良質なインフラ構築に向けた仕組み化を手掛ける 秋田県建設青年協議会
更新日:2025/4/28

秋田県建設青年協議会で会長を務める成田圭一郎氏(成田建設・代表取締役)は、業界の担い手の確保・育成を実現するため、関係者らと出来る限りの力を尽くしている。同協議会は、秋田建設業協会内で構成する若手会員を中心にした組織。インフラを通じて未来を作ることを使命としており、様々な趣向を凝らした取り組みに着手している。

2023年の総会で満場一致の票で就任した成田会長だが、当初は本業に加え他団体の役員を多く兼務していた。旧知の仲である前会長・清水隆成氏から指名された時には、「腰掛けでの就任だけはしないと心に誓い一度は辞退した。その後、関係者から嘆願の連絡が多くあり、耳を傾けるうちに徐々に覚悟が固まっていった」と当時を振り返る。秋田県全体から参加者が集まり、英知を集結する機会となる秋田県建設青年協議会の会合について、成田会長は「出席者全員が有意義と感じる場にしたい。そのため、特に役員会では全員が積極的に参加できる雰囲気を心掛け、意見の出やすい環境作りを重視している」と話す。「個人的には、もう少し細部にこだわりを見せた企画を取り入れることにも挑戦したい」とも語る姿が印象的だ。


集約された意見が遺憾なく発揮されるのが、会員各社が工事を受注することが多い秋田県庁建設部との意見交換会。こちらでは「時間外労働上限規制や設計変更協議、工事評定の算出方法、災害復旧工事の発注方法など、枚挙に暇がないほどの要望が出てくる」と状況を話す。本体組織・秋田県建設業協会でも同様に意見交換を行政と実施しているが、「若手を代表する世代として、我々が最も現場を熟知している自負がある。可能な限り忖度のない意見を共有するのが狙いだ」と現場に立つ者の代弁者として強い口調で訴える。「対抗や対立を煽る思いは微塵もない。所属する組織は違うが、『良質なインフラを構築し、県民に貢献する』という最大の目的を受発注者として長きに渡り共有している。同じゴールに向かうチームだと考えている」と独自の見解を話す。

協議会では意見交換会の他、毎年10月に開催する秋田県が手掛ける「けんせつ未来フェスタ」を共催しており、県下に8つある協議会支部による独自の地域に住む子ども向けのイベントを開催している「一般の方々にとって、建設業界は未知の世界。活動を通じて、業界や会員各社、協力業者など興味を持って頂くために種まきは重要だ」と意義を語る。現在、青年協議会には5~10年後、県内企業のトップに君臨する予定の会員が多く所属している。将来的には、母体である秋田建設業協会の会長・役員となり、行政と共に地域を盛り立てている様相が容易に想像できる。県民の目を引く建設業の具現化を目指す秋田県建設青年協議会。理想の実現に向けた下地は整いつつあるようだ。

この記事を書いた人

クラフトバンク総研 記者 信夫 惇
建通新聞社に10年間勤務。東京支局・浜松支局・岐阜支局にて、県庁などの各自治体や、建設関連団体、地場ゼネコン、専門工事会社などを担当し、数多くのインタビューや工事に関する取材に携わる。
2024年にクラフトバンクに参画。特集の企画立案や編集、執筆などを手掛けている。