新事業を展開するヒロコウが、別角度のアプローチを始動
更新日:2025/4/29
ヒロコウ(広島県広島市)の小柳宜久氏(写真・右)が、今年4月に専務取締役に就任した。実父であり現・代表取締役の小柳広士氏(写真・左)は、「これまで伝授してきたノウハウや人脈などを活用し、自身の目標達成だけでなく、私の発想を超えたことを成し遂げてほしい」と期待を込める。既に業務日報や事務業務のデジタル化に着手、大幅なコスト削減と労働時間の削減を実現している。

宜久専務は、新卒で船井総研ロジという、大手経営コンサルティング会社に勤務後、都内のゼネコンでの現場監督を経て、自らの意志でヒロコウに参画した。入社前、家業に戻る意思や自身の目指す会社のビジョン、それに必要なプロセスなどを資料にまとめ、3時間に渡り、懸命に社長へ伝えた。それを見て、広士社長は「もともと宜久は、独立起業するものと考えていた為、事業継承を自ら名乗り出るとは思わなかった。この話を受け、喜びよりもほっとした気持ちが大きかった」と当時を回想し、柔和な表情を見せる。「昔から目標には、綿密な計画を立て実現していく姿を見続けてきた。ビジネスの場でもこの能力を発揮してほしい」と当面は専務の動向を見守る姿勢を保つ。少年時代は、地元の野球チームで監督と選手の関係になった時期もある。広士社長は、「色眼鏡で見られないためにも、当時は他のチームメイトより厳しく指導していたが、実力でキャプテンを勝ち獲るなど、常に結果を出していた時代を思い出す」と過去と現在を重ね合わせ、更なる飛躍を期待する姿が力強い。


ヒロコウでは2024年4月より、新たに建設会社向けの採用コンサルティング事業を開始した。「リフォームや新築などを合わせた日本の建設需要が増加するのに対し、それを造る建設業労働者は年々減少している。人材確保を目的にSNSに力を入れる企業も存在するが、苦戦する建設会社が多い。データを見ると10年前と比べて2倍~3倍ほど、人材確保が難しい社会環境になっている。苦戦する建設会社に対し、私自身が培ってきたマーケティング視点の採用を行うことで会社の魅力をPRし、未経験人材を建設業界に流入させ、建設会社の採用活動をサポートする」と抱負を語る。宜久専務には、中小企業などの採用課題を解決してきた実績が多くある。実体験で得た客観的な数字に基づいたアドバイスは説得力を増し、多くの企業からの問い合わせが後を絶たないようだ。「建設の仕事は、人が日常生活を送る上で不可欠な魅力的な仕事。職人の仕事がAIやロボットに取って替わる日は来ないと確信している。将来的には、建設需要は更に高まることになり、職人は安定的で高額な収入を得られる日が来る」と力を込める。

この事業に取り組んだ背景には、宜久専務の『なりたい自分になれる人を増やす』という強い思いがある。「社員や家族、取引先などが自己実現を通じて幸せを感じられる会社作りを目指す」と断言するその表情は何とも輝いており、これからの一挙手一投足に期待を抱いてしまうのは筆者だけではないはずだ。
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この記事を書いた人

クラフトバンク総研 記者 川村 智子
新卒で入社した建設コンサルタントで、農地における経済効果の算定やBCP策定などに従事。
建設業の動向や他社の取り組みなどに興味を持ち、建通新聞社では都庁と23区を担当する。
在籍時は、各行政の特徴や課題に関する情報発信に携わる。2024年よりクラフトバンクに参画。
記者として企画立案や取材執筆などを手掛けている。