企業や人々の想いをデザインする。バハティ一級建築士事務所が次なる挑戦を開始。
更新日:2025/5/2

バハティ一級建築士事務所(東京都渋谷区)の庄司智子代表と佐藤誠司代表パートナーは、大学院研究室の同期。大学院時代には一緒にコンペに出したこともあり、周囲からは「直観を優先し突破力のある庄司」・「理詰めを極め慎重に進める佐藤」と評判だった。正反対の性格だが、お互いの間では当時から「実際に組んで設計をしたらもっと面白くなるかもしれない」と話していたという。その後、別々の設計事務所に就職し経験を積んでいたが、「いつか一緒に事務所をやろう」という約束が果たされたのが2003年。庄司代表が創立したバハティ一級建築士事務所に佐藤代表パートナーが参画する形となった。現在は、建築デザイン・設計監理を中心に、インテリアやプロダクトデザイン、コンサルティング、調査分析など多岐に渡る活動を行っている。
創立当初は、主に知人の紹介を通じて住宅設計やリフォームデザインなどを手掛けていた。しかし、初めて担当した保育園の案件がこども環境学会のデザイン奨励賞を受賞。それ以降は、認定こども園や認可保育所などの仕事が多く舞い込むようになり、「人々が集う憩いの場を提供する設計事務所」として高い評価を受けるようになった。長い期間、保育所関連の設計を中心にさまざまな実績を残してきたが、社会情勢や急速に変化する時代の流れを加味すると「徐々にでも福祉施設にシフトしていくべき」と判断。業務量や顧客の状況を考慮しながら、佐藤代表パートナーが前職時から蓄積してきた公共教育・福祉施設の経験・ノウハウを活かし、新たな選択肢を得るための模索を開始した。
近年は、土地活用に関するコンサルティング業務にも着手。業務範囲は、建築プロジェクトの収益判断や金融機関対策にまで及んでおり、「どんな問いでも必ず答えが出るので、何か問題が起きた際は必ず相談している」と全幅の信頼を寄せる顧客が後を絶たない。一級建築士の2人が、それぞれ違う角度から適格なアドバイスを行えることがリピーターの多い秘訣のようだ。真逆の人間性である双方がタッグを組んだメリットが、このような場面でも如実に現れている。
庄司代表は「新しい需要獲得の観点に立つと、海外案件に着目する重要性は十分に理解している。しかし、当面は『ゆっくりと時間を掛けた良いモノづくり』をテーマに事業を展開していく方針だ。今後も社会貢献・芸術性、経営面のバランスを上手く取りながら、企業の歴史や人々の想いをデザインしていきたい」と展望を語る。お互いの行動がスパイスになり、切磋琢磨を繰り返してきた2人。バハティ一級建築士事務所の次なる挑戦は既に始まっている。
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。