若返りを果たした讃州電気工事。住まいおたすけ隊で更なる発展
更新日:2025/5/2

讃州電気工事(香川県高松市)の佐藤攻氏が、2021年6月に常務取締役に就任した。佐藤常務は、新卒から他社での電気工事や現場管理などを経て、讃州電気工事に入社。会社では10年ほど前から、父親であり社長を務める佐藤隆男氏が、団塊の世代が75歳以上になる「2025年問題」を見据え、積極的な若手の雇用・育成に着手していた。その期間、ベテラン社員の大量退職などの不協和音が鳴り響き、心身ともに自身が疲弊し尽くしたこともあった。しかし、佐藤常務は「現実から目を背けず、全てを糧に志を貫き通せたからこそ、現在の社員・平均年齢33歳という飛躍的な若返りに繋がった」と振り返る。
社内では、若手が新入社員を1年掛けて、1対1のペアになって教育するB-B(ビッグブラザー)制度を導入。従来からの「見て覚える」という形でなく、論理的かつ明快な説明と実践が教える側に必要になったこともあり、「先輩社員から新人に声を掛けるシーンが増え、若手同士のコミュニケーションが活発になっている」と効果を語る。若手が知り合いを紹介する形で入社するリファラル採用が増加しているのも、「讃州電気工事って働きやすいらしいよ」との評判が社内外に浸透し始めている結果である。
現在は、島根電工(島根県松江市)のフランチャイズになることで開始した、「住まいおたすけ隊」に注力する。おたすけ隊では、高齢化などの理由で廃業する街の電気屋に代わり、一般家庭や企業で困っている照明取り換えや修繕など電気関連の全てに応対している。小規模な工事も手掛けることで徐々に認知度が広がっていき、6年間の継続によりリピーター・新規顧客の双方から多くの依頼を受けるようになったという。おたすけ隊のリーダーは24歳の女性社員が担うなど、ここでも若手社員に活躍の場が整備されていることが讃州電気工事の特徴だ。
「地域に頼られる会社になることに加え、実は建設業って働きやすくて魅力的ということを理解して頂けるよう、今後も事業を展開していきたい」と展望を語る。その一方、筆者と長い時間対話を続けていると、「現在の当社は、先人たちの礎により成り立っている現実がある。私自身の存在を証明するためにも、早期に独自の手法を定着させ、過去最高の売り上げを塗り替えることが密かな目標だ」という本音も包み隠さず明かして貰えた。会社としての世代交代や技術の伝承も順調に進めている讃州電気工事。近い将来、歴代最高の売り上げを達成する頃には、佐藤常務は社長として組織を運営し、更なる躍進を遂げているはずだ。

この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。