY」:https://www.hanwa-ex.com/media/
この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 松本雄一
新卒で建通新聞社に入社し、沼津支局に7年間勤務。
在籍時は各自治体や建設関連団体、地場ゼネコンなどを担当し、多くのインタビュー取材を実施。
その後、教育ベンチャーや自動車業界のメディアで広告営業・記者を経験。
2025年にクラフトバンクに参画し、記者として全国の建設会社を取材する。








