SNS駆使の長浜機設が、地域に根差した躍進を誓う
更新日:2025/4/28
とび土工・土木工事などを手掛ける長浜機設(愛媛県大洲市)が、第2回建設人材育成優良企業表彰の優秀賞を受賞した。同賞は、国土交通省と建設産業人材確保・育成推進協議会が、建設産業の担い手確保・育成に向け、顕著な功績を挙げる企業を表彰するもの。YouTubeを通じて施工現場や建設機械、会社概要などを紹介し、高校生の新規採用に繋げていることが評価された。

福岡信一社長は、「採用活動では、YouTubeを含めたSNSの活用が極めて有効だと確信し発信を続けてきた。堅苦しくない形で、DIYに使えそうな道具や溶接の仕方など、建設業の魅力を紹介すると、徐々にだが当社に興味を持つ学生が増えていった」と開始からの経緯を話す。新卒採用が軌道に乗り始めると、必然的に社員育成にも力が入るようになり、実績を着実に蓄積。社員の平均年齢は、当時の41才から31才まで若返りを見せ、斬新かつ地道な戦略が花開いた結果となっている。会社は、優れた福利厚生を実施する企業を表彰する「ハタラクエール2023」からの認証を受ける他、愛媛県内の建設業者では、初めて経済産業省のDX認定を取得するなど、次なるステージに向かう準備は整いつつあるようだ。

長浜機設は7年前、造園業を手掛けるoh庭ya(名古屋市守山区)のフランチャイズ加盟店に入る形で子会社・満足(松山市)を設立。土木と造園工事の繁忙期・閑散期がそれぞれ違う点に着目し、双方が応援に行き来できる仕組みを確立した。福岡社長は、「造園業に参画を決意したのは、oh庭yaの増島靖史社長が、建設業を『サービス業』と捉え、共通の理念で事業を展開していたから。ゼロからの技術習得となったが、今では愛媛県全域を担当するようになり、地域の新たな雇用創出にも貢献できている」と胸を張る。土木分野では現在、法面工事に注力。ベテランから若手に工事のノウハウを伝承できるシステム構築を手掛けており、工事ごとの柔軟なジョブチェンジにも対応できるよう体制づくりの完成を進めているという。


福岡社長は、「地元・愛媛に滞在しても、十分な賃金を稼げるよう、まずは当社の社内環境の整備を急ぎ、継続的な成長を実現する会社になれるよう全力を尽くす」と直近の目標を語る。地元への愛着は強いが、経済的な理由から愛媛を離れる決断をする若者はまだ多い。しかし、「当社のような企業が確立すれば、少しずつでも現状打破への現実味を帯びるはず」と希望を語る。DX化を加速するなど、更なる工夫を凝らすことで、建設業は働きやすく、やり甲斐ある業種に変われるという確信があるようだ。「建設業は、自分が携わった工事の結果が、構造物として形に残せる魅力的な職種。今後は、Uターン・Iターンも含めた中途採用も積極的に行い、これまで以上の地元に貢献できるよう、あらゆる方策を打っていきたい」と先を見据えている。

この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。