若手主体の小林建設が更なる躍進を誓う
更新日:2025/4/28

小林建設(広島県庄原市)が、昨年2月1日に会社設立60周年を迎えた。3代目の代表取締役社長に就任した人物は小林護氏。祖父が創業した建設会社で、建築・土木工事や金属加工などを手掛け、地域の安全・安心を整備している。小林社長自身は、新卒から同社に入社し、一級施工管理技士の資格を取得後、現場監督や営業など幅広い業務を経験。2021年に会社の舵取りを任されるようになった。


社長が若返りを果たせた効果もあり、会社には多くの若手社員が入るように変化した。入社直後に小林社長が「転職時代ではスキルアップが重要な要素になる。ステップアップを目指すならば、まず建設業界は資格社会だと理解してほしい」と新入社員に必ず投げかけるという。その上で「皆が次のステージを望むならば、資格の取得はスタートライン。転職を検討するにしても、この領域に入れなければ、どこに行っても通用しない存在になる」と熱く語ると、特に新入社員の眼差しは真剣なものに変わり、「現在の離職率が低い当社の形を維持できるようになった」と経緯を話す。小林社長自身は就職氷河期の世代。就職に困難な体験したからこそ伝えられる言葉に社員は感銘を受け、その後は大部分の社員が業務に邁進する。この風土には社長の「縁があり当社を選んでくれた大切な社員を潰す訳にはいかない」との思いが根底にあり、若手にも浸透していることが理解できる。


社長に就任以降、「No.2がいかに楽だったかよく分かった」と小林社長は感慨深げに述べる。専務時代は、当時の社長に対しても堂々とした反論ができ、その姿を見た社員からは応援される状況も多かった。しかし、トップになった今は役職員に全幅の信頼を寄せているとは言え、最後の最後に決断を下すのは自分自身。「工事が取れなかったら…」、「逆に工事を取り過ぎてしまったら…」、「明日、歯止めの利かない天変地異が発生したら…」など、頭の中であらゆる状況に対する想定を巡らせるようになり、悩みの尽きない毎日を送っているようだ。

小林社長は「地域の方々にとって、今より必要不可欠な会社になることが目標」と語る。時代の変化により技術は進歩しているが、「やる気さえあれば、どんな人でも育成したい」とのスタンスは変わらない。特に各地で頻発する未曾有の自然災害に対して、真っ先に現場に駆け付けるのも、地域の安全を守るのも「建設会社」という使命感は誰よりも強い。「社会基盤を整備して、地域が快適に暮らせる環境をつくる」。高品質な施工を提供する小林建設が庄原市に存在することで、安心して生活できる住民が一人でも増えていくよう、小林社長は今日も業務に邁進している。

この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。