情報格差を技術で解決。クェスタのDXシステムが飛躍的な伸びを見せる
更新日:2025/5/2

クェスタ(埼玉県川口市)が提供する建設DXシステムの導入数が、累計で1600現場を突破した。同社は、建設現場に特化した情報共有デジタルサイネージ「ご安全にモニター」や情報掲示板配信システム「Connect Mini」、現場にある仮設分電盤の遠隔操作を可能にする「JITAN-SWITCH」などを開発・製造・販売する建設DX企業。全ての製品を同じシステム内で併用できることから、建設現場では重宝されている。コロナ禍を経て、全国の大手・地場ゼネコンが朝礼を復活させていることが、導入現場数の飛躍的な伸びに繋がっているようだ。


常務取締役の末武陽平氏は、「安全の分野では、現場の大小で情報格差があってはならない。予算の多い現場だけが恵まれるという状況を変えたかった」と開発の経緯を語る。30以上の現場向けコンテンツだけでなく、クラウドカメラや生産性向上システムなどの他社製品との連携も可能であり、1つの画面に触れるだけで業務効率化を図れるメリットは大きい。末武氏は「近年では、ゼネコン各社の要望をヒアリングし、カスタマイズ提供することが増えていた。しかし、直近だと36協定の期日が迫っている要因からなのか、今は『JITAN-SWITCH』の需要が急増しているので、量産体制の準備に入っている。当社は、タッチパネルという独自技術で現場の課題を克服できるので、この強みは活かしていきたい」と意気込みを話す。確かに経営陣が現場を把握できていない状況でDXツールを導入したが、全く使われないまま放置に至るケースは頻繁に見聞きする。既設分電盤に繋ぐだけで、スマートフォン・PCからの遠隔操作を実現し、作業者が何箇所も電気を消しに行かなくて済むようになる。低コストかつシンプルな仕組みで、現場作業者の負担が目に見えて軽減できるJITAN-SWITCHを選択する企業が増加するのは、自然な流れなのかもしれない。


「当社のサービスが業界全体から『建設現場の必需品』と早期に認知されるよう、利用者目線を更に追求した事業展開を図っていきたい。様々な企業とアライアンスを組み、全国の販売代理店とも連携を始めてから、各地の建設企業から様々な声が集まるようになってきた。今後もテクノロジーで現場の士気や安全衛生、省力化、生産性が向上できるよう、会社一体となった活動を続けていく」と決意を述べた。ソフトとハードの双方を作れるクェスタだからこそ担うことが可能な領域。情報プラットフォームの創出により、情報格差の標準化を目指すという、壮大な挑戦がどのような歩みを経ていくか刮目すべきだ。

この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。